全日本大学レスリング グレコローマン選手権
~1日目・66㎏級雨宮、昨年の雪辱初優勝~
~2日目・98㎏級吉川、うれしい準優勝~

「平成27年度全日本大学レスリンググレコローマン選手権大会」が10月14日・15日の両日、東京・駒沢体育館で開催された。大会は、個人戦と順位による得点で総合順位を決定する大学対抗戦を兼ねている。初日14日は66㎏級・75㎏級・85㎏級・130㎏の4階級が行われた。山梨学院大はフリースタイルが主体のチーム。どのような戦いが展開されるか注目を集めた。そのなかで山梨学院勢は66㎏級の雨宮隆二選手(4年)が初優勝。130㎏級ボルチン・オレッグ選手(3年)が準優勝を飾った。2日目15日は、59㎏級・71㎏級・80㎏級・98㎏級が行われ、98㎏級の吉川裕介選手(3年)が準優勝を獲得した。各大学出場枠は1人までと決められている個人戦。8位までに与えられる得点で競われた大学別対抗戦で山梨学院大は4位となり大健闘をした。
◆初日 10月14日 東京・駒沢体育館
《66㎏級・優勝 雨宮隆二(4年 山梨・韮崎工)》
雨宮隆二選手は韮崎工業高校時代、全国高校生グレコローマン選手権で2年生の時に2位、3年生で優勝した実績を持つ、山梨学院大学に進学し、この大会1年の時は3位、2・3年生で2位、特に昨年は、試合終了間際にポイントを奪われ、優勝のチャンスを逸した因縁の大会。今大会、1回戦は赤澤拓(徳山大)を9-0のTフォール(テクニカフォール)、2回戦は、大平稜也(国士舘大)9-0のTフォール、3回戦宮島善太(大東文化大)3-0、準決勝では、昨年の優勝者・堀後雄太(拓殖大)を後半に腕を手繰り背負い投げを見事に決め、5-0で勝利、決勝は今年の全日本学生選手権(インカレ)3位の実力者との対戦。前半0-1とリードされるも後半積極的な攻めで1ポイントを返し、1-1で判定勝ちを収め初優勝、昨年の雪辱を果たした。
雨宮隆二選手は「うれしいです。僅差になるとは分っていました。決勝の相手も力の差はないので全然負ける気はしませんでした。去年は優勝目前で負けてしまい、今年は4年生最後なのでリベンジのつもりでやりました。今日は動きも良かったし、相手に先にレスリングをさせず自分のレスリングを通すことが出来ました」と初優勝を喜んだ。
《130㎏級・準優勝 ボルチン・オレッグ(3年 カザフスタン)》
フリースタイルが専門のボルチン・オレッグ選手がグレコローマン選手権で準優勝を手にした。7月に母国カザフスタンで行われた大会で左膝を故障、8月の全国大学レスリング選手権を回避、9月1日に手術を受けた。小幡邦彦コーチは「オレッグからはこの大会は出ないと言われていたが、数日前に出てくれと頼んだ」と話した。膝は曲げると少し痛みがあるという。小幡コーチの11月の内閣総理大臣杯に備えて、試合感を戻すための措置だった。1戦目は今年の全日本学生レスリング選手権(インカレ)優勝者・津田大健(中京学院大)に1-0の辛勝でスタート。2戦目は守部克秀(青山学院大)に1分58秒豪快な反り投げを決めそのままフォール勝ち。準決勝では山本泰丈(日大)前半に9-0のTフォールで試合ブランクがあるとは思えない力強さを見せた。決勝戦は今年の世界選手権の日本代表・園田新(拓殖大)。体格で上回る相手の圧力にも屈指せず、グレコローマン専門の相手に善戦、1-2の僅差で敗れたが準優勝に輝いた。
ボルチン・オレッグ選手は「久しぶりの試合でちょっときつかった。手術して10月から練習したばかり。練習が足りなくて体力がついていない。どこまで頑張れるか心配だった。2位になれて良かった」。内閣総理大臣杯に向けて小幡コーチは「オレッグは試合に遠ざかったので出した。3位か上手くいけば2位と考えていたので、準優勝は大学対抗得点に貢献してくれた」と喜んだ。1日目の大学対抗得点は拓殖大が42点でリード。山梨学院大は21点で2位に着けた。
