オータムプロジェクト2015
~学年の枠を超えたチームで芸術・文化活動~
~輝学祭に向け、活動・準備も追い込み~

山梨学院中学校で昨年度から取り組みが始まった新しい学校づくり。改革の中心になるのが、教科の学習と並行して、学びの大きな柱となる「プロジェクト」という自主学習の積極的な取り組み。一年を通じて個人の興味・関心に従ってテーマを決め調査研究。その成果を論文にまとめていくのが「パーソナルプロジェクト」。他に数人から十数人のグループに分かれて課題を探求するのが「チームプロジェクト」。その一つとして、秋に取り組んでいるものが「オータムプロジェクト」。10月中旬から24日の間、文化的・芸術的・科学的活動を1年から3年の学年の枠を超えて活動する教育プロジェクトが行われている。期間中、午後の時間を使い全学年全クラスによる合唱練習、「科学実験」チームや、「立体製作」チーム、「劇」チームなど7チームに分かれ、それぞれのチームは学校中を使い活動。その成果は最終日24日、集大成として山梨学院中全員の思いが詰まった「輝学祭」の舞台で発表される。
山梨学院中が、取り組む新たな教育システムに国際バカロレア教育がある。その中で大事にしているシステムが「パーソナルプロジェクト」という世界標準の教育システム。1年を通じて、中学3年間を通じて、あるいは生涯学び続ける人間を育てる“Life Long Learner(ライフ・ロング・ラーナー)”というIVY教育にも繋がる教育。山梨学院中は、教育プロジェクトによって大学に行っても研究に繋がるような下地を今から作っていき、ここで学んだことを膨らませ、高校で大学へ進学するためのモチベーションへと高め、さらに大学の研究に繋げることが出来ることを目的にしている。吉田正副校長は「他の学校とは違うことを生み出していく取り組みがこのプロジェクトというもの。生涯学び続けるための一つのプロジェクト」と同校の取り組みを強調した。
オータムプロジェクトは、6月から生徒先生の話し合いが始まり、テーマ決定、チーム希望・活動計画表、運営方法などが進み、7月にチーム活動が始動。10月19日の本格的活動までに各チームで活動の準備が行われた。オータムプロジェクトの狙いは、1.「先生が教えること」から「生徒が学ぶこと」へのシフト。2.学年の枠を越えて学習に取り組み、共同で追求することの楽しさを味わうこと。3.輝学祭での学習成果の発表を通し、伝える力を育むこと。としている。2回目となる今年のオータムプロジェクトのテーマは「翼~make yourself shine~生徒一人ひとりの個性を輝かせ輝学祭で大きく羽ばたこう」という願いが込められている。
チーム活動は、「アート」、「立体製作」、「科学実験」、「動画」、「劇」、「音楽~ア・カペラ~」、「影絵」チームの7チーム。保坂恒太教諭は「昨年から始まったプロジェクトですが、チーム数が多くなってしまい手が回らなくなった反省を含め、今年はテーマを厳選し、7つに絞り質の向上を目指した」と話した。取材した10月20日は、午前中から昼に掛け、全学年全クラスで合唱の練習が行われ、午後1時、チームに分れ、それぞれの活動が開始された。「動画」チームは『ドラマ・映画』、『コマ撮り』、『タイムラブス』、『アニメーション』班に分れて学校中を使いビデオカメラで、作品の素材作りに懸命に取り組んでいた。「影絵」チームはプロジェクターの光りで、スクリーンに仲間たちが映し出す影絵の調整に余念がない。「音楽」チームはオープンスペースを使い楽器と歌の練習。「劇」チームは40名で構成、脚本、演出、大・小道具、衣装、音響のすべてを担当。芙蓉ホールで練習を指揮する演出・脚本担当の土屋絵梨子さん(3年)は「順調です。いい感じにできています。一つのストーリーを皆でそれぞれ自分の役割を果たして、いい劇になればいいなと思ってます。24日は頑張ります」と笑顔で結んだ。
山梨学院中の全教室、廊下、ホール、実験室すべてで生徒たちの熱気溢れる取り組みが展開されていた。宝石箱をひっくり返したような賑やかな様子が学校中に溢れていた。輝学祭は10月24日(土)正午開催。順次各チームプロジェクトの発表を行い、午後3時からそれぞれのクラス合唱の発表が行われる。
オータムプロジェクトというチームプロジェクトは、仲間と共に協働して課題に取り組み、一つの目的に向かい成果を共有するという喜びを体験する。山梨学院中250人全員が24日の輝学祭に向け、まっすぐに進んでいた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.10.21