世界水泳選手権(7月・ロシア)・ユニバーシアード(8月・韓国)代表選手選考会を兼ねた第91回日本選手権水泳競技大会競泳競技は4月12日、東京・辰巳国際水泳場で6日間の最終日のレースが行われた。連日世界水泳選手権代表を巡り激闘が繰り広げられ、各種目で好レースが展開された。会場に詰めかけた観客からも大きな声援が上がり会場の熱気も最高潮に達した。最終日の山梨学院勢は、午前中に女子400m個人メドレーに新大学生の山田千尋(1年 愛知・豊川高)と男子400m個人メドレーにやはり新大学生の西山雄介(1年 群馬・高崎商高)が予選に登場、初陣を飾った。山田千尋は健闘の11位。西山雄介も必死の泳ぎで頑張ったが28位だった。午後の決勝レースでは、この大会躍進著しい江原騎士(4年 山梨学院大附属高)の最後の種目男子1500m自由形に再び表彰台を狙ったが後半失速し、6位でレースを終えた。今大会、山梨学院最後の決勝レースは、女子200m背泳ぎで唯一決勝に残った山下安輝(4年 豊浦高)だったが、思い描いたレース展開が出来ず7位で泳ぎ終えた。
今回の大会は今夏の世界水泳選手権と来年のリオ五輪を見据えたもので100m、200mのレースで予選と決勝の間に準決勝を取り入れ、本番と同じ日程で行われた。数種目に出場する選手の調整や集中力をどこまで高められるかなど、勝つために求められるハードルが高い大会だった。実力者が言葉通りの活躍、中学・高校生の若い力が躍進し、実力者のまさかの展開など目が離せないドラマが、日本を代表する歴史と伝統のある大会を盛り上げた。
最終日の山梨学院勢で最も注目、期待されたレースは男子1500m自由形の江原騎士。初日に行われた男子400m自由形で3位に初めて表彰台に上がり、山梨学院勢に先鞭をつけ、男子200m自由形でも5位入賞を果たし名実ともにファイナリストに名を連ねた。短距離から長距離までこなすオールラウンダーで、レース前、『1500mの準備は出来ている』と話していた。飛び出しから、中盤まではいつも通り積極的なレース展開。江原騎士選手は「甘かったですね。200、300mまでは気持よく泳げていたのが、中盤ぐらいからすごく苦しくて、置いて行かれるのが分かって、そこで心が折れてしまって」1000mあたりから目に見えてペースを落とした。「離れていても追いつこう追い抜こうという気持ちがなければ、結局自分のタイムに繋がらないので今日のレースもまた失敗しちゃったのかなあ」とレースを振り返った。結局、力つき6位に沈んだ。インタビューの途中に神田監督から記者に分かるように、「全部ダメ。一からやり直し」と言葉が投げ掛けられた。これは、彼に対するこれからの期待と『この大会の結果に満足するな』との戒めの声と聞いた。
女子200m背泳ぎで決勝ではベスト以上のタイムを狙うと話していた山下安輝選手は、「結果的には悔いの残る結果でしたが、最後まで気持ちを切らさずにあきらめずに泳げたと思うので、もっとスピードを強化してこういう大きな大会でもしっかり結果が出せる選手に、気持ちの面でも強化していきたい」と悔し涙をこらえ気丈に話した。
他の山梨学院勢は、女子背泳ぎでは竹迫麻澄が大躍進し、50m7位入賞と100mでは、タッチの差(0.02)で表彰台を逃したが4位と大健闘。実力者・酒井志穂(カレッジスポーツセンター研究員)も本来の力からはほど遠い成績ながら50・100mで入賞。長距離のスペシャリスト木村雅人も800m自由形9位、1500mでも11位と入賞に近い記録を残した。他にも多くがベストタイムや順位を上げる成績を上げ、次につながる活躍を示したが、まだまだファイナリストとの差を感じる今大会だった。五輪や世界大会で輝かし実績を持つ鈴木聡美(カレッジスポーツセンター研究員)が女子50m平泳ぎで2位となる貫録を示したが得意な100mでの失敗レースが響き、200mでは予選落ちの大波乱を起こしたのも、忘れられない大会になった。捲土重来を期す。
≪最終日のレース結果≫
山梨学院勢 最終日の成績 |
名前 |
学年 |
種目 |
記録 |
備考 |
山田 千尋 |
1年 |
女子400m個人メドレー |
4分47秒23 |
11位 |
西山 雄介 |
1年 |
男子400m個人メドレー |
4分26秒38 |
28位 |
山下 安輝 |
4年 |
女子200m背泳ぎ |
2分13秒17 |
7位入賞 |
江原 騎士 |
4年 |
男子1500m自由形 |
15分22秒19 |
6位入賞 |
全種目終了後、江原騎士(4年 山梨学院大附属高)のユニバーシアード出場決定が発表された。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.4.12
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