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全日本選抜レスリング選手権大会

~高橋侑希選手、大会2連覇~
~プレーオフを制し、世界選手権出場権を獲得!~

平成27年度明治杯全日本選抜レスリング選手権大会が6月19日から21日の3日間東京・代々木競技場第2体育館で開催された。明治杯は、各階級の全日本ランキング上位選手によって競われる日本一決定戦。9月の世界選手権(米国)の日本代表選考を兼ねており、代表権を賭けて熱い戦いが繰り広げられた。山梨学院大レスリング部からはフリースタイルに6人、グレコローマンスタイル2人、OB4人が出場した。大会初日の19日は、日本レスリング協会から「東京五輪の金メダル候補」と期待がかかる、フリー65㎏級・藤波勇飛(1年 三重・いなべ総合高)が出場したが、一昨年この大会で優勝している井上貴尋(三恵海運)に3-4で初戦敗退。同じ階級の初見智徳(3年 千葉・関宿高)は、2回戦敗退。その他の山学勢は、グレコ130㎏級の貝塚賢史(2年 茨城・霞ヶ浦高)は初戦敗退。フリー97㎏級・第3シードの吉村裕介(3年 茨城・霞ヶ浦高)は決勝に進んだ選手に1回戦で敗れた。2日目は、フリー74㎏級の木下貴輪(2年 鹿屋中央高)が2回戦敗退。グレコ66㎏級・雨宮隆二(4年 韮崎工高)、フリー61㎏級・乙黒圭祐(1年 東京・帝京高)は初戦敗退した。3日目最終日にこの大会順当とは言えない山学勢の結果に、高橋侑希主将(4年 三重・いなべ総合高)が期待を一身に集めて登場した。第2シードの高橋侑希は、ロンドン五輪銅メダルリスト湯元進一(自衛隊体育学校)を下すと、積極的な攻めで流れに乗り、学生二冠王者の中村倫也(専修大)にもうまさで相手の攻めを凌ぐ試合運びで勝利、決勝に進んだ。決勝戦では、昨年の天皇杯で敗れている因縁のライバル森下史崇(ぼてぢゅう)を下し、明治杯2連覇を達成した。世界選手権代表選考には、天皇杯で敗れているため、森下史崇とのプレーオフに臨み僅差で勝利。昨年に続き世界選手権出場権を獲得した。 

明治杯は、9月に行われる世界選手権代表選考を兼ねており、試合は、昨年12月の天皇杯全日本選手権ベスト8位以内選手と強化委員会による推薦選手で争われる。世界選手権代表は、男子はフリー、グレコ両スタイルは、全日本選手権と今大会の優勝選手が違った場合、決勝戦終了後にプレーオフを行ったうえで強化委員会が理事会に推薦する。今年の世界選手権、来年のリオ五輪に繋がる大事な大会。各選手は代表権を賭けて熱い戦いを繰り広げた。

《19日 大会1日目》
大会初日の19日、日本レスリング協会から「東京五輪の金メダル候補」と期待がかかる、フリー65㎏級・藤波勇飛(1年 三重・いなべ総合高)が出場。1回戦が行われた。対戦相手は一昨年この大会で優勝している井上貴尋(三恵海運)。試合は、藤波勇飛の素早いタックルを仕掛けるいつもの動きが見られず、1P(ピリオド)で4ポイントを謙譲。小幡邦彦コーチは「初めてのタイプでやりづらかった。初めにとられたのが痛かった」と話した。試合終了間際には3ポイントを返したが、すでに遅く3-4で初戦敗退した。藤波勇飛選手は「強かったです。相手にうまさもあって自分の動きが出来なかった」と反省した。続いて登場したのは同じ階級の初見智徳(3年 千葉・関宿高)。ポイントを取ると取り返す展開になり、最後の最後までもつれる大接戦を制し、2戦目に臨んだ。試合は、相手に徐々にポイントを奪われ、0-10のテクニカルフォールで敗退した。初見智徳選手は「2試合目は、自分のレベルと違い強かった。足を触らすことが多いので、それを無くさないとだめですね」と課題を挙げた。その他の山学勢は、グレコ130㎏級の貝塚賢史(2年 茨城・霞ヶ浦高)は初戦敗退。フリー97㎏級・第3シードの吉村裕介(3年 茨城・霞ヶ浦高)も決勝に進んだ選手に1回戦で敗れた。OBではフリー125㎏級の金澤勝利(自衛隊体育学校)が準優勝した。