他の選手は、8月の全日本学生レスリング選手権(インカレ)フリースタイル70kg級優勝した木下貴輪選手(2年 鹿児島・鹿屋中央)は75kg級に出場したが1回戦敗退。85㎏級・牛水端貴選手(1年 鹿児島・鹿屋中央)も1回戦で敗退した。
◆2日目 10月15日 東京・駒沢体育館
《98㎏級・準優勝 吉川裕介選手(3年 茨城・霞ヶ浦)》
吉川裕介選手は2013年、1年生で出場したアジア・ジュニア選手権フリースタイル96kg級で3位となり、翌2014年JOC杯ジュニア・オリンピックでフリースタイル96kg級優勝の実績を持ち、今年8月の全日本学生レスリング選手権(インカレ)フリースタイル96kg級では準優勝するなどフリースタイルが専門。山梨学院大は初日優勝した雨宮隆二選手以外はフリースタイルが主体のチーム事情があり、フリースタイルの選手がグレコローマンに参戦した。吉川の初戦は、相手棄権のため不戦勝。2回戦は谷藤広其(専修大)に後半に逆転し4-3の判定勝ち。3回戦は樋口源太(大東文化大)に開始から優勢に試合を進め、前半1分33秒に一本背負いからフォール勝ち。準決勝に進出した。知念啓悟(神奈川大)との準決勝は先にポイントを取られるが後半挽回、5-1で下し決勝に進んだ。決勝の対戦相手は、奈良勇太(日本体育大)。グレコローマン98㎏級で昨年のインカレ1位。今年のインカレでも2位の実力者。吉川を10cmも上回る身長で、上から押さえようとするところを吉川も下からかち上げ応戦する。前半45秒投げられ倒され4ポイントを先取されるも、すぐに裏を返し2ポイントを奪取、フォールに持ち込むかと思われたがならず。その後、背後を取られ結局前半は2-6でリードされ折り返す。後半、動きが悪くなった相手に吉川は先に仕掛け善戦するが、1ポイント返したものの3-6で敗れた。グレコローマンの実力者相手に大健闘し準優勝を飾った。
吉川裕介選手は「試合展開が慣れてないのでどう展開していっていいのか分らなかった。それで最初にポイントを取られる場面があった。組み合わせの部分で良かったので、結果2位に入れて良かった。次はフリーなのでそこに照準を合わせて練習をしてきているので今回以上に頑張って優勝を目指したい」と意気込んだ。最後に「準優勝は正直うれしいです」と満面の笑みで喜んだ。
この他の山梨学院勢は8月のブラジルで行われた世界ジュニア選手権フリースタイル66㎏級で準優勝した藤波勇飛(1年 三重・いなべ総合)が71㎏級に出場し、1回戦で高橋昭五(日本体育大)と対戦し5-12で敗れた。高橋が決勝に進み敗者復活戦の権利を得た。敗者復活戦では初戦を勝ち抜け2戦目に敗れ、5位に入賞した。59㎏級の小柳和也(2年 山梨・韮崎工)、80㎏級・本村匠(3年 沖縄・浦添工)は、共に1回戦で敗退した。
大学対抗別の順位は、1位・拓殖大、2位・日本体育大、3位・専修大、4位・山梨学院大、5位・神奈川大、6位・明治大、7位・国士舘大、8位・九州共立大となった。
試合後、小幡邦彦コーチは「グレコの選手が一人しかいなくて最初は正直、上位は厳しいかなと思って8位入賞を考えていました。初日に雨宮、オレッグが頑張ってくれ、今日出る選手には上位が狙えるからと頑張らせたのですけど、吉川が2位と良かったんですが、他の選手がもう少しポイントを取れれば3位も狙えました。雨宮以外は全員残るので、今回は来年に繋げる良い経験になりました」と大会を振り返った。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.10.15