北海道・釧路市で4日間にわたり繰り広げられた第87回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)は最終日の1月9日、学校対抗恒例の団体戦、2000mリレーと、チームパシュート(団体追い抜き)が行なわれた。山学大女子は、2000mリレーで3位に入ったあと、最終種目のチームパシュートで池田千奈美・高橋菜那・原田梨央の3人がリンクレコードの3分20秒38で優勝を勝ち取った。学校対抗最終成績は日体大に次ぐ2位となった。一方、男子はリレーがゾーンオーバーで失格、チームパシュート10位で最終成績は7位となった。すべての競技終了後、山学大チームは全員でラストラン、引退する12人の4年生に後輩からお別れの、そして、感謝をこめた花束が贈られた。
北海道の道東部、太平洋に面した氷都釧路市で行われた今年のインカレは、天候こそ4日間とも晴れたが風速20m前後の強風と猛烈な寒さの中でスピードを競う大会となった。柳町スピードスケート場の氷の質は硬く、帯広の屋内リンクで行われ記録ラッシュに沸いた昨年と比べると記録的には低調な大会となった。その悪条件の中で、山学大女子は最終日最終種目のチームパシュートでリンクレコードを打ち立てて優勝した。
≪女子2000mリレー 阿部(美)・伊藤・高山・澤田≫
最終日最初の種目2000mリレーは、1人が500mずつ滑り4人でバトンリレーを行う競技。スプリント力とともにバトンの受け渡しが難しい種目。山学女子は最終組で日体大と同走した。2年連続で1走を務めた阿部美沙希(4年 白樺学園)は「山梨学院大学、行くぞ〜」と大きな声を発して飛び出し、滑らかに力強く滑走した。2走の主将伊藤さゆり(4年 東海大三)は小柄な体で軽快にピッチを刻んだ。3走に起用された高山菜摘(1年 駒大苫小牧)は緊張でガチガチだったそうだが十分に責任を果たした。アンカーのスプリンター澤田芽依(3年 帯広三条)は大きなフォームで豪快に飛ばし2分45秒45でゴール、3位を獲得した。澤田・高山・伊藤・阿部の4人(写真左から)は「自分たちがやるべきことはやれました、責任を果たせてよかった〜」とレース後はホッとした表情だった。
≪女子チームパシュート 池田千奈美・高橋菜那・原田梨央≫
チームパシュート(団体追い抜きとも呼ばれる)は、3人一組で滑り、2チームがメインストレートとバックストレートの中央から同時にスタートする。男子はリンクを8周(3200m)・女子は6周(2400m)して3人目にゴールした選手のタイムで順位を競うスピードスケート独特のチーム戦。2006年のトリノオリンピックからオリンピック種目に採用された。個人戦と違い、強い選手が弱い選手を引っ張り全員が一弾となって滑るのが理想。山学大女子は池田千奈美(3年 駒大苫小牧)・高橋菜那(3年 白樺学園)・原田梨央(1年 白樺学園)の長距離陣3人が出場、リレーと同じ様に最終組で日体大と同走した。終始日体大をリード、最後は2秒以上の大差をつけてゴール、リンクレコードの3分20秒38で優勝を勝ち取った。原田梨央・池田千奈美・高橋菜那(写真左から)の3人は山梨学院のゲートフラッグを手にカメラに笑顔を向けた。池田千奈美選手は「個人では役割を果たせなかったので、最後の最後に優勝という形で終われてよかった」。高橋菜那選手は「今シーズンは調子が悪かったが、インカレで結果を出せてよかった」。原田梨央選手は「パシュートは高校時代に一度だけで今回が2回目、練習と作戦が変わりすごく緊張しましたが、何とか滑りきることが出来ました」。3人ともに笑顔でレースを振り返った。
男子2000mリレーは、宗宮紘汰(3年 白樺学園)、古川耀(4年 郡山商)、下田琢也(4年 嬬恋)、戸田真也(3年 白樺学園)の布陣で臨み、3位相当の好タイムでゴールしたが、1走から2走へのバトンタッチがバトンゾーンオーバーで失格となった(レース直後に肩を落とす4人)。男子のチームパシュートは由井翔(4年 市立長野)、由井篤樹(4年 佐久長聖)、大林昌仁(2年 佐久長聖)の長距離陣3人で臨んだ(男子チームパシュートの3人)。由井(翔)と大林の2人が由井(篤)を引っ張る形で滑り10位となった。
大会の結果、スピード競技男子の優勝は法政大(166点)、2位専修大(141点)、3位信州大(92点)、4位東洋大(84点)、5位早稲田大(81点)、6位日大(77点)、7位山学大(58点)、8位明治大(56点)などとなった。
スピード競技女子の優勝は日体大(170点)、2位山学大(157点)、3位高崎健大(148点)、4位信州大(84点)、5位大東文化大(77点)、6位八戸学院大(10点)、7位岩手県立大(8点)、8位早稲田大(4点)などとなった。スピード、フィギュア、アイスホッケーの3種目合計で競う総合成績では山学大女子は3位となった。
全ての競技を終えた山学大チーム、集まった選手に対し川上隆史監督は「インカレは、一人ひとりの思いやみんなの思いがすべて集結する特別な大会。全力を出し切ることを目標に戦い山梨学院の力を発揮してくれたと思います。4年生は社会人になるが、今日のインカレと4年間の思い出を忘れないで新たな道を切り開いてほしい。3年生以下は今ここに集まってくれている先輩や保護者の方々、支えてくれているスタッフの皆さんへの感謝を忘れずに来年以降も頑張ってほしい」とチームを支えた小原司・村山友里恵の2人の4年生マネージャーを含む全選手とスタッフ全員の健闘を称えた。
そして、山梨学院大スケート部は、マネージャーもユニホームに着替え、社会に巣立つ4年生との別れを惜しむラストランを行なった。惜別リンク周回のあと、4年生の男子6人・女子6人に後輩たちから花束が贈られた。花束を手にした4年生は、一人一人後輩に別れの言葉を述べた。由井翔男子主将は「このチームだから、キャプテンらしいことが出来なくても、みんながまとまってくれて戦うことができました。来年からもこの雰囲気の山学でいて下さい」と後輩たちに後を託した。伊藤さゆり女子主将は「キャプテンが翔と私で2人とも小さくて、どこから指示が出ているか分からないような感じでしたが、みんなに支えてもらい、苦しいこともたくさんありましたが、こうして笑顔で終えることが出来ました。今日までありがとう」と別れの言葉を結んだ。後輩を代表して戸田真也選手が「来年からは自分に任せて、心配せずに旅立ってください」と茶目っ気たっぷりに先輩たちを大笑いさせた。引退する12人は溢れ出るものに手をやり、監督・コーチ・チームメート・家族・支えてくれた人・ライバルだった他校のスケート仲間、すべての人と言葉を交わし、別れを惜しみ、苦しいときも辛いときもずっと友だったスケートシューズの紐を解いた。
文(M.T)カメラ(平川大雪)2015.1.9
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