雲ひとつない快晴の箱根芦ノ湖。午前8時のスタート時の気温マイナス4度。第91回東京箱根間往復大学駅伝の復路が3日、東京大手町の読売新聞社本社前までの5区間で行われた。前日の往路優勝の青山学院大学が引き続き復路でも優勝。初優勝で完全優勝を飾った。2位の駒澤大学に約11分の大差をつける10時間49分27秒は第88回大会に東洋大学が出した10時間51分36秒を上回る大記録。山梨学院大学は2日の往路13位から復路はタイム5位で総合順位9位まで押し上げ、3年ぶりのシード権を確保した。レースは、6区の山下りを3年連続で担う桃沢大祐選手が果敢な攻めの走りで昨年の参考記録を1分20秒上回るタイムで順位を1つ上げ12位に。ここからシード権に向け狼煙を上げた。7区・市谷龍太郎選手、8区・谷原先嘉選手が徐々に徐々に差を縮め、16秒までに迫った秒差を前回同じ9区で参考記録ながら5位だった阿部竜巳選手で一気に逆転を計ったが、逆に差を広げられたものの10区最終区で当日のエントリー変更で出走した兼子侑大選手が区間3位の(前回3区で参考記録6位)快走、総合9位でゴール。あきらめない執念でシード権を確保した。
レース後、復路の各区間出走者の思いを聞いた。
6区桃沢大祐選手は「自分が復路のスタート区間ということでシード権に向けて、まずは勢いをつける走りをしたいと思いました。学院記録を更新できなかったことは残念ですけど、最低限の仕事はできたかなと思っています」と3年連続の山下りとチームへの思いを述べた。前回の全国高校駅伝大会優勝の立役者の一人、大学に入って全国大学駅伝大会に続いて抜擢された7区の1年生・市谷龍太郎選手は「頼れる先輩たちを信じてやってきました。シード権は確かにうれしい一言ですけど、やはり自分たちが目標にしていたのは優勝なので来年こそはリベンジしてここ大手町に帰って笑顔でゴールしたいと思います」と来年への雪辱を期した。8区谷原先嘉選手は9月に10000mの自己新を更新、箱根予選会は総合38位と今年力をつけてきた。「差は縮めているんだというのはあったのですけど、あまり実感がなくて後輩が大東大まであと何秒と言うのを聞いてペースを上げていきました。“遊行寺”までは区間賞に近いペースで走っていたのですけど、取れる位置にいながら取れなかったのは悔しい思いですが来年もあるので」と捲土重来を期した。安定した走りにチームから信頼の厚い9区の阿部竜巳選手は「詰まったり、開いたり非常に難しい状況でした。ずっと苦しかったので少しでも前へ前へと思い走りました」と本来の走りができなかった悔しさを滲ませた。10区兼子侑大選手は「前半ゆっくり入ったので、後半10kmからが勝負だと思って、自分の思い道理の走りが出来て、シード取れたのでチームとしても自分としても最高の駅伝でした」と前回は3区(参考記録6位)を走るも2区のオムワンバの途中棄権により襷が途切れた悔しさを自分の走りで晴らした。
■コース区間
☆6区【20.8キロ 箱根芦ノ湖 ⇒ 小田原中継所】
☆7区【21.3キロ 小田原中継所 ⇒ 平塚中継所】
☆8区【21.4キロ 平塚中継所 ⇒ 戸塚中継所】
☆9区【23.1キロ 戸塚中継所 ⇒ 鶴見中継所】
☆10区【23.0キロ 鶴見中継所 ⇒ 東京大手町】
■山梨学院大学 総合成績9位(往路13位・復路5位) 11時間10分43秒
■復路成績5位 復路タイム 5時間31分50秒
区間 |
ランナー
|
学年 |
区間タイム |
区間順位 |
総合順位 |
6区 |
桃沢大祐 |
4年 |
59分38秒 |
5位 |
12位 |
7区 |
市谷龍太郎 |
1年 |
1時間○5分23秒 |
12位 |
11位 |
8区 |
谷原先嘉 |
3年 |
1時間05分56秒 |
4位 |
11位 |
9区 |
阿部竜巳 |
4年 |
1時間10分44秒 |
14位 |
11位 |
10区 |
兼子侑大 |
4年 |
1時間10分○9秒 |
3位 |
9位 |
■総合順位(10位シード権内)
順位 |
大学名 |
復路タイム |
総合タイム |
備考 |
1位 |
青山学院大学 |
5時間25分29秒 @ |
10時間49分27秒 |
初優勝 |
2位 |
駒澤大学 |
5時間28分54秒 A |
11時間00分17秒 |
|
3位 |
東洋大学 |
5時間30分35秒 C |
11時間01分22秒 |
|
4位 |
明治大学 |
5時間33分00秒 E |
11時間01分57秒 |
|
5位 |
早稲田大学 |
5時間29分13秒 B |
11時間02分15秒 |
|
6位 |
東海大学 |
5時間33分13秒 G |
11時間07分08秒 |
|
7位 |
城西大学 |
5時間33分06秒 F |
11時間08分15秒 |
一斉 |
8位 |
中央学院大学 |
5時間36分52秒 M |
11時間09分18秒 |
|
9位 |
山梨学院大学 |
5時間31分50秒 D |
11時間10分43秒 |
一斉 |
10位 |
大東文化大学 |
5時間35分54秒 K |
11時間11分15秒 |
一斉 |
レース終了後の試合報告会で
上田誠仁監督は「シード権獲得ということで決して良かったということはありません。非常に大きなプレッシャー、ストレスがかかるスタートから巻き返し、自力でシード権内に突入できたことはこの一年間君たちと共にやってきた力の証であったと思います」と自制とチームの手ごたえを口にした。続けて「我々はチャレンジャーです。戦いを挑まなければならない。どんな逆境に立たされてもどんな苦難にさらされても今ここからスタートを切らなければならない。また新たなチャレンジに向かっての日々が今から始まる、その覚悟を決め自分たちの目指すところに向かって、今日得た結果をしっかり心にとどめ更なる上を目指して頑張って欲しい」と奮起を促した。最後に2年ぶりに帰ってきた“襷”に全員で「お帰り」と大きな声で迎えた。そして来年の優勝を誓った。
文(K.F)カメラ(藤原稔・今村佳正・小池裕太・Y.Y)
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