《20日 大会2日目》
最初に登場したのは、グレコ66㎏級の雨宮隆二(4年 韮崎工高)。対戦相手はグレコ71㎏級で仁川アジア大会5位、階級を下げて出場したベテランの藤村義(自衛隊体育学校)。雨宮隆二選手は「1Pは良い勝負ができたのですけど、2Pでは相手のうまさで一気にもっていかれた。オリンピック選手は強かった」と振り返るように、隙を見せた一瞬、相手にコントロールされテクニカルフォールで敗退した。フリー74㎏級の木下貴輪選手(2年 鹿屋中央高)は1戦目を果敢に攻め、逆転で勝利し2戦目に進んだが、「相手の距離でやってしまった。処理も悪かった。先制が取れないとどうしようもないです」と0-6での完敗を悔やんだ。JOCエリートアカデミー出身のフリー61㎏級・乙黒圭祐(1年 東京・帝京高)は、前半は激しい攻防で互角に争い、将来性のある片鱗を見せるも、後半は相手のペースで進められ、納得いかない大差で初戦敗退した。乙黒圭祐選手は「前半は行けると思ったけど、途中から取れるところで取れなくて、気持ちが切れてしまった」と精神的な弱さを反省した。同じくフリー61㎏級のOB鴨居正和(自衛隊体育学校)がこの大会初優勝を飾った。

《21日 最終日》
最終日、山学勢は世界選手権代表が期待されるフリー57㎏級・高橋侑希主将(4年 三重・いなべ総合高)が登場。第2シードの高橋侑希は、昨年復帰したロンドン五輪銅メダリストの湯元進一(自衛隊体育学校)と対戦。ベテラン相手に積極的に攻め、的確な試合運びでポイントを奪い4-0で勝利。2戦目は、その勢いで全日本大学選手権に敗れている学生二冠王者の中村倫也(専修大学)の攻めを凌いで5-0で下し、決勝戦に進んだ。決勝戦の相手は、昨年の天皇杯で敗れた因縁のライバル森下史崇(ぼてぢゅう)。お互い様子を窺う静かな展開で始まった試合は、決め手がなく攻め切れず苦しんだが、高橋侑希がリードした終了1秒前相手にポイントを奪われ終了。相手がチャージを申請し逆転をアピールしたが認められず、4-2の僅差で勝利。明治杯2連覇を飾った。この後、昨年の天皇杯優勝の森下史崇と明治杯優勝の高橋侑希が世界選手権代表を賭けてプレーオフが行われ、2戦連続で同じ相手との対戦になった。この試合でも高橋侑希が慎重な試合巧者振りを見せ、2-0で相手を退け世界選手権代表の座を獲得した。試合後、歴戦を物語る傷だらけの顔で現れた高橋侑希主将は「うれしい限りです。日頃の練習の成果が発揮できた結果です。自分から強気に攻めて点に結び付けられた」と勝因を語った。世界選手権出場については「昨年は5位だったので、今回はメダルを取って、オリンピックに繋げたい」と来年のリオ五輪へ照準を合わせた。最終日のOBでは、グレコ98㎏級の山本雄資(警視庁)が準優勝。グレコ59㎏級の倉本一真(自衛隊体育学校)が3位となった。

今大会、山梨学院勢現役選手は8人出場して、高橋侑希主将以外は2回戦が最高という結果に終わり、個々が真の実力を十分に発揮することができなかった大会だった。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.6.21