全日本学生柔道優勝大会
~山学大女子が2連覇、通算6度目の優勝~
~井坂希望、代表戦で死闘を制し優勝に貢献~
平成27年度全日本学生柔道優勝大会(男子64回、女子24回)が6月27日、東京・日本武道館で開幕した。1日目は女子の1回戦から決勝戦までと男子の1回戦の試合が行われた。女子は5人制と3人制の2部制。全国地域から34大学が参加した5人制に山梨学院が連続14回目の大会に臨んだ。前回大会優勝の山梨学院大は1回戦、2回戦と順当に勝ち進み3回戦に最初の関門国士舘大(東京)と対決、中堅まで1勝1敗1分の五分の接戦で気が抜けない展開に副将の佐野賀世子(4年 高岡龍谷高)が劣勢を挽回勝利し、大将の井坂希望(4年 八千代高)が引き分けに持ち込み接戦をものにすると、準決勝の龍谷大(関西)を退け、決勝戦に進んだ。対戦相手は、昨年この大会3位の帝京大(東京)。試合は、一進一退の行き詰る展開。1勝1敗2分けで大将戦にもつれ込んだ。井坂は積極的に攻め続けるも決め手が無いまま引き分け、代表戦での決着となった。代表戦でも井坂が体力の限界を賭けて死闘を繰り広げ、周りの応援を糧にした大将・井坂がついに優勢勝ちで試合を制し、優勝を呼び込んだ。勝利の瞬間、戦った選手、必死に応援し続けたサポートの選手たちが喜びを爆発させ、歓喜の涙を流した。山梨学院大は2年連続、6度目の大学日本一に輝いた。
試合方法は、女子は5人制と3人制の2部制で行われ、山梨学院は5人制で出場した。5人の点取り式によるトーナメント戦で、各試合の配列は、先鋒・次鋒は57㎏以下、中堅・副将は70㎏以下、大将は無差別と決められている。
女子5人制の部は出場34校がAグループ(17校)Bグループ(17校)に分かれ各1位によって優勝が争われる。Aグループの山梨学院大の1回戦は松山東雲女子大(中国四国)と対戦、5勝0敗オール1本で勝利。2回戦は福岡大(九州)に2勝3分けで勝利。3回戦準々決勝は決勝戦進出の鍵を握る宿敵、国士舘大との対戦となった。西田香穂主将(4年 甲府工)が試合前、「接戦になると思います」と話した通りの展開になった。先鋒の出口クリスタ(2年 松商学園高)は動きの速い攻撃的な試合運びでまず1本勝ちを収めると次鋒の鶴岡来雪(3年 新田高)は、昨年のアジア大会金メダリスト山本杏選手の執拗な攻めを巧みに凌ぎ引き分けに持ち込む健闘を見せた。関東大会から1年生ながら抜擢され、安定感抜群の中堅の新添左季(1年 天理高)は技ありを奪われ、ここまで1勝1敗1分、先が読めない展開に。前回大会で優秀選手に選ばれた副将・佐野賀世子(4年 高岡龍谷高)に期待がかかる一戦は、相手に力強く押し込まれ劣勢を強いられるが、後半一瞬の隙をつく大内刈りで技ありを奪い勝利、続く大将・井坂希望(4年 八千代高)が手堅く引き分けにし、2勝1敗2分けの接戦で勝利、準決勝に進んだ。
■3回戦準々決勝 《山梨学院大VS国士舘大 2勝1敗2分け》6/27 日本武道館
先鋒 | 次鋒 | 中堅 | 副将 | 大将 | |
山梨学院大 | 出口 | 鶴岡 | 新添 | 佐野 | 井坂 |
○ 一本 |
引き分け | ● 技あり |
○ 技あり |
引き分け | |
国士舘大 | 窪田 | 山本 | 池 | 小川 | 畑村 |
続く準決勝では、危なげなく勝ち星はオール1本で決勝に進出した。
■準決勝 《山梨学院大VS龍谷大 4勝1敗》
先鋒 | 次鋒 | 中堅 | 副将 | 大将 | |
山梨学院大 | 出口 | 月野 | 榎谷 | 新添 | 西田 |
○ 一本 |
○ 一本 |
● 一本 |
