競泳ワールドカップ東京2015
~江原騎士400m自由で2位、200mで3位~
~竹迫麻澄50・100m背泳ぎで連日の入賞~

「FINA競泳ワールドカップ東京2015」が10月28日・29日の両日、東京辰巳国際水泳場で開催された。これまでの短水路(25m)から今年は長水路(50m)に変更して行われた。オリンピック、今年のユニバーシアード、世界選手権のメダリストなど24カ国の世界トップレベルの海外選手と日本のトップレベルの選手620人が一同に会し、熱戦を繰り広げた。山梨学院勢は男子5人、女子7人が出場した。1日目は男子400m自由形で江原騎士が昨年の7位から2位にジャンプアップし、表彰台に上がった。女子50m背泳ぎで竹迫麻澄が7位に入賞。鈴木聡美(カレッジスポーツ研究員・ミキハウス)が女子100m平泳ぎで5位、女子50m背泳ぎでは竹迫の隣レーンで泳いだ酒井志穂(カレッジスポーツ研究員・ミキハウス)が6位に入賞した。2日目は、江原騎士が男子200m決勝に進出し、安定した泳ぎで3位となり、出場した2種目で表彰台に上った。女子では竹迫麻澄が女子100m背泳ぎで6位(日本人3位)に入賞、鈴木聡美が女子50mで5位(日本人1位)となった。
◆《男子400m・200m自由形 江原騎士》
江原騎士(4年 山梨学院高)は7月のユニバーシアード男子400mで4位。8月は世界選手権にも800mリレーメンバーで出場。世界への挑戦が彼を大きく成長させている。9月の日本学生選手権(インカレ)では400mで初優勝、1500mで2位と日本のトップスイマーに成長。泳ぎに風格が感じられ好調を続けている。世界のトップレベルは身長190cmを超える大柄の中にあって、日本人スイマーの中でも小柄な江原は、前半から積極的に飛ばすレース展開で爽快さを印象づける。1日目は男子400m自由形に出場。予選は35人中1位で通過。決勝でも前半200m過ぎまでトップに立っていたが、250m付近で宮本陽輔(自衛隊)にかわされ、ラストスパートも叶わず、2位に終わった。江原騎士選手は「順位、タイムも満足行かない結果でしたが、ジャパンオープン日本人1位、インカレ、国体1位と今年は1番上に立てることが多かったので、今年最後の大会だったので誰が来ても優勝できる形で終わりたかったのですが、日本選手権で負けた選手にまた敗れたのは悔しい。残念です」と話した。2日目の男子200m自由形も3位に入る安定した泳ぎを見せた。「日本選手2人に負けたのは残念ですけど、4月には一皮も二皮も向けた姿を見せます」と意気込んだ。
◆《女子50m・100m背泳ぎ 竹迫麻澄》
竹迫麻澄(4年 愛知・中京大中京)は今年9月に行われた日本学生選手権(インカレ)の女子100m背泳ぎで自己ベスト(1:00.68)を叩きだし、念願の初優勝を飾り学生日本一に輝いた。高校時代は無名の存在だったが、山梨学院大に入学後、めきめき頭角を表し、常に上位に顔を出す学生界でトップレベルの選手に成長した。この大会では、世界の強豪を相手にどう戦うか注目された。1日目の女子50m背泳ぎは5位で予選通過、決勝では表彰台を期待されたが本来の泳ぎが見られず7位となった。竹迫麻澄選手は「予選は思ったより早くてもう少し行けるかなと思ったのですが、自分の中で狙っていたことがあって、力んでしまい泳ぎが硬かったかなと思います」とレースを振り返った。海外の選手と戦うことは「見るからに身体の大きさが違うので、その時点で負けている部分がすごくあって技術とか持久力で勝たなければいけないなと改めて実感しました」と竹迫。2日目の女子100m背泳ぎは予選を6位で決勝に進出。上位を狙った決勝では「インカレと国体で出したタイムだったら3番に入れたので悔しい」と今一歩の6位にため息をついた。
他に2種目にエントリーした松浦由佳選手(3年 福井・北陸)は、高校時代はバタフライが専門種目、大学入学後、神田忠彦監督の勧めで自由形の長距離種目に転向、力を付け実績を積み重ねてきた。1日目の800m自由形では、後半型のレース展開をする松浦だが前半をこの組7位で通過、その後もスピードが上がらず、8位。総合では21位に終わった。2日目の女子400m自由形でも35位と沈み、今大会全く精彩を欠いた。松浦由佳選手は「この一年全く泳げてないので、この大会はどの位泳げるか力試しの部分があった。来年の4月の日本選手権に向けて、今は我慢の時期。日本選手権でまた、決勝に残りたいと思っているので、上半身で引っ張っていく泳ぎが私の持ち味を、今一からやり直しているところで少し時間が掛かりますが、頑張ります」と倦土重来を誓った。
