北海道・釧路市で開催されている第87回日本学生氷上選手権大会(インカレ)は1月7日、大会2日目の競技が行われた。この日のスピード競技は、女子3000m、男子5000m、男女1000m。山梨学院大期待の長距離種目が始まった。最初の種目女子3000mで、今シーズン不調だったエースの高橋菜那が復調し大会2連覇を達成、1年の原田梨央が3位を獲得した。また、男子5000mで大林昌仁が3位に入り、山学勢は3人が表彰台に上った。この他、女子1000mで高山菜摘が5位入賞、澤田芽依が2日連続で6位入賞した。また、フィギュアの男子中村智がショートプログラム自己最高位の7位で明日のフリーに進んだ。
≪女子3000m 高橋菜那(たかはし なな 3年 白樺学園)≫
高橋菜那は1年だった一昨年のこの大会で3位に入り注目され始め、昨年はこのインカレで優勝、イタリアで行われたユニバーシアード5000mで5位、ソチ五輪日本代表選考会3000m6位などトップレベルの選手に成長した。ただ、今シーズンはここまで調子が上がらず、12月の全日本学生スピード選手権では酒井寧子(高崎健大)に敗れるなど苦しい戦いが続いていた。しかし、この日はその酒井寧子と最終組で滑り酒井を圧倒した。他の選手を寄せ付けない女王の滑りを取り戻し4分32秒37でゴール、大会2連覇を達成させた。高橋菜那選手は「今シーズンは結果が出せなくて、自分でどこが悪いのか分からないまま苦しんで心が折れかけた時期もありました。昨夜は不安で眠れなかったですが、マネージャーが「今日はいけるよ」と言ってくれてすごく気持ちが楽になり、落ち着いて滑り切りました。勝ててホッとしています」と優勝レースを振り返った。
≪女子3000m 原田梨央(はらだ りお 1年 白樺学園)≫
原田梨央は高橋菜那と同じスケートの名門白樺学園の出身。高校時代にインターハイ3位になり、和田貴志コーチの勧めで先輩たちの後を追い山学大に進学した。第6組で滑り、そこまででトップの4分35秒21でゴールし後続の結果を待った。最終組の高橋と酒井に抜かれ3位となったが、初舞台のインカレで1年生の新星が3位の表彰台を獲得した。原田梨央選手は「自分は先行型で後半どれだけ耐えれるかというタイプです。チームに貢献したいと思っていましたが、表彰台に上がれるとは思っていなかったので嬉しいです。大学4年の時にオリンピックがあるので、オリンピックに出れる選手になりたい」と胸に熱い思いを抱いている。
≪男子5000m 大林昌仁 おおばやし まさひと 2年 佐久長聖)
大林昌仁は、中学時代に全中3000m優勝、高校時代に全日本距離別選手権3000m2連覇などの好実績を作り、山学大に入学した。昨年は学生スピード選手権5000m3位、ソチ五輪代表選考会5000m14位(学生順位5位)、インカレ準優勝などの実績を作った。この日は強風が吹き荒れる中でのレースとなり、大半の選手が後半は風の影響で伸びなかったが、大林は後半もラップを落とさないで滑れる数少ない選手。一戸誠太郎(信州大)、三輪準也(法政大)に次ぐ3位で表彰台に上がった。大林昌仁選手は「風が強かったですが、負けたくない人が一杯いるので、ラップを落とさないように我慢して粘りました。3位は満足ではないですが、調子が悪いわりには滑れたので明日の1万や最終日のチームパシュートに生かせると思います」とレースを振り返った。
また、女子1000mの3人も健闘した。新人の高山菜摘(1年 駒大苫小牧)が5位に食い込む活躍を見せ、澤田芽依(3年 帯広三条)が500mに続き2日連続の6位入賞、阿部美沙希(4年 白樺学園)も10位に入り、3人揃って学校対抗得点争いに貢献した。
この他の山学勢は、男子1000mで下田琢也(4年 嬬恋)が4年最後のインカレで10位に躍進、新人の渡部晟(1年 郡山商)が17位デビュー、500mが専門の宗宮紘汰(4年 白樺学園)が23位となった。男子5000mの由井翔(4年 市立長野)は12位、由井篤樹(4年 佐久長聖)は25位、女子3000mの池田千奈美(3年 駒大苫小牧)12位となった。
一方、フィギュア競技はAクラスのショートプログラムが行われ、男子の中村智(4年 東海大三)が自己最高位の7位で通過した。女子の遠山由華(1年 山学高)が14位、国体に山梨代表として出場する河西佳弥(山学高〜日体大)は21位となり、3人とも24位以内に入り明日のフリーに進出した。中村智選手は「3回転3回転のコンビネーションを始めほとんどミスなく滑ることが出来て、今までのインカレで一番いい演技が出来ました。明日も、出来ることをしっかりミスなく出来たらと思います」と語った。遠山由佳選手は「最初の3回転トウループはうまく跳べたが連続して跳んだ2回転トウループで転倒してしまいました。ただ、それを引きずらないで、あとのコンビネーションスピンもレイバックスピンもうまく出来ました。フリーも頑張ります」と話した。
2日目終了時のスピード総合順位は、女子は日体大、高崎健大に次ぐ3位、男子は早大、東洋大らとの6位争いとなっている。3日目8日のスピードスケートは、男女1500m、男子1部1万m、フィギュアはフリーが行われる。
文(M.T)カメラ(平川大雪)2015.1.7
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