山梨学院パブリシティセンター

HOME

山梨学院パブリシティセンターニュースファイルイメージ画像

第27回出雲全日本大学選抜駅伝競走
~駅伝シーズン開幕。堂々の2位発進~
~4区上田健太、区間2位。最終ニャイロ区間賞~

「第27回出雲全日本大学選抜駅伝競走」が10月12日、島根・出雲大社前をスタート、出雲ドームをゴールに6区間、全長45.1kmで競われた。全国から選抜された20チームと米・アイビーリーグ選抜チームの計21チームが出場。スピード駅伝大学NO.1を競った。山梨学院大は3年ぶり20回目の出場となり3位までのシード校入りを目指した。1区に起用されたのは全国高校駅伝優勝メンバー、市谷龍太郎。レースの流れを決めるエースクラスが揃う重要区間でまずまずの7位で襷を繋ぐと、3区地元松江市出身の佐藤孝哉が持ち前の粘りの好走で4位に順位を押し上げ、続く4区、高校駅伝優勝メンバーの上田健太が積極的な走りで区間2位の快走。最終6区、4位で襷を受けた留学生ドミニク・ニャイロはすさまじい追い上げ。5区で1分09秒あったトップとの差を38秒差まで縮める激走。2人をかわし、2位でゴール。3位までに与えられる来年のシード権を獲得した。

大学三大駅伝の開幕レース、出雲駅伝は平成元年に誕生し、今年が27回目。「全日本大学駅伝」、「箱根駅伝」と並び大学三大駅伝と呼ばれ、毎年「体育の日」に開催している。出雲駅伝は6区間全長45.1kmと全日本大学駅伝の8区間106.8km、箱根駅伝10区間217.1kmと比べ距離が短く、スピードと総合力が求められる大会。

◆第1区 市谷龍太郎(2年 石川・山梨学院高)
《出雲大社正面鳥居前~出雲市役所・JAしまね前(第1中継所)8.0km》

1区に抜擢された市谷龍太郎選手は、昨年の全日本大学駅伝で1年生デビュー。今年の箱根駅伝に1年生で唯一出場した。エースクラスが揃う1区は、流れを決める重要区間。市谷のスタートから飛び出す積極走法に期待が集まった。スタートから先頭集団につくが2.8km付近から徐々に遅れだし、8位グループ第2集団を形成。粘り強く前を追うがトップの駒澤大との差44秒。7位で2区の秦将吾選手に襷を繋いだ。市谷龍太郎選手は「3kmからの上りで離されたのが今回の一番の課題ですね。食らいついていれば流れに乗って行けたのですが、下りを利用して前に行こうと。前も結構速くて、つけなかった。そこだけがすごく残念です」と悔やんだが、まだ十分挽回できる差で踏み止まった。



◆2区 秦将吾(3年 愛媛・今治北高)
《出雲市役所・JAしまね前~斐川直江(第2中継所) 5.8km》

初めての駅伝に出場した2区の秦将吾選手は今回エントリーした山梨学院10人の選手のうち5000mで1位の持ちタイムを持つ。2区は出雲駅伝6区間中最も距離が短く、激しい順位変動がある区間。秦は持ち前のスピードで上位校に食らいつき、トップとのタイム差は広げられたが順位を1つ上げ、6位で3区に繋いだ。秦将吾選手は「今日がデビュー戦になりましたが、自分が前を行く早稲田を抜くぐらいの勢いがあれば優勝できたのではないかな。2位はうれしい気持ちと悔しい気持ちがあります。自分のタイムは良かったでしたけど、順位がすべてなので勝負としてはまだまだという気持ちはあります。今回初めて全国の駅伝を経験したので全日本ではチームを引っ張れるように頑張っていきたい」と次に活躍を誓った。



◆第3区 佐藤孝哉(3年 島根・出雲工業)
《斐川直江~平田中ノ島(第3中継所) 8.5km》

佐藤選手は今年の箱根駅伝で山梨学院のエース、エリック・オムワンバ選手の突然の故障で花の2区の大役を事前試走もなく出場、最下位に沈んだ苦い経験をバネに出雲駅伝に臨んだ。元々粘り強く安定した走りで駅伝部の中心的なメンバー。チームメイトの信頼も厚い。3区出場選手中5000mの持ちタイムが2位の佐藤は、6位で襷を受け取ると、7秒差5位の早稲田大の背中を目標に冷静沈着ひたひたと前を追った。松江市出身・出雲工業卒業もあり、沿道の地元ファンの声援が後押し、7.3km付近で3位グループ3チームに追いつき、4区に襷を繋いだ時は順位を2つ押し上げ4位。区間3位の好走を見せた。佐藤孝哉選手は「コンディションも良く、順位的にも良いところに来ていたので、自分の練習どおりの走りが出来て結果も良かった。地元で消極的な走りは出来ないと思い、きつくても前に食らいつき、自分の中では点数として85点位です」と自分の走りを評価した。さらに「これから全日本、箱根と続きますので、今回の経験を活かしてさらにレベルを上げて挑みたいと思います」と前を見据え話した。

