山梨学院ワイン講座2015 第1回
~山梨の食とワインの新しい流れ~
~「食の中にワインは必要か」を考える~
山梨学院生涯学習センターは9月18日、山梨学院ワイン講座2015「山梨の食とワインの新しい流れーワインのある暮らしを重ねるー」を開講させた。この講座は、ワインと食の関わりを中心に全4回行われる。第1回目は「食とワイン~そもそも食とは何か?食の中にワインは必要か?~」をテーマに、恵林寺住職・古川周賢氏、料理研究家・真藤舞衣子氏、ワインエキスパートの古畑昌利氏がそれぞれの分野から講演した。山梨県はワインの産地でありながら、あまり飲まれてこなかった山梨ワインを栽培家、若手醸造家が山梨ブランドにこだわり、価値あるワイン作りの機運が高まった。山梨ワインを再認識した時代になった。特に山梨ワインがどの料理に合うか、食文化に定着するか注目を集めるようになった現在、もう一度、「食」の原点に立ち戻り私たちに大切な食にワインが必要か、考察する。2008年度に始まった講座は、8回目を数え、今年度は4回の講座が予定されている。第1回の講座には講演だけを聴くハーフコースに20人、ワインの味をテイスティングするフルコースに39人が参加した。
最初に挨拶した山梨学院生涯学習センター・永井健夫センター長は「日本有数のワイン産地に立地している大学としてワインの産業、文化に少しでも貢献しなければと今までワイン講座を開いてきました。昨年度まではぶどう作り、醸造、流通、サービスといったワインそのものの成り立ちについて考えていく内容でしたが、今年度はワインだけでなく食文化や料理を巡る講座にしました」と趣旨内容を説明した。4回の講座を企画した総合コーディネーターの笹本貴之氏は「今までワインを知ってもらおうとやって来ましたが、勢いあまってワインが特別なものに、一部の『通』の人のものになってしまったような感覚があります。そこでもう一度ワインというものは何なのかを捉え直そうと、食を前に出して考えようと企画した」と話した。
今回の山梨学院ワイン講座2015は、「山梨の食とワインの新しい流れ-ワインのある暮らしを重ねるー」。第1回目の講座は、「食とワイン~そもそも食とは何か?食の中にワインは必要か?~」を3人の講師がそれぞれの分野の立場で講演した。最初に、恵林寺住職・
古川周賢氏が講演した。古川氏は禅、哲学、古典教養などをベースに社会人教育のあり方に取り組んでいる。禅寺の「食」から食の原点を見つめる、というテーマで古川周賢氏は「仏教には托鉢というものがあります。労働が禁じられているため、托鉢をして食べ物をいただいている。命を繋ぐ食を他者に委ねること。自分は生かされている。今豊かな国にいるとそうは思わないが、いや違うぞ、生かされているんだということを実感として持ってもらいたい。命をいただいて生きている。それを忘れないように禅宗では労働を禁じ托鉢をして恵みをいただいている」と話した。続いて講演した料理家・真藤舞衣子氏は東京都出身の料理家。結婚を機に山梨に移住して5年、土地の食材を使った料理教室や食育活動など幅広く活動している。真藤舞衣子氏は「肉や魚、野菜どれも尊い命をいただいて料理し、食事していることを忘れずにやっています。ちょっと手を加えるだけで美味しくなったり、食材に敬意を持って無駄にしないことで、丁寧に料理することができます」と話した。また、新聞記者としてワイン業界を取材したことをきっかけに、自身もソムリエの資格を取得。現在は、サラリーマンとして勤める傍らワインエキスパートとして、山梨のワイン業界に貢献する古畑昌利氏は「高い技術を身に付けた醸造家が増加して甲州種ワインの質が上がった。山梨の食とワインを考えると甲州種は不可避。各地の特産物を使った個性豊かな伝統料理に土地のワインを合わせることで理屈抜きに食事を楽しめる」と食の中にワインが必要と言及した。3人の講演のあと、フルコース参加者39人は真藤氏が作った料理にワイン4種を飲み比べるテイスティングを行い、意見交換を行った。
◆山梨学院ワイン講座2015
第1回 9月18日(金)
「食とワイン~そもそも食とは何か?食の中にワインは必要か?~」
古川周賢・恵林寺住職
真藤舞衣子・料理家
古畑昌利・山梨日日新聞社コンテンツ事業局副部長/ワインエキスパート
第2回 10月16日(金) 魚とワイン
秋山冨一・(有)忍沢養殖場代表取締役(甲斐あかね鱒生産者)
広田昭二・ワイナリーレストラン「ゼルコバ」総料理長
第3回 11月20日(金) パンとワイン
割田健一・ブーランジェリーレカン シェフ
若尾 亮 ・(有)マルサン葡萄酒代表取締役
第4回 12月25日(金) 野菜とワイン
江間 篤・サラダボールKitchen白州べるがマネージャー
久保秀博・(有)久保酒店専務取締役
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.9.18