○ 一本 |
○ 一本 |
|
龍谷大 | 田中 | 北岡 | 米澤 | 尾崎 | 児島 |
どーんと大太鼓が響き渡る日本武道館の決勝の舞台に上った山学大が迎えた対戦相手は帝京大学。前回大会3位、今年の東京地区大会で国士舘を破り優勝している強豪だ。試合は、先鋒の月野珠里(2年 大成高)が引き分けると、次鋒・出口は組み手争いから仕掛けた巴投げが有効となり勝利したが、中堅・佐野は相手に有効を奪われ敗れ、1勝1敗1分け。優勝争いは続く副将と大将の勝敗にゆだねられ、2校の応援ボルテージも最高潮に達した。副将・新添が優勢に試合を進めながらポイントを得られず、引き分け。大将の井坂にすべてを賭けた。重量級の一戦だが、井坂は、強気に攻め込み積極的に技を繰り出すが、今一歩及ばず5分間が終了、代表戦に持ち込まれた。代表戦は、引き分けた階級の中から1組を抽選しゴールデンスコア方式で勝敗を決定する。選ばれたのは試合を終えたばかりの大将組の再戦になった。試合は、ここでも井坂が果敢に気力を絞り、体力の限界を超えた死闘を繰り広げ4分35秒ついに優勢勝ちを収め勝利した。勝利した瞬間、戦った選手、応援に周った選手たちは喜びを爆発させ、抱き合い、歓喜の涙を流して互いに優勝を祝った。優勝殊勲者の井坂希望選手は「最後の優勝大会なので指導でもいいから勝って優勝したい、絶対に負けたくない、絶対に勝ってやるという思い出で戦いました」と話した。山梨学院は2連覇を達成、通算6度目の優勝を飾った。
■決勝戦 《山梨学院大VS帝京大 1勝1敗3分け》
先鋒 | 次鋒 | 中堅 | 副将 | 大将 | 代表戦 | |
山梨学院大 | 月野 | 出口 | 佐野 | 新添 | 井坂 | 井坂 |
引き分け | ○ 有効 |
● 有効 |
引き分け | 引き分け | ○ 優勢 |
|
帝京大 | 安田 | 志々目 | 松本 | 佐俣 | 月波 | 月波 |
試合後、山部伸敏女子監督は「今年は力の差がないなかで戦うことになると予想していたのでどこで当たっても必ず競う、そういった試合をどう勝ち切るかという練習をどうするかを考えてきた。このチームはまだ伸びしろがあると思っていたので、関東大会で筑波大に負けたことでもう一度全員でやり直し準備を進め、手ごたえを感じ武道館にやってきました」と練習の成果を語った。西田香穂主将は「最高にうれしいです。みんなにありがとうの気持ちでいっぱいです。関東で負けたからここまでやってきて大丈夫だという自信があった。自分が試合に出てない時も仲間を信じ切っていましたし、自分が出た時もあれだけやってきたから絶対に大丈夫だと思って試合に臨みました。最後の井坂の粘りは、山梨学院の練習が出たなと思いました」と、監督、選手が絆で結ばれ、関東大会の悔しさを練習で克服したなか勝ち取った優勝を振り返った。
この大会で優秀選手賞を受賞した出口クリスタ選手は「去年は余りチームに貢献が出来なくて、今年、今度こそみんなの役に立ちたいなという気持ちで臨みました。団体としても目の前の相手に個人としても勝たなきゃいけないと思ったので、決勝は有効しか取れなかったけれどそれまでは全部一本で勝ち上がることが出来たのが優秀賞につながったと思います」と受賞の喜びを語った。
女子5人制の部は、優勝山梨学院大、準優勝帝京大、3位筑波大と龍谷大となった。27日に行われた男子1回戦で山梨学院大は法政大学に3勝2敗2引き分けで勝利し、28日の2回戦に駒を進めた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.6.27