◆第4区 上田健太(2年 山梨・山梨学院高)
《平田中ノ島~鳶巣コミュニティセンター前(第4中継所) 6.2km》

上田健太選手は昨年、故障に泣いた。5月に故障して以来、夏合宿に参加できず今年の箱根駅伝もエントリーされるも出場は叶わなかった。今年は故障も癒え、4月の記録会で10000mで自己新を出すなど順調に仕上がってきた。夏合宿も精力的にメニューをこなし、大学生になって初めての駅伝、出雲に懸ける並々なら意欲を前面に出す。4位で襷を受けた上田は、東海大・早稲田大・東洋大の4校で3位グループを形成、上田は落ち着いて周りの様子を窺いながらスパートのタイミングを計る。5km付近で上田が仕掛けるが、東洋大、早稲田大が必死に食らいつき離せない。ラスト200m再び最後の力を振り絞りスパートを掛けるが逆に東洋大にかわされ、3位と2秒差で繋いだ。トップとは46秒差まで詰める区間2位の激走で後ろの2人に託した。上田健太選手は「最初にしてはまずまずの走りが出来たかなと思います。区間2位というのは区間1位を逃しているという印象が強いので残念です。区間上位で渡せたのは良かったですけど、ラストスパートで負けたことは自分の中では課題になります。貰った位置的に優勝が頭によぎったので、どちらかというと区間賞を狙うよりはどれだけ1位と縮めるか、競っても前と詰まればといいと思った」とレースを振り返った。

◆第5区 河村知樹(2年 愛知・山梨学院高)
《鳶巣コミュニティセンター前~島根ワイナリー前(第5中継所) 6.4km》

河村知樹選手は、3年前の全国高校駅伝で市谷龍太郎、上田健太選手と共に優勝を味わったメンバー。高校時代、大学とこれまで上田選手から河村選手への襷渡しは初めてという。5区河村は、4位で襷を受けると最終区のニャイロの逆転優勝に望みを掛け、少しでも前に前へ懸命の力走を見せる。しかし、5区の波のような細やかなアップダウンが河村を苦しめる。前を行く東洋大に少しずつ離され、襷渡しの時には20秒差をつけられた。トップとは1分09秒差に広がり、最終区ニャイロにすべてを託した。河村知樹選手は「初めての駅伝レースで、健太(上田)からいい位置で襷を持ってきてくれたので、頑張ろうという気持ちで行きました。監督、コーチから貰った位置からしっかり粘って行けと言われたのでトップとの差はあったので前の3位との差を大事にしていこうと思いました。しかし、貰った時は近かったですが、渡す時は結構開いてしまい、不甲斐ないです」と反省の言葉を口にした。

◆第6区 ドミニク・ニャイロ(1年 ケニア・メサビサビ高)
《島根ワイナリー前~出雲ドーム前 10.2km》

4月11日に来日、山梨学院大陸上競技部の10人目の留学生になった。今季はエースのエノック・オムワンバ(4年)と2人になった。来日した時の持ちタイムは10000m28分58秒。7月の大会で5000m13分59秒94、10000mは28分11秒49と大幅に更新、潜在能力の高さを表した。上田誠仁監督は「真面目、常に100%で取り組む」と伸びしろを期待する。トップの駒澤大との差を1分09秒に広げられた山梨学院は最終6区のニャイロにすべてを懸けた。4位で襷を引き継いだニャイロに異変が起こった。襷の掛け方に手間取り、あっという間に2校に抜かれた。しかし、ここからがすごかった。掛け直すと猛然とペースを上げ、抜かれた2校を抜き返し、3位を追い上げる。出雲大社前2.7km付近で20m差まで詰め、参道に入った直線コース3.3kmで東洋大を捉え、3位に浮上した。なおもニャイロの勢いは止まらず、ついに残り1km付近で青山学院大とのトップ争いに置いて行かれた2位の駒澤大に取り付き、そのまま抜き去った。優勝した青山学院大には届かなかったものの、時間差を31秒も詰める区間1位の激走、2位でゴールテープを切った。ゴール後、山梨学院のチームメイトが駆け寄り、ニャイロの健闘を称えた。山梨学院は3位までに与えられる来年のシード権を獲得した。ドミニク・ニャイロ選手は「コンディションが良かった。最初からしっかり走れて我慢できた。良いレースだった。とてもハッピー」と人懐こい笑顔で話した。


■午後1時05分スタート 天気(曇り、気温19度、湿度67%、南南西の風1.5m)

区間

ランナー

区間タイム

区間
順位

総合時間

総合
順位

1区 市谷龍太郎 23分18秒 7位 23分18秒 7位
2区 秦 将吾 16分12秒 8位 39分30秒 6位
3区 佐藤孝哉 24分38秒 3位 1時間04分08秒 4位
4区 上田健太 17分56秒 2位 1時間22分04秒 4位
5区 河村知樹 18分58秒 7位 1時間41分02秒 4位
6区 ドミニク・ニャイロ 28分41秒 1位 2時間09分43 2位



レース後、2位への感想を求められて上田誠仁監督は「ニャイロのファイティングスピリッツは良かった。皆がきちんと繋いできた結果。新しいメンバーでも戦えた。青学さんは強かったですけど、やられぱっなしというわけではなかった。38秒差で戻ってきたのは。1分とか2分差だと問題ですが」とチームを評価した。三大駅伝3位以内という目標の一つを達成したことについて「夏合宿終わってから、強くなっていることを記録で裏打ちしようと言って、ある程度裏付けが出来た。この大会は速さだけど、強さを証明しなければ何にもならない。そこそこのところで走れたので」と課題は残るものの手応えを話した。

今大会の結果は、1位・青山学院大、2位・山梨学院大、3位・駒澤大、4位・東洋大、5位・東海大、6位・早稲田大、7位・中央学院大、8位・明治大となった。次回、全日本大学駅伝対抗選手権大会は11月1日(日)、伊勢路を舞台に激闘が繰り広げられる。

文(K.F) カメラ(平川大雪・藤原稔) 2015.10.12