山梨学院小学校で、学校3大プロジェクトの一つ「ウインタープロジェクト」が1月28日から2月4日の日程で行なわれた。期間中は全学年の壁が取り払われ、子ども自身が興味を抱いた講座を選び、自発的に学ぶ取り組みが行なわれた。今年は前半3日間と後半3日間に分け、英語でアフレコ講座など30講座が開設された。プロジェクトの狙いは、教えられるのではなく、自分の力で学び、失敗の中から生きる力を育ませる試み。期間中、教師は極力アドバイザーに徹する。自分で自分を高める学びのプロジェクトは、開校時の11年前から形や内容を毎年改革させて取り組んでいる山梨学院小独特の課題探求型授業、全国でも珍しい独創的な教育実践として注目を集めている。
山梨学院小は、運動要素主体の春の「スポーツプロジェクト」、文化的・芸術的活動主体の秋の「オクトーバープロジェクト」とともに、自主学習主体の冬の「ウインタープロジェクト」を学校の3大プロジェクトと位置づけて子どもたちの探究心を高める教育プログラムを実践している。期間中は1年生から6年生までの全学年の壁が取り払われ、興味を抱いたテーマについて低学年から高学年までの児童が一緒に学ぶ。今年は1月28日(水)から30日(金)までの前半3日間に15講座、2月2日(月)から4日(水)までの後半3日間に15講座の合計30講座が開設された。
ウインタープロジェクト2014開設講座一覧(1月28日〜2月4日) |
28日(水)29日(木)30日(金) |
2日(月)3日(火)4日(水) |
科学実験 |
人体のふしぎ |
ブロック推理 |
ヘアアレンジ解説 |
般若心経 |
お話迷路作成 |
戦国時代 |
三国志ファイナル |
ローマ字入力 |
動く!箱職人 |
東海道五十三次 |
クラシックワールド |
箱職人入門編 |
絵文字 |
世界遺産 |
鉄道 |
読譜マイスター |
ポルトガル語で遊ぼう |
色 |
クロスコインパズル |
ギネス記録に挑戦! |
正多角形と正多面体 |
山梨コンシェルジュ |
英語でアフレコ |
日本の名所 |
サッカールール |
江戸の暦 |
Cloth |
魔方陣 |
海の生態系 |
期間中は、各学年の教室と音楽館・環境館・芸術館・スポーツ館が各講座の会場に変わる。高学年の男の子に人気があったのが「三国志ファイナル」講座、6年a教室が三国志の舞台に一変、各英雄の名前が垂れ幕のように掲げられ、大型スクリーンに映し出される映画の場面をヒントに、子どもたちは自分オリジナルの三国志歴史絵巻を組み立てていた。一方、女の子に人気だったのが「ヘアアレンジ解説」講座、4a教室にロングヘアのヘアウィッグが持ち込まれ、子どもたちはゴムやリボンの使い方を教わりながら三つ編みなどを嬉しそうに学んでいた。また、2Fメディアセンターでは30数台のパソコンを使い「アナと雪の女王」「魔女の宅急便」などの名作アニメのセリフを喋る「英語でアフレコ 」講座が行なわれた。ヘッドフォンを耳にトライしていた4年生の女の子2人は「とっても難しい」と言いながらも果敢にチャレンジしていた。発音の採点はカナダ人のケネス・メレディース講師が担当し「もっとお腹から声を出して、もっと感情を込めて喋ると、もっといい発音になるよ」とアドバイスしていた。
ウインタープロジェクトの特徴は、一人ひとりがその時一番学びたい課題を学ぶところにある。普段の授業では学び切れないような深い知識を得るのも一つの狙い。期間中、色々な講座に参加することも可能であり、前半の「箱職人・入門編」、後半の「動く!箱職人」講座のように同じテーマの講座でずっと学ぶことも可能。山梨学院小は「自分の興味や能力を高めようと、自分で選び、自分の力で学んだ経験は、大人になった時に活きてくる貴重な体験になる」と捉えている。子どもたちの探究心"もっと知りたい"を一段と高めるウインタープロジェクトは、毎年方向と方法を探り、11年の研究年月を積み重ねている。
文(M.T)カメラ(平川大雪) 2015.2.4
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