iCLA開設記念シンポジウム
~高校生や保護者、教育関係者らが全国から参加~
~リベラルアーツ教育の本質について理解を深める~
山梨学院大学国際リベラルアーツ学部(iCLA)開設記念シンポジウムが6月20日、東京国際フォーラムで開催された。このシンポジウムはリベラルアーツ教育の本質について理解を深めることを目的に基調講演やパネルディスカッションなどで構成。事前応募により当選した高校生や保護者、高校・大学教職員などの教育関係者や一般市民などが参加した。基調講演では、「リベラルアーツ教育とは?」と題し、開成中学校・高等学校の柳沢幸雄校長が講演。柳沢校長はリベラルアーツの定義や教育法などについて解説し、「学生は初学者であるため、全ての学問分野が新しい分野であり、教員は初学者の学問観の構築に役立つ個別指導を行うことがリベラルアーツ教育の真髄だと考えます。知識量が爆発的に増えた現代において、リベラルアーツ教育とは学生一人一人に体系化された知識を持たせることであります。そして卒業時に学生が自身の専門を言えるように教育することが、現代におけるリベラルアーツ教育であると私は考えます」と述べ、講演を結んだ。参加者らは講演やパネルディスカッションなどを通じ、グローバル社会におけるリベラルアーツ教育の本質について理解を深めていた。
iCLA開設記念シンポジウムには、関東を中心に全国各地から、定員を大幅に上回る応募があり、会場の都合でやむなく抽選を行った。会場となった東京国際フォーラム・ホールD7には、高校生や保護者、高校・大学教職員などの教育関係者のほか、グローバル展開する企業の関係者などが詰め掛けた。主催者を代表し古屋光司副学長が「山梨学院では、30年ほど前からカレッジスポーツの振興に力を入れ、現在までに42名のオリンピック選手を育てるなど実績をあげています。スポーツの振興はゼロからのスタートで山梨学院にとっては大きな挑戦でした。山梨学院は来年創立70周年を迎えます。山梨学院が次に掲げる目標が国際化です。この国際化を本気で進めるためにiCLAを作りました。iCLAでは、世界中から学生を募集し、そのために世界中から優秀な教員を採用しました。今後世界中の大学と交換留学を進め、教員・職員も交流を行い、あらゆる分野において世界標準を目指したいと思っています。そして、少し言い過ぎかもしれませんが、10年後を目途にアジアでNO.1のリベラルアーツカレッジを本気で目指したいと思っています。本日はご来場頂いた皆様とリベラルアーツ教育について理解を深める機会とさせて頂ければと思います」と挨拶し、シンポジウムは幕を開けた。
■基調講演「リベラルアーツ教育とは?」
開成中学校・高等学校の柳沢幸雄校長は講演の冒頭で“リベラルアーツ”の意味や定義などを解説し、これを踏まえ、リベラルアーツ(教養)を教え育む具体的な方法について提示。柳沢校長は自身が長年教育に携わってきた経験から、教養や創造力を育むには、「知識を理解させることと、知識を定着させることが重要だと最近感じています。つまり、教養は与えることはできない、創造力も与えることはできない。ただし、知識を定着させさせすれば、定着した知識がある量を超えた時に、融合して、教養や創造力になります。教養も創造力も受け手である学生の側で起きることであって、我々教育者が与える内容のものではないと私は考えています」と述べた。また、現代における“リベラルアーツ教育“について、「卒業時のゴールは専門・専攻を学生自身が言うことができ、かつ体系化された知識を学生の頭の中に身につけさせる教育がリベラルアーツ教育であります。そのための教育方法としては、ある分野における体系化された知識を習得するために、体系化された知識の習得経験のあるアドバイザー(教員)と学生が二人三脚で歩むことが重要であります」と語った。その上で、「学生は初学者であるため、全ての学問分野が新しい分野であり、教員は初学者の学問観の構築に役立つ個別指導を行うことがリベラルアーツ教育の真髄だと考えます。知識量が爆発的に増えた現代、リベラルアーツ教育とは学生一人一人に体系化された知識を持たせることであります。そして卒業時に学生が自身の専門を言えるように教育することが、現代におけるリベラルアーツ教育であると私は考えます」と述べ、講演を結んだ。
このほか、シンポジウムでは須賀等iCLA副学部長(2016年就任予定)によるiCLAの理念や教育概要等についてのプレゼンテーションやiCLAのアドバイザリーボードを務めるグラント・コーンウェル氏(ウースター大学学長)、ラリー・グッドウィン氏(セント・スコラスティカ大学学長)、フランク・エルスワース氏(ピッツァー大学前学長)、ゲリー・マコーマック氏(スターリング大学学長)とマイケル・ラクトリンiCLA学部長、シンシア・スパーダiCLA講師によるパネルディスカッション(テーマ:「リベラルアーツ教育の動向」)が行われた。また、須賀等iCLA副学部長(2016年就任予定)、渡邊竜介iCLA国際部長、武内隆明iCLA学部長補佐/渉外担当ディレクター、福原正大氏(IGS代表取締役社長)、坪谷郁子氏(Tokyo International School 代表)が「リベラルアーツ教育とキャリア」について、パネルディスカッションを行い、これまでの自身の経験や世界の潮流を踏まえ、時間の許す限り議論を重ねた。
シンポジウム終了後には講師やパネラーらと参加者との交流会も行われ、参加者は、積極的に質問や交流を行い、グローバル社会におけるリベラルアーツ教育の本質や重要性について理解を深めていた。
文(Y.Y)、カメラ(藤原 稔)2015.6.20