
フリースタイル大学日本一を決める「第40回内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権大会」が11月12・13の両日、東京・駒沢体育館で行われた。各大学から8階級の代表1名が出場、1位(12点)から8位(1点)の総合得点で大学日本一が競われた。山学大は一昨年総合優勝、昨年準優勝で今年は2年ぶりの日本一奪還に挑んだ。1日目は、61kg級の鴨居正和が強敵を次々に下し大会3連覇を達成、125kg級ボルチン・アレッグがインカレとの2冠と2連覇を獲得、86kg級亀山晃寛が準優勝、70kg級木下貴輪5位となり1日目1位で折り返した。2日目は57級高橋侑希が準優勝、74s級本村匠が3位に入ったが、1日目2位だった日大に逆転され2年連続の準優勝となった。
この大会はシードがないため、優勝を争う実力者同士が1回戦で対戦し無得点に終わることもあり、組み合わせが学校対抗戦に大きく影響する。山学大の布陣は、57s級高橋侑希(3年 三重・いなべ総合)、61kg級鴨居正和(4年 香川中央)、65s級初見智徳(2年 千葉・関宿)、70s級木下貴輪(1年 鹿児島・鹿屋中央)、74kg級本村匠(2年 沖縄・浦添工)86s級亀山晃寛(4年 群馬・大泉)、97s級吉川裕介(2年 茨城・霞ケ浦)、125s級ボルティン・アレッグ(2年 カザフスタン)の8人で臨んだ。
≪61kg級鴨居正和が大会3連覇達成≫
9月の世界選手権に出場した主将の
鴨居正和は昨年同様に強敵との連戦で厳しい戦いだった。1回戦で全日本選抜3位の阿部宏隆(国士舘)と当たり4−3の辛勝、3回戦のスーパールーキー樋口黎(日体大)戦は終了20秒前にバックを取られ2-3と逆転され大ピンチだったが終了3秒前にがぶり返しで再逆転し4−3でようやく勝ちあがった。準決勝と決勝は危なげなく勝利し大会3連覇を達成、敢闘賞を獲得した。
鴨居正和選手は「3連覇できてうれしいが、主将としては団体優勝が出来なくて残念です。今年も去年と同じ様に初日トップで、手が届きそうで届かなかった。来年は3度目の正直で優勝してもらいたい」と後輩たちに来年を託した。
≪125kg級ボルチン・アレッグは2冠2連覇≫
カザフスタンからやって来た
ボルチン・アレッグは身長186cm、物凄い筋肉と超なで肩な体を持つ縦にも横にも大きい巨漢選手。昨年来日していきなりインカレとこの大学選手権を制覇した。普段は物静かで、箱根駅伝に挑むエノック・オムワンバら他のスポーツ留学生、短期留学生とともに日本語の勉強にも一生懸命取り組んでいる。先日行われたカザフスタンの大会に出場した際に膝を負傷しテーピングしての出場となったが、まったく他を寄せ付けなかった。準決勝で日本人1位の園田新(拓大)を両足タックルで豪快にマットに鎮めフォール勝ちするなど圧勝で2連覇を果たし、インカレとの2冠を2年連続で制した。
ボルチン・アレッグ選手は「カザフでの試合で膝と腕をケガしたが、もう大丈夫。日本のレスリングにもだいぶ慣れて来た。これから頑張る」とだいぶ慣れて来た日本語で語った。
≪最終学年の86s級亀山晃寛が準優勝≫
昨年は大会直前に負傷して欠場した
亀山晃寛が、最後の学生大会で大健闘した。1回戦から3回戦までの3試合はいずれも10−0以上のテクニカルフォールで圧勝、準決勝では強敵の松坂誠應(日体大)を9−3で下した。決勝でルーキーの白井勝太(日大)に3−5で敗れ1年生王者を許したが準優勝、貴重な得点をチームにもたらした。
亀山晃寛選手は「3回戦まではいい動きが出来たけれど、準決勝から優勝したい気持ちが強くなりすぎて動きが硬くなってしまった。ケガをして苦しかった時もあったので4年間は長かったと感じます。12月の天皇杯への出場権があるので、ケガの様子を見て最後の大会は気楽に臨みたい」と大会と4年間を振り返った。
≪57s級高橋侑希は不覚の準優勝≫
8月の国際大会で銀メダル、9月の世界選手権で5位となった
高橋侑希は、1回戦から圧勝で決勝に進んだが、高橋が世界選手権出場で欠場したインカレで優勝した中村倫也(専大)に決勝で1−3と不覚を取り優勝を逃した。
高橋侑希選手は「負けて悔しいんですが、プラス思考に考えて、12月の天皇杯に向けて教訓を得たと考えます。日本一を決める天皇杯で優勝を目指します」と語った。
≪74s級本村匠が3位表彰台獲得≫
本村匠は1年の時に膝を負傷し手術、1年間マットに立てなかったが、5月の東日本学生リーグで復帰し最終戦で勝利、チームの東日本リーグ2連覇に貢献した。8月のインカレに続きこの大会でも大ケガを乗り越えて来た男が3位を獲得した。
本村匠選手は「準決勝で8―8に追いついた時に後者ポイントで勝ったと勘違いしてコーション差で負けました。ただくじ運が良かったので3位になれただけです」と謙遜していたが、まじめにコツコツ努力して来た苦労人はその力を強めている。
この他の山学勢は、1年の新星
70kg級木下貴輪が上級生を相手に健闘し5位に入った。高校時代の実績はあまりない2年の
65kg級初見智徳は1回戦で国士舘大の選手を破り、2回戦で日体大の強敵中野晶太と対戦し8―9と惜敗した。「得意技はないですけど、体力だけはあるので体力勝負です」と話す。
97kg級吉川裕介は1回戦で日体大の笹川久志に4−5で惜敗した。
小幡邦彦コーチは「初日は予定通り行ったんですが、2日目は足踏みしてしまいました。全体的にミスが多かった、日大の方が勢いがあったと思います。来年は各大学の力がもっと接近して、今年以上に厳しくなると思いますが、来年も十分優勝を狙えるチームですので、仕切り直して頑張って行きたい」と語った。試合後に選手を集めた高田裕司監督は「いつも言っているように、レスリングはラスト1分からが勝負、そこで取るか取られるかで勝負が決まる。タックルに行かないと点数に結びつかない、攻めに行って負けたのなら責めない、攻めずに負けたら、なんで普段やってることをやらないんだ、何のために練習してるんだと責められて当然だ。亀山と鴨居は卒業するが他のものはしっかり反省して来年に活かすよ うに」と選手を諭した。
《大学対抗得点》
《1位》日大 63点、《2位》山梨学院大 51.5点、《3位》拓大 36点、《4位》早大 35点、《5位》専大 32点、《6位》日体大 26点、《7位》大東大 19点、《8位》国士舘大 13点、
文(M.T) カメラ(平川大雪)2014.11.13
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