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日本学生選手権水泳競技 最終日
~竹迫麻澄が100m背泳ぎで初優勝~
~江原騎士は1500mでも2位表彰台~

静岡・古橋廣之進記念浜松総合水泳場・ToBiOで開催されてきた「第91回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)」は9月6日、最終日を迎えた。男女5種目の予選・決勝・B決勝レース、昨日予選の男子1500m自由形と女子800m自由形の決勝が行われた。山梨学院大勢は、個人種目男子15人、女子14人と男女800mフリーリレーに出場(リレーに併せて出場する選手も含む)した。このうち、決勝に男子3人、B決勝に2人、女子は決勝3人、B決勝2人、リレーは男女ともにB決勝に進出した。まず、最初の決勝レースに登場した江原騎士選手と木村雅人選手。江原は、今や風格漂う力泳で2位の表彰台に立った。木村はベストに僅かに届かなかったが、6位と健闘した。最終日一番の快挙は、女子100m背泳ぎで初の優勝を勝ち取った竹迫麻澄選手。苦しい練習を乗り越え、4年生最後に得た優勝に涙と笑顔で観客席に応えた。神田監督が言う「苦しい内容の大会」と言うように前半、思うように得点が上がらない中、江原男子主将中心に最終日に全員が全力を出し合いレースに向き合った。大会の華、男女の800mフリーリレーで会場のボルテージは急上昇。山梨学院は頑張った。男子はB決勝の1位。女子は7位。学校別対抗戦で争われてきたインカレ水泳は女子が8位でシード権を確保。男子は10位、シードの8位以内は確保できなかったが健闘した。

◆《男子1500m自由形決勝 江原騎士・木村雅人》

江原騎士(4年 山梨学院高)の最近の泳ぎには風格が出てきた。持ち味の前半を飛ばし、後半持ち堪える泳ぎに大きく変わることはないが、練習量と精神的な余裕が一回りも二回りも彼を成長させた。前半は、無理して飛び出さず3番手で様子を窺った。500mあたりで2位に浮上、1位の選手には少しずつ離されたが、最後には詰める頑張りを見せ、2位でゴールした。ベストには届かなかった。江原騎士選手は「1位の平井選手(明治大)が速くて、自分のタイム(ベストより4秒遅い)では1500を戦えない。2位で得点を取れたのは良かった」と表情には反省と安堵が混在していた。

昨日の予選で自己記録を更新して決勝に臨んだ木村雅人(4年 宮城・東北高)は、前半8位と出遅れたが、後半少しずつだが前を追いかけ、7位、6位と順位を上げ、ゴールした。決勝は自分のすべてを出した充足感に満ちていた。木村雅人選手は「大学で初めてこのような大きな舞台で決勝に出たのも初めてなので少し緊張してしまって、予選で出したタイム落としてしまった。自分なりに精一杯出し切ったので悔いはないです」と精一杯やり切り。ほっとした表情で話した。

◆《女子100m背泳ぎ決勝 竹迫麻澄》

竹迫麻澄(4年 愛知・中京大附属中京高)はインカレのこの種目4年間で8位、4位、昨年3位での表彰台、そして今大会ついに優勝という頂点を極めた。午前中の予選を2位で決勝に進出、表彰台の期待を抱かせた。前半から積極的に攻め、後半もまったくピッチを落とさない果敢な泳ぎで、2位とタッチの差で競り勝った。記録は前日女子400mメドレーの第1泳者で出したベストをさらに上回った。優勝インタビューでは「優勝してチームに貢献することが一番と思っていたので、仲間の顔を見たら」と声を詰まらした。竹迫麻澄選手は「今日は納得ができるレースができました。コーチから初めから突っ込んで行けと言われ、最後まで耐えることができました。最高です」と喜びを表した。

◆《男女800mフリーリレーB決勝》
男子=江原・陶山・土橋・木村  女子=本間・竹迫・渋井・山田

男子は、第1泳者・江原騎士は母校の名誉と誇りを背負っていた。飛び込みで1番の反応を見せると、ピッチを上げ2位以下をまったく寄せつかせず、2位に身体一つ半離し、貯金を作った。第2泳者・陶山周平(1年 山梨学院高)、第3泳者・土橋健也(1年 千葉・東海大付属浦安高)はともに1年生ながら気後れなく少しずつ他校を引き離し、第4泳者に引き継いだ時は、身体3つ分リードしていた。第4泳者・木村雅人は1500m自由形で6位の自信を持って泳いでいた。ラスト25m、2位の鹿屋体育大に猛迫され。必死に逃げ切り1位獲得した。今大会最後のレースで見せた4年生2人、1年生2人4人のメンバーの全身全霊の泳ぎに応援席は声援を上げ続けた。江原騎士選手は「1500m泳ぎきった後なのに、なかなかのタイムでこれだけ出すことができましたが、もう少しタイムを上げないと強くなれない」とまだ先を見据えていた。陶山周平選手は「予選よりタイムを落としてしまって、何とか勝てて良かったです」と勝利貢献するも自分を諌めた。土橋健也選手は「1年生からこんないい経験させてもらって来年に繋げたい」と話し、第4泳者・木村雅人選手は「4年生最後でもあり、このメンバーで泳ぐのもラストなので無我夢中で泳ぎました」と話し、勝利を素直に喜んだ。