竹迫、酒井選手と同種目に出場した瀬下茉利(2年 愛知・豊川)は1日目の女子50m背泳ぎで自己新を更新したが15位。決勝には進めなかった。2日目の女子100m背泳ぎも21位となり予選突破はならなかった。2日目のタイムレース決勝、女子400m個人メドレーに出場した山田千尋(1年 愛知・豊川)は世界のトップレベル渡り合い11位と大健闘。山田千尋選手は「ベストタイムからほど遠かった全然良くなかった。満足はしていませんが、次に繋がるレースは出来たと思います」と手応えを話した。
男子勢では、1日目の男子400mに出場した西山雄介(1年 群馬・高崎商)は1回限りのレースのタイムで競われるタイムレース決勝で32人中10位となり入賞は逃したが意地を見せた。男子200mバタフライ近藤克哉(2年 愛知・豊川)は36位。2日目、男子200m自由形出場の石橋翔(2年 千葉商科大付)は35位、男子100mバタフライ・小野川旭(3年 埼玉・正智深谷)は35位と結果が残せず予選敗退した。
他の選手では鈴木聡美(カレッジスポーツセンター研究員・ミキハウス)が女子100m平泳ぎで5位入賞。女子50m平泳ぎで海外選手と競り合い5位(日本人1位)となった。同じく酒井志穂(カレッジスポーツセンター研究員・ミキハウス)は女子50m背泳ぎで6位入賞となった
◆1日目の成績 10/28 東京辰巳国際水泳場
予選 | 決勝 | ||||
種目 | 氏名 | タイム | 成績 | タイム | 成績 |
女子100m平泳ぎ | 鈴木聡美 | 1:08.64 | 6位 | 1:08.07 | 5位 |
女子50m背泳ぎ |
竹迫麻澄 | 28.75 | 5位 | 28.75 | 7位 |
酒井志穂 | 29.06 | 7位 | 28.70 | 6位 | |
瀬下茉利 | 29.43 | 15位 | 自己新 決勝に進めず | ||
男子200mバタフライ | 近藤克哉 | 2:03.65 | 36位 | 決勝に進めず | |
男子400m自由形 | 江原騎士 | 3:52.89 | 1位 | 3:50.77 | 2位 |
女子800m自由形 | 松浦由佳 | 9:05.06 | 21位 | タイムレース決勝 | |
男子400m個人メドレー | 西山雄介 | 4:25.11 | 10位 | タイムレース決勝 |
◆2日目の成績 10/29 東京辰巳国際水泳場
予選 | 決勝 | ||||
種目 | 氏名 | タイム | 成績 | タイム | 成績 |
男子200m自由形 | 江原騎士 | 1:49.80 | 2位 | 1:48.71 | 3位 |
石橋 翔 | 1:54.67 | 35位 | 決勝に進めず | ||
女子50m平泳ぎ | 鈴木聡美 | 31.04 | 5位 | 31.55 | 5位 |
男子100mバタフライ | 小野川 旭 | 55.57 | 35位 | 決勝に進めず | |
女子100m背泳ぎ |
竹迫麻澄 | 1:02.19 | 6位 | 1:01.46 | 6位 |
酒井志穂 | 1:03.02 | 10位 | 決勝に進めず | ||
瀬下茉利 | 1:03.64 | 21位 | 決勝に進めず | ||
女子400m自由形 | 松浦由佳 | 4:29.66 | 35位 | 決勝に進めず | |
女子200m平泳ぎ |
鈴木聡美 | 2:31.04 | 16位 | 決勝に進めず | |
奥田百香 | 2:32.88 | 25位 | 決勝に進めず | ||
女子400m個人メドレー | 山田千尋 | 4:47.43 | 11位 | タイムレース決勝 |
今大会が終わり、スイマーたちはすでに来年の競泳日本選手権に目標を定めて始動する。あるものはリオ五輪出場を目指し、あるものは復活を期し、それぞれに5ヶ月間という厳しく苦しい練習に耐え抜く者こそが得る勝利に向かって。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.10.29