平成26年度全日本学生柔道体重別選手権大会(男子33回・女子30回)が9月27日、東京・日本武道館で開幕した。個人戦の学生日本一を決める2日間の大会。山梨学院大からは、男子17人、女子16人が出場する。初日は、男子は軽・中量級、女子は中・重量級の戦いが行われた。山梨学院大勢の内、女子78kg超級に出場した井上愛美と井坂希望の2人が揃って決勝に進出した。78超級は昨年も井上愛美と卒業した町純香が対戦し井上が優勝しており、2年連続の山学同士決勝となった。今年は後輩の井坂が先輩の井上に勝利、井坂は生まれて初めての全国大会優勝を獲得した。また、男子73kg級の宮山翔多が大健闘し準優勝、女子70kg級の長内香月が3位の表彰台に上がった。
≪女子78kg超級 井坂希望(いさか のぞみ 3年 千葉・八千代)
78超級井坂希望は、高3の時全日本ジュニア3位、一昨年の全日本選抜柔道3位、昨年のこの大会3位(準決勝で井上愛美に敗退)が過去の主な成績、全国大会で優勝したことは一度もなかった。初戦の2回戦で渡部紫織(帝京大)を指導1、準々決勝中村優(仙台大)GS有効、準決勝で山本沙羅(大体大)を指導2で下し決勝に進出、先輩の井上と対戦し指導2で優勝を勝ち取った。井坂希望選手は「井上先輩には一度も勝ったことがなく、胸を借りるつもりで挑みました。先輩は強いけど勝ててよかった、全国大会で優勝したことは一度もなく最高に嬉しい」と笑顔を見せた。組み手争いに勝てるようになり、積極的に前に出て大腰を仕掛ける自分の柔道が出来るようになり、3年目の秋に夢をかなえた。
≪女子78s超級決勝 井上愛美(いのうえ まなみ 4年 愛媛・新田≫
78超級井上愛美は、浅見八瑠奈の後輩で4年になった今年は主将、6月の全日本学生柔道優勝大会では、3年ぶりの優勝旗奪還にチームの大黒柱として貢献した。大会2連覇を目指し、順当に決勝に進出した。樹徳館で毎日練習していて、手の内を知り尽くしている井上と井坂との戦いは一進一退だった。開始2分に井上に指導、残り1分40秒に両者に指導、互いの技が決まらず、指導の差で井坂優勝、井上準優勝となった。井上愛美選手は「今回は後輩に優勝を譲ったということにしておきます。次の体重別団体は悲願である初優勝を勝ち取るために主将としてチームに貢献したい。個人戦では講道館杯でまだ一度も対戦したことがない山部佳苗(ミキハウス)先輩と対戦できるところまで勝ち上がりたい」と話し、汗をぬぐった。
≪男子73s級 宮山翔多(みややま しょうた 2年 大阪・近大附≫
73kg級宮山翔多は、高校時代に全日本ジュニア3位になり、卒業した中村剛教(現大阪府警)の柔道に憧れて山学大に入学した。そう言われれば武士のように毅然としていた中村と立ち居振る舞いがよく似ている。関東大会で優勝し出場権を得たが、先週の全日本ジュニアで左腕の十字靭帯を痛めてしまった。山田コーチによると「3日前に調整練習を始めたばかり」だが、本人は「試合になれば関係ありません」と左腕をテーピングで固めて戦った。その体で決勝戦に勝ち上がり三浦健寛(国士舘大)と対戦、3分12秒に有効を奪われて敗れた。もし、優勝していたら、西田泰悟・中村剛教以来となる優勝だった。宮山翔多選手は「初戦から厳しい戦いでしたが、気持ちで勝とうと戦いました。決勝戦は悔いが残る試合だったので満足はできません、鍛えなおして来年はこの大会で優勝できるよう頑張って行きたい」と精進を誓っていた。
≪女子70s級 長内香月(おさない かづき 2年 神奈川・高岡龍谷≫
70kg級長内香月は、インターハイ優勝、全日本ジュニア優勝の実績を持つが、大学入学前に以前から痛めていた肩を手術し試合に出られるようになったのは1年の後半からで力を発揮できるようになったのは2年になってから、関東大会で優勝して出場権を獲得し全国の舞台に立った。準決勝で佐俣優依(帝京大)に指導3で敗れたが、身贔屓な素人の目には長内の方が攻めているように見えた。長内香月選手は「ケガで肩を手術し1年のときはずっと不調でした。3位ですが全国大会で結果を残せたことは自信になります、来年はもっと上を目指して頑張りたい」と語った。長内はこれから強くなる選手だ。
その他の選手は、女子63kg級佐野賀世子(3年 富山・高岡龍谷)が準々決勝で優勝した坂井彩花(金沢学院大)に敗れ5位となった。女子78kg級高松彩香(3年 栃木・国学院栃木)も準々決勝で優勝した梅木真美(環太平洋大)に敗れ5位。男子60kg級小林玄(4年 福岡・大牟田)が健闘よく準々決勝に進み5位、これまで実績を残せなかった女子70kg級矢澤紗瑛(3年 東京・駒場)が強くなり準々決勝進出5位などとなった。
この大会で5位以上になった選手には、柔道日本一を決める11月の「講道館杯全日本柔道体重別選手権」の出場権が与えられる、初日の山学大は8人が講道館杯出場権を獲得した。2日目の28日(最終日)は、男子は重量級、女子は軽量級の戦いが行われる。
文(M.T) カメラ(平川大雪)2014.9.27
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