山梨学院短大で「伝統料理教室」開催
~シニア世代が「おざら、あずきほうとう」作り~
~食物栄養科の学生が協力~
山梨学院短期大学はこのほど、同短大の地域連携研究事業の一環として「シニア世代の伝統料理教室」を開いた。郷土料理の伝承を目的として行われたもので参加者約50人が短大の食物栄養科の学生と共におざらやあずきほうとう、野菜てんぷらをつくった。同短大の依田萬代教授が山梨の伝統料理「おざらとあずきほうとう」の歴史や食文化のことを紹介。続いてつくり方の見本を示した後、参加者は数人のグループに分かれ、それぞれおざらとほうとうの生地づくりから始め、のし棒で生地を伸ばし、おざら用とほうとう用に切り分け、茹で上げた。出来上がった料理をそれぞれのグループでおいしそうに試食した。
昔から食と祭事は密接に関係性が高いといわれる。祭事に振舞われる食事は、季節にその土地で収穫されたものが出される。「ハレの日の食」である。一地方の郷土料理として永年の経験に基づいて工夫された調理法により、天与の恵みに感謝しその技法を伝承し、生活の知恵を伝えている。しかし、その郷土食も食生活習慣の変化から忘れ去られようとしている。こうしたことから今回、山梨学院短大は、地域連携研究事業の一環として、山梨の伝統料理を受け継ごうと、「シニア世代の伝統料理教室」を開催した。ハレの日や祭日に食べられていた「あずきほうとう」や暑い夏の日に好まれ食べられてきた、山梨を代表する「おざら」を作る料理教室に多くの人が参加した。
郷土料理の伝承を目的に行われた「伝統料理教室」には、約50人の参加者が集まった。男性の参加者もいたが、圧倒的に女性が占めており、今回のテーマのシニア世代の年齢層が多かった。まず、初めに短大の依田萬代教授が今回つくる「おざらやあずきほうとう」の歴史や食文化の説明をしながら手本を示し、参加者は数人のグループに分かれ学生に手伝ってもらいながらほうとうの生地づくりから、のし棒で生地を伸ばす作業を楽しそうに体験した。その後おざら用とほうとう用に切り分け、茹で上げた。参加したシニアの女性の多くは、家庭では伝統料理をほとんど自分では調理したことがないといい、先生や学生と共に一生懸命に取り組んだ。出来上がった料理は、それぞれのグループで試食し、参加者は満足そうに食べていた。短大が行ったアンケートでは、参加者は、今回の研修会を高く評価しており、今後も参加したいと答えていた。
◆参加者の評価は
調理実習でつくった料理がよかった。 (97.6%)
研修会が分りやすかった。 (78.6%)
今後このような研修会に参加しますか。 (85.4%) が参加すると答えた。
◆アンケートの内容
Q.今回の研修会で特に良かったことは何ですか。
◎食文化の歴史、郷土料理の歴史などがわかった。(12人) |
◎調理ができてよかった。楽しかった。(7人) |
◎麺づくり、麺ののばし方、おざらを細く切ったこと。(3人) |
◎学生が各班についてくれてよかった。(2人) |
◎知らない人との出会いがあり、よかった。(2人) |
◎汁がおいしかった。具が多くてよかった。(2人) |
◎味の調和。(1人) |
◎全体的によかった。(1人) |
などの意見が寄せられ、シニア世代のニーズにあった内容から、参加者が満足いく研修会だった。今回、指導を担当した山梨学院短大・依田萬代教授は「山梨の伝統的郷土料理がすたれてしまうのは、さびしい。後世に伝えていかねばならない。だからシニア世代の中に学生に入ってもらった」と話していた。
スーパーマーケットには様々な食品が並び、レストランなど飲食店では世界各国の料理が何でも選べることができる。一方、外国では日本食ブームが起きている。日本食は、見た目の美しさ、手の込んだ繊細な味が評価され好まれている。その原点にあるのは、シンプルでその食の素材の味を生かしたそのもの。郷土料理はまさしくその土地で収穫され、その地域特有のシンプルな調理方法で残されてきたもの。現在のありとあらゆる食品があふれる中、今回の取り組みを通じて、地域で受け継がれてきた郷土料理を今一度見直す機会にしたい。
文(K.F) 資料・写真提供(山梨学院短大) 2015.9.2