今や正月の風物詩となった“箱根駅伝”。第91回東京箱根間往復大学駅伝競走が正月2日午前8時、東京大手町読売新聞本社前をスタートした。昨年優勝の東洋大学などシード校10チーム、予選会4位の山梨学院大学など10校、関東学生連合チームを加えた21校が箱根を目指す5区間に激闘を繰り広げた。山梨学院は、今朝のエントリー変更でまさかの2区オムワンバ選手のメンバー交代が告げられた。右アキレス腱を痛めたもので、急遽の変更はチームに動揺を与えた。1区のメンバー交代で上田健太選手から田代一馬選手に。田代選手は気負いから6q過ぎから集団から遅れ、最下位の20位(関東学生連合OP)で2区に襷をつないだ。2区を受け持った佐藤孝哉選手は、2区の事前試走もできないまま、持ち前の粘りの走りができず20位で3区の井上大仁主将に襷を託した。学生長距離界のトップランナーの実績を積み上げてきた井上選手は、実力にたがわぬ走りで3人を抜き区間3位の力走、チームを17位に押し上げた。4区の上村純也選手も3人をかわし14位に。山登りの5区に抜擢された小柄な前田拓哉選手は、最後まで力を振り絞り13位で往路をフィニッシュ。明日の復路でシード権獲得の10位を目指す。往路優勝は青山学院大学、初優勝。2位は明治大学、3位東洋大学。8位以降、14チームは午前8時10分の繰り上げスタート。
前回、2区で途切れた襷を1年後の今日にリベンジするために掲げたテーマは「リスタート」。井上主将ら新4年生が話し合って決めた言葉だった。オムワンバ、井上に頼り切っていたチームはひとり一人が自立することで力をつけてきた。しかし、思わぬアクシデントで苦戦を強いられることになった。上田誠仁監督は「ここまで試練を与えるのかなあ。入れ替えの想定内の動きではなかったのできつかったですね、精神的には。1区の出足が非常に悪かったので思っていた痛手よりさらに大きな痛手になってしまった」とショックを隠せない。「井上が前の見える位置までぐっと引き寄せてくれたので、復路の選手は不可能を可能にする走りをしてくれると思います。シード権に向けて最後まであきらめない走りで、明日は果敢にチャレンジするだけです」と前を向いた。井上大仁主将は「自分ではやるべきことはやったかなと思っているんですが、もうちょっと詰めたかった。しかしこれを他の区間や復路に繋がればと思って走っていました。襷は繋がってありがたみを感じたというか、結果は置いておいて明日の復路は巻き返してやろうとまだまだここからと思いました。」と明日を誓ったた。山登りの5区を走った前田拓哉選手は「1区・2区とテレビで見ていたんですが、もうちょっと上で来るかなあと予想していたんですが、大きく下回った結果でありましたが、そこで自分も気持ちが下がってしまうと、先にも繋がらないですし、そこで山梨学院の箱根駅伝が終わってしまうわけなので、そこは強い気持ちを持って、もうひとつでも前の順位に行こうとリラックスして走ろうと心がけてきました」と振り返った。
☆1区【21.3キロ 東京大手町 ⇒ 鶴見中継所】
☆2区【23.1キロ 鶴見中継所 ⇒ 戸塚中継所】
☆3区【21.4キロ 戸塚中継所 ⇒ 平塚中継所】
☆4区【18.5キロ 平塚中継所 ⇒ 小田原中継所】
☆5区【23.2キロ 小田原中継所 ⇒ 箱根芦ノ湖】
■往路成績13位 往路タイム 5時間38分53秒
区間 |
ランナー |
区間タイム |
区間 |
総合順位 |
1区 |
田代一馬 3年 |
1時間05分38秒 |
20位 |
20位 |
2区 |
佐藤孝哉 2年 |
1時間11分10秒 |
18位 |
20位 |
3区 |
井上大仁 4年 |
1時間02分56秒 |
3位 |
17位 |
4区 |
上村純也 2年 |
58分37秒 |
14位 |
14位 |
5区 |
前田拓哉 3年 |
1時間22分32秒 |
12位 |
13位 |
■往路順位(10位シード権以内)
順位 |
大学名 |
総合タイム |
復路タイム差 |
1位 |
青山学院大学 |
5時間23分58秒 |
|
2位 |
明治大学 |
5時間28分57秒 |
4分59秒 |
3位 |
東洋大学 |
5時間30分47秒 |
6分49秒 |
4位 |
駒澤大学 |
5時間31分23秒 |
7分25秒 |
5位 |
中央学院大学 |
5時間32分26秒 |
8分28秒 |
6位 |
早稲田大学 |
5時間33分02秒 |
9分04秒 |
7位 |
東海大学 |
5時間33分55秒 |
9分57秒 |
8位 |
城西大学 |
5時間35分09秒 |
10分00秒 |
9位 |
大東文化大学 |
5時間35分21秒 |
10分00秒 |
10位 |
中央大学 |
5時間35分25秒 |
10分00秒 |
駅伝の怖さをまざまざ見せつけられた。各区間の配置の妙、駆け引き、アクシデント、最近の各大学の拮抗したハイレベルな走力に1区の出遅れが致命傷になる駅伝。ますます駅伝の奥深さを感じた。
3日の復路のスタートは箱根芦ノ湖畔を午前8時に青山学院大学からスタートする。ゴールは午後1時30分頃。
文(K.F)カメラ(平川大雪・藤原稔・今村佳正・小池裕太・Y.Y)
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