平成27年度全日本学生柔道優勝大会
~昨年優勝校・東海大に食らいつくも及ばず~
~今大会も昨年同様ベスト8、来年に期す!~
平成27年度全日本学生柔道優勝大会(男子64回、女子24回)男子が6月28日東京・日本武道館で行われた。昨日1回戦が行われ、この日は2回戦から決勝戦までが争われた。男子は各地区から勝ち進んだ62チームが参加し、各チーム7人の点取り式によるトーナメント戦で争われ、学生日本一を競った。昨日2連覇を飾った女子に続き、山梨学院はベスト8だった前回を大きく上回る優勝を目指して試合に臨んだ。昨日行われた1日目の1回戦は法政大(東京)と対戦、3勝2敗2分けで勝利。28日2日目の2回戦は、金沢学院大(北信越)との対戦。6勝1敗で勝利すべてが一本勝ちと、相手を寄せつかない強さで退けた。3回戦の同志社大(関西)との対戦では、山梨学院の重量級に軽量級を当ててきた作戦に、山梨学院・藤井靖剛(2年 桐蔭学園高)、春日良太(2年 東海大相模高)が小柄な相手に翻弄され動揺する場面もあったが、何とか凌ぎ、4勝1敗2分けで勝利。4回戦は、昨年の優勝チーム東海大(東京)。打倒東海大を目標に、厳しい練習を積んできた選手たちにとって、乗り越えなければならない強豪との戦いは、中堅に陣取った飯田健伍主将(4年 崇徳高)の同点に追いつく豪快な一本勝ちが、流れを引き寄せる価値ある勝利と思われたが、続く3連続一本負けで力尽きた。山梨学院はここでベスト8が決まり、昨年の壁を越えられなかった。今大会の男子優勝校は筑波大学、準優勝東海大学、3位日本大学、国士舘大学、となった。
試合方法は、男子は1チーム7人の点取り式によるトーナメント戦で行い、体重制限無しで選手配列は自由。この大会では、特に男子の選手配列自由の組み合わせは、軽量級と重量級の対戦もあり、「柔よく剛を制す」と言われるように、小さいものが大きい者を投げ飛ばす柔道本来の面白さがある。
■1日目 1回戦 《山梨学院大VS法政大 3勝2敗2分け》6/27 日本武道館
1回戦は、法政大学との戦いに臨み3勝2敗2分けで勝利したが、試合後控え室で西田孝宏総監督は「情けない、話にならない、格下のチームにこのような試合をするようじゃ、試合をなめている、たまたま負けなかっただけ」と厳しく叱責した。
■2日目 2回戦《山梨学院大VS金沢学院大 6勝1敗》 6/28 日本武道館
日本武道館に“どーん”と轟く大太鼓の音で試合が始まった。山梨学院は2日目の第1試合目。試合前、西田孝宏監督は「気持ち、気合、強気、妥協しない、余計なことを考えずに試合に集中しろ」と選手を送り出した。試合は、昨日と打って変わり落ち着きと積極性をもって相手を寄せつかせぬ強さで、6勝1敗で退けた。勝ちはすべて一本勝ち。
■2日目 3回戦《山梨学院大VS同志社大 4勝1敗2分け》
昨日とは違う選手たちの動きは、上に進むごとに高揚してくる感情がみなぎっていた。3番手の五将までは、有効を取り合いと引き分けで、一進一退。中堅の藤井靖剛(2年 桐蔭学園高)、三将の春日良太(2年 東海大相模高)の重量級に相手は軽量級を当てる陽動作戦を仕掛けてきた。小柄な相手に翻弄され動揺する場面もあったが、藤井は手こずりながら有効を奪い勝利。春日は先にカウンター的に技ありを決められたが、後半、技ありで同点にすると、残り1秒で起死回生の大外刈りを決め1本を勝ち取った。大将の渡辺大樹(2年 埼玉栄高)も横四方固めで1本勝ちを納めた。
《山梨学院大VS同志社大 4勝1敗2分け》
先鋒 | 次鋒 | 五将 | 中堅 | 三将 | 副将 | 大将 | |
山梨学院大 | 三浦 90㎏ |
大町 90㎏ |
前野 100㎏ |
藤井 120㎏ |
春日 100㎏ |
飯田 110㎏ |
渡辺 100㎏ |
● 有効 |
○ 有効 |
引き分け | ○ 有効 |
○ 一本 |
引き分け | ○ 一本 |
|
同志社大 | 山田 100㎏ |
深瀬 120㎏ |
高波 90㎏ |
大和田 情報なし |
山本 85㎏ |
梶谷 110㎏ |
米村 135㎏ |
■2日目 4回戦準々決勝《山梨学院大VS東海大 1勝4敗2分け》
3回戦準決勝は乗り越えなければならない壁がはだかった。昨年のベスト8を越えることは昨年の覇者、東海大(東京)に勝利すること。飯田健伍主将は「正直、東海大に勝たなくては次のこともないので、東海大のことしか考えてなかった」と心境を語った。まず、先鋒の前野玲音(2年 修徳高)がいい形で引分け、次鋒・大町隆雄(2年 大牟田高)は、相手の激しい攻めをよく凌いだが、終了直前に技ありを取られ、惜しくも逃げ切れず、五将の飯田主将に挽回を託した。飯田は、開始から足を狙い仕掛けチャンスを窺う、後半掛けた大内刈りが豪快に決まり、一本を奪うと思わずガッツポーズを見せた。これで流れを引き寄せたかに見えたが、その後3選手が立て続けに一本を取られ、結局1勝4敗2分けで、昨年同様ベスト8に終わった。
《山梨学院大VS東海大 1勝4敗2分け》
先鋒 | 次鋒 | 五将 | 中堅 | 三将 | 副将 | 大将 | |
山梨学院大 | 前野 100㎏ |
大町 90㎏ |
飯田 110㎏ |
春日 100㎏ |
佐藤 135㎏ |
渡辺 100㎏ |
藤井 120㎏ |
引き分け | ● 有効 |
○ 一本 |
● 一本 |
● 一本 |
● 一本 |
引き分け | |
東海大 | 中野 100㎏ |
ウルフ 100㎏ |
近藤 115㎏ |
香川 135㎏ |
倉橋 135㎏ |
ベイカー 90㎏ |
影浦 120㎏ |
試合後、叱咤激励し選手を鼓舞し続けた西田孝宏総監督は「地力は東海大のほうが上だとはっきりしています。世界選手権に出るような選手もいますし、ただまったく力を出せずにボロ負けということはなかった。手が届く範囲の試合だった。昨年と同じベスト8ですけど、次に繋がる試合が出来たという思いはあります」と、手ごたえを口にした。飯田健伍主将は「僕はキャプテンとして、点を取ってこないと価値がないと思っているので、キャプテンとしての仕事はできたと思います」と話した。続けて「みんな今年以上の力を持っているので来年までに僕がもっと強い選手にしていきたい」と力強く前を向いた。
今大会の男子優勝校は筑波大学、準優勝東海大学、3位日本大学、国士舘大学、山梨学院大学はベスト8となった。
学生スポーツは、いつも涙が美しい。今大会もさまざまな涙が流れた。勝利して流すうれしい涙。負けて流す悔しい涙。仲間のために流す涙。すべて一途に取り組んできた涙。だからこそ美しい涙。学生スポーツの純粋な涙に心が洗われた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.6.28
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