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講道館杯全日本柔道体重別選手権
~48㎏級山崎珠美、悔し涙の準優勝~
~出口クリスタ、泉真生は3位表彰台~

平成27年度「講道館杯全日本柔道体重別選手権大会」が11月7・8日の両日、千葉市・千葉ポートアリーナで開催された。高校から大学、社会人が、出場する大会で優秀な成績を収めたトップレベルの選手が一堂に会し、各階級で日本一を競った。平成27年度後期の全日本強化選手、12月に開催されるグランドスラム東京の代表選手選考、また、来年のリオデジャネイロ五輪の日本代表選手第一次選考会を兼ねた重要な大会。山梨学院大からは男子6人、女子12人が出場資格を満たし出場した。2日目に行われた女子48㎏級・山崎珠美(4年)は準決勝まで相手を寄せ付けない強さで決勝に進んだが、決勝では今一歩攻め切れず敗れ、惜しくも準優勝となった。他は1日目に敗者復活戦から勝ち上がった女子78㎏級・泉真生(1年)と2日目の女子57㎏級では、準決勝で敗れ3位決定戦に回った出口クリスタ(2年)の2人が3位の表彰台に上がった。卒業生では、78㎏級濱田尚里(自衛隊体育学校)がすべて寝技1本勝ちで初優勝を飾った。女子は3位に入った泉真生、出口クリスタ以外に2日間で4人が敗者復活戦に臨んだが表彰台に上ることができなかった。男子は2回戦に進んだのが最高で振るわなかった。

◆悲願の優勝に後一歩
《女子48㎏級・準優勝 山崎珠美(4年 神奈川・三浦学苑)》

山崎珠美選手は高校時代に柔道の恩師から組手は、徹底して奥襟を掴み、前に攻め進み、
一本を取りに行くスタイルを仕込まれた。そのためか裏を返される場面も多くある一か八かのスリリングな柔道で頭角を現して来た。全日本ジュニア優勝や世界ジュニアでも3位に入る実力者である。昨年の講道館杯は初戦敗退という苦い経験もあり、雪辱を晴らすべく今大会に臨んだ。試合は1,2戦とも早い時間帯に一本勝ちで勝利。3回戦は先月の全日本学生柔道体重別選手権で敗れている小山亜利沙(帝京大)に小内刈で有効を奪い、借りを返した。準決勝も終始主導権を握り、社会人を小外掛けで1本勝ち、決勝に進んだ。山崎珠美選手は「調子は良かったです。研究はされていると分っているし、決勝の相手もずっと試合をやってきている相手なので負けられない」と試合に臨んだ。決勝は渡名喜風南(帝京大)。今まで一度も負けたことのない相手との対戦。激しい組手争いに互いに投げを仕掛ける激しい攻防。徐々に相手に主導権を握られ残り1分25秒、有効を取られ、そのまま追いつくことができずに涙を飲んだ。「向こうの研究力が勝っていたので負けたと思う。悔しいです。自分の柔道ができなかったことが一番悔しい」と涙を流した。4年生最後の年に優勝を目指すも準優勝で終わった。卒業後の就職先も決まり、社会人で日本一、世界で活躍する選手になることを誓っていた。

◆準決勝で1本負け、勝ち急ぎが敗因。
《女子57㎏級・3位 出口クリスタ(2年 長野・松商学園)》

前回大会、敗者復活戦で7位に終わった出口クリスタ選手は、今大会に懸ける思いは強かった。1回戦から3回戦まで、すべて1本勝ちを収める快進撃で強さを見せつけ準決勝へ進出。出口クリスタは幼少の頃から柔道を始め、高校の1年時に52㎏級でインターハイ優勝、2年からは階級を57㎏級に上げ、3年の時に全日本ジュニアで優勝。山梨学院大に進学してからも全日本学生柔道優勝大会で2度優勝するなど華々しい実績を残してきた。将来を嘱望され注目を浴びる選手に成長した。準決勝の相手は石川慈(コマツ)。2011年の講道館杯で優勝、昨年は準優勝、世界大会でも活躍する実力者だ。最初に出口は指導を取られるがすぐに反撃、大内刈で相手を倒し有効奪う。相手は寝技に定評のある選手。そのまま逆に押さえ込まれ横四方固めで一本負けを喫した。出口クリスタ選手は「自分がポイントを取って勝っていたのに負けるという悔しい負け方。相手は寝技が得意と知っていたのに捨て身の技に入ってつぶれ、押さえ込まれた。分っているのに出来なかった。練習したことがまだ身体に染み付いてなく、経験が足りない」と反省を口にした。準決勝で負け、3位決定戦に回った試合は、僅差で優勢勝ちを収め3位が確定、表彰台に上がった。