女子も4年生2人、1年生2人の4人のメンバーで臨んだ。第1泳者・本間あかり(4年 山形・羽黒高)、第2泳者・竹迫麻澄(4年 愛知・中京大附属中京高)は決勝種目の疲れからか、泳ぎに力強さが感じられなく7位で第3泳者・渋井柚実(1年 山形・日大山形高)に繋いだ。小柄な渋井はピッチの速い泳ぎで4位まで順位を上げた。第4泳者の山田千尋(1年 愛知・豊川高)も全力で前を追ったが最後は後続に捉えられ、7位でレースを終えた。
レース後、本間あかり選手は「疲れました」とほっとした柔らかな表情で一言。竹迫選手も「シード権が掛かっていたのですが、もう大丈夫と言われ、ほっとしてちょっと気持ちが切れてしまった部分もあります」とシード権を争うなか、本間選手とともに個人種目、リレーと気持ちを集中し、奮闘していたことを窺わせた。

他の山梨学院勢は、女子400m個人メドレーを得意とする山田千尋選手(1年 愛知・豊川高)は決勝で5位の健闘を示したが、選手控え席に戻るなりマネージャーの前で悔しさに泣きじゃくった。続いて行われた男子400m個人メドレー・西山雄介(1年 群馬・高崎商高)は予選を8位、自己記録を3秒更新して決勝に進出。決勝では順位を1つ上げ7位でゴール。西山雄介選手は「予選でいい泳ぎができたので、積極的なレースをしようと思っていたんですが、結果は順位もタイムもあまり良くなかった。でも決勝泳げたことはいい経験になりました」と話した。竹迫選手が優勝した女子100m背泳ぎB決勝に出場の瀬下茉利(2年 愛知・豊川高)はB決勝4位で大会を終えた。瀬下茉利選手は「今、この時点で筑波大とシード争いをしていて、隣の筑波の選手には負けられない、それから予選よりは順位を上げようと泳ぎました」。必死さが伝わる言葉が聞かれた。インカレは学校対抗の戦い、こういうものだ。男子100m背泳ぎ4年生の平澤一洋(4年 埼玉・武南高)は最後のインカレで自己記録と同タイムでB2位に入り、有終の美を飾った。平澤一洋選手は「B決勝で1位通過だったですがB決で決勝に残れるところまで来たので満足しています」と話した。女子200m平泳ぎで予選15位、B決勝に進出した柴山鈴加(4年 富山・富山商高)はB3位に入り、予選、決勝ともにベストタイムを叩き出した。柴山鈴加選手は「目標にしていたタイムが最後に出て良かった。周りが見えていたので諦めずに最後まで全力で泳ぐことができました。同期の麻澄(竹迫)が優勝したのを見て私も行けると自信を持ちました」と4年間の仲間との思いをレースに懸けた。

◆《4年生の 言葉》
仲間と励まし合い、自分と向き合い孤独との戦い、切磋琢磨してきた4年間を、木村選手は「あっという間でつい最近までつらい練習をしてきたのも懐かしく思えてしまって、この日に照準を合わせたみたいに全部を出し切った感じがします」。竹迫選手は「楽しかった。最高だったという一言に尽きます」。本間選手は「1年の時に50mで決勝に残れて、100mは同じ大学の先輩に敗れ9位で決勝に残れなくて、来年こそはと言い続けて3年が経ってしまいました。最後の年に決勝で残れ、ベストが出せて楽しかったです。4年間悔いはないです」。笑顔と涙を浮かべて話した。柴山鈴加選手は「4年間目標にしていたタイム切りができたのが良かった」。平澤一洋選手は「1年からインカレに出ていますけど、何番か分らないくらい下の方から始めて、今まで決勝にカスルなど考えていなかったので4年間頑張って来た甲斐はあったかなと思います」。江原騎士選手は「インカレでは1年から3年まで満足いく結果がでなかった。4年の今回は400で優勝、1500で2位、800リレーでB決勝1位で男子では4年間の中で一番濃かったので良かった」とそれぞれ振り返った。

レースがすべて終わり、神田忠彦監督は大会を振り返って「内容は非常に苦しかったです。エースはエースとして頑張ってくれたですが、特に女子で去年活躍してくれた選手が、夏場にしっかりとうまく練習ができず、結果を見るとその辺の積み重ねの大事さが良く分りました」と悔いた。来期ついては「超高校生級が入ってくることは非常に難しいので今いる学生たちに一段も二段もランクアップしてもらうしかないです」と厳しい試練に顔を引き締めた。

「トビウオ」の異名を持ち、選手時代に33回の世界記録を更新した古橋廣之進の言葉の中にある「努力の前に壁はない」。練習は不可能を可能にすると言われる。今のトップスイマーは人より努力を重ね、厳しい練習に耐えて上りつめてきた。江原騎士選手も神田監督の厳しい指導の下、努力で大きく成長した。男女4年生が抜けた後に続く、後輩スイマーたちは練習に練習を重ね山梨学院大水泳部の新しい歴史を作るべく努力を続けて行くことが至上命令だ。同じく古橋・先達の言葉「魚になるまで泳げ」。

山梨学院勢3日間の成績
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.9.6