◆先輩の胸を借り、成長する
《女子78㎏級・3位 泉真生(1年 千葉・木更津総合)》

泉真生選手は2014年のインターハイで初優勝、全日本柔道連盟のC強化指定選手。女子重量級の次世代のホープと期待されている。試合は、2回戦から出場。ゴールデンスコア(延長戦=先にポイントを上げた方が勝ち)になり、辛勝で勝ち進んだ。3回戦、山梨学院大OGの濱田尚理(自衛隊体育学校)と対戦。果敢に攻め込み善戦。技を繰り出し、ポイントを奪い先制したと見えた瞬間に合わせ返され、そのまま押さえ込みで一本を取られ敗退した。相手の力を利用した濱田の上手さに負けた。敗者復活戦の権利を得て勝利を収め、準決勝で敗れた選手と対戦する3位決定戦では優勢勝ちし、3位を獲得した。泉真生選手は「1試合目からゴールデンスコアになったので、ちょっと今日は良くないなと思った。途中、濱田さんに投げられてから士気が上がりました。とにかく強い人ばかりなの自分からどんどん攻めていくような柔道をしたいと思ったのですが、ビビッてしまってうまくいかなかった。でも3位は素直にうれしいです」と苦しみながらも結果を残し、安堵した表情を浮かべた。

◆大会1日目の成績 11/7 千葉市・千葉ポートアリーナ

女子78㎏級・泉真生がこの日唯一、表彰台に立った。他の選手は70㎏級・新添左季(1年 奈良・天理)は敗者復活戦に回り3位決定戦で敗れ5位。矢澤紗瑛(4年 東京・駒場)、期待された長内香月(3年 富山・高岡龍谷)は初戦敗退。78㎏級・西田香穂主将(4年 甲府工)は3回戦で1本負けを喫し、敗者復活戦に回り勝利。3位決定戦では終盤までリードしていたが終了間際に逆転され優勢負け。悔しい5位となった。高松綾香(4年 栃木・国学院大栃木)は初戦敗退。78㎏超級・井坂希望(4年 千葉・八千代)は1回戦、2回戦といずれも1本勝ちで順当に勝ち上がったが、3回戦で準優勝した稲森奈見(三井住友海上火災)に1本負けを喫した。敗者復活戦に臨んだが敗れ7位に終わった。小原祥子(4年 東京・修徳)は2回戦敗退した。
男子は4人が出場。73㎏級・宮山翔多(3年 大阪・近畿大附)、81㎏級・中田大貴(3年 大阪・東海大付仰星)は2回戦、鎌田魁翔(1年 岡山・作陽)は初戦敗退。60㎏級・箱田圭務(4年 群馬・前橋育英)は1回戦敗退した。卒業生の濱田尚里(自衛隊体育学校)は女子78㎏級、全試合寝技一本勝ちで初優勝を飾った。女子78㎏超級の井上愛美(JR九州)は3位となった。男子73㎏級・中村剛教(大阪府警)は初戦敗退した。

◆大会2日目成績 11/8 千葉市・千葉ポートアリーナ

女子48㎏級の山崎珠美は準優勝を飾った。女子57㎏級・出口クリスタは3位表彰台に上がった。女子57㎏級の月野珠理(2年 愛知・大成)は1、2戦と1本勝ち、この階級準優勝の山本杏(国士舘大)にゴールデンスコアで敗れたものの大健闘した。敗者復活戦に3位の表彰台を賭けて戦ったが敗退、7位で終わった。同じ階級の益子藪楓彩奈(2年 静岡・藤枝順心)、52㎏級の川越梨乃(1年 山口・高川学園)は初戦敗退。
男子90㎏級・西山光平(4年 京都・共栄学園)、100㎏級・春日良太(2年 神奈川・東海大付相模)、前野玲音(2年 東京・修徳)の3人とも初戦敗退となった。

山部伸敏監督は「優勝者を出したかったです。そんなに簡単に勝てる大会ではないので、今のうちの力の現状かなと思います。欲を言えば4年生の山崎に取らせてあげたかった」と愛弟子を思いやった。

大会終了後に行われた強化委員会で12月開催の「グランドスラム東京2015」の日本代表選手の発表があり、山梨学院大関係で女子48㎏級の山崎珠美、OGの浅見八瑠奈(コマツ)、78㎏級の濱田尚里(自衛隊体育学校)、78㎏超級・山部佳苗(ミキハウス)が選出された。尚、世界選手権出場のOG浅見八瑠奈と山部佳苗は今大会出場を免除され欠場した。

文(K.F) カメラ(平川大雪、K.F) 2015.11.8