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内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権 最終日
~70㎏級木下貴輪がチーム3年ぶりの優勝に導く~
~1.5点差の接戦優勝。東日本リーグ戦と二冠達成~

フリースタイル大学日本一を決める「第41回内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権大会」の最終日が11月15日に大阪・堺市金岡公園体育館で行われた。出場枠は参加大学から1階級1人として8人が出場でき、個人の成績のポイントによる大学対抗戦として争われる。山梨学院大は2年連続で2位に甘んじてきた、今年は日本一の奪還に挑んだ。1日目で57㎏級・高橋侑希(4年)、65㎏級・藤波勇飛(1年)が優勝するなど大学対抗ポイントで山梨学院大は29.5点の1位で折り返した。2位に日大26点、3位・日体大24.5点と続いた。2日目最終日、日大に変わって、追う日体大との優勝争いは、最後の試合で決着する緊迫した大会になった。決勝戦には70㎏級・木下貴輪(2年)と125㎏級のボルチン・オレッグ(3年)が残った。オレッグの優勝は堅いので木下の勝利に優勝が掛かった。厳しい試合を勝ち抜いてきた木下貴輪が輝いた。木下が決勝で敗れると優勝が危うくなる事態に、落ち着いて対処。前・後半2ポイントずつ奪いチームの優勝を引き寄せた。勝った瞬間、優勝を確信した応援団は喜びを爆発させた。『勝負は何があるか分らない』と臨んだ最終戦。オレッグは相手を寄せ付けない余裕の勝利で優勝。山梨学院大の3年ぶり4回目の優勝が決まった。2位日体大との点差は僅か1.5。薄氷を踏む優勝だった。大学対抗得点は1位山梨学院大53.5点、2位日体大52点、3位日大36.5点となった。

■2日目最終日 11/15 大阪・堺市金岡公園体育館

2日目最終日、山梨学院大は61㎏級・乙黒圭祐、70㎏級・木下貴輪、125㎏級のボルチン・オレッグで優勝が計算できる布陣で臨んだ。波乱が起きたのは、全日本学生選手権(インカレ)2位の乙黒圭祐(1年 東京・帝京)が2回戦で勝っていた試合、ポイントを重ねていた一瞬に、まさかのカウンター攻撃を受けフォール負けを喫したのだ。敗者復活戦にも回れず、ポイント0点。小幡コーチの目論見が揺らいだ。迫りくる日体大に木下貴輪とボルチン・オレッグにすべてを懸けた。

◆厳しい試合を勝ち抜き団体優勝に貢献《フリースタイル70㎏級・優勝 木下貴輪》

8月の全日本学生選手権(インカレ)で初優勝を飾り、絶好調でこの大会に臨んだ木下貴輪(2年 鹿児島・鹿屋中央)は初戦を10-0のテクニカルフォール(TF)で退けると、2回戦の対戦相手は昨年の全日本大学選手権65㎏級王者・高谷大地(拓殖大)。階級を上げ、この大会に臨んだ。木下にとって、決勝に進めるかを決める大事な試合。前半は0-1。後半に入ってもコーション(消極的)を取られ2ポイントを先行される。盛んに攻撃を仕掛けるが相手も試合巧者。残り30秒、試合前の高田裕司監督の言葉を守り、反撃に出て1ポイントを返し、尚も攻め続ける。今度は相手にコーションが与えられ残り5秒で2-2の同点に追いつき試合終了。ラストポイントを奪った木下が勝利を手中にした。準々決勝は前半にテクニカルフォール(TF)で順当に勝ち上がり、準決勝は優勝の行方を大きく左右する日体大・中村百次郎が相手。前半は日体大ペースで0-4のリードを許し、折り返す。後半、木下は徐々にペースを取り戻し2ポイントを奪った、お互い激しく攻め合う中、残り15秒を切ると木下は連続6ポイントを加え、8-4で逆転勝利。後半は相手にポイントを許さず、激闘を制した。決勝戦はここで負けたら団体優勝がなくなる崖っぷち。木下貴輪選手は「本当にプレッシャーで結構緊張したのですけど、試合自体は楽に運べました。勝った瞬間すごくうれしかった」と話すように、木下の動きは素晴らしかった、4月のJOC74kg級、準々決勝で負けている松尾侑亮(専修大)を相手に前・後半2ポイントずつ取り、危なげのない試合で優勝を飾った。チームは団体優勝を大きく引き寄せた。木下にとっては8月のインカレに続き、二冠を達成した。「1日に決勝までの試合をやるのはきつかったです。決勝前に少し休みがあったのが良かった。今年の目標も達成できました」と笑顔で話した。

◆重量級絶対的王者《フリースタイル125㎏級・優勝 ボルチン・オレッグ》

フリースタイルのボルチン・オレッグ(3年 カザフスタン)に向かう敵はいない。7月に母国カザフスタンで行われた大会で左膝を負傷、8月の全国大学レスリング選手権(インカレ)を回避、10月の全日本大学レスリンググレコローマン選手権に出場、準優勝を飾った。この大会出場は、今大会出場のために、試合感を取り戻す意味が込められていた。「膝は完全に治った。毎日練習も頑張った」と不安を感じさせない戦いぶりだった。オレッグの特徴は、身体の大きさからは想像できないタックルの速さと動きの素早さ。初戦から決勝までの5試合すべてでテクニカルフォール(TF)勝ちを収め、その内4試合を前半で相手を退けた。団体優勝が掛かった決勝では、70㎏級で木下貴輪が優勝し、次の86㎏級で日体大の松坂誠慶も優勝したため、団体優勝はオレッグの優勝が絶対条件だった。小幡コーチは「試合は何があるか分らない。気を引き締めて戦います」。絶対的なオレッグでさえ、100%とは言えない。決勝戦は、前半で終わった。安定感ある戦いで1分28秒10-0のTF勝ち。山梨学院大は最後の試合で3年ぶり、4度目の優勝を飾り、東日本学生リーグ戦との二冠に輝いた。ボルチン・オレッグ選手は「本当に優勝できて良かった。皆が頑張ったから優勝した。毎日練習したから優勝した」と手放しで喜んだ。また、高田監督、小幡コーチには「練習をよく見てくれ、技をいろいろ教えてくれ、勉強した」と感謝を口にした。

他の階級は、61㎏級乙黒圭祐(1年 東京・帝京)が2回戦敗退。86㎏級石澤誠悠(1年 茨城・霞ヶ浦)は2回戦でこの階級優勝者の松坂誠慶(日体大)に敗れたため、敗者復活戦に進んだが1回戦で敗退、ともにポイント獲得には繋がらなかった。

大会終了後、高田裕司監督は「ほっとしたというのが正直な気持ちです。今回はこんなに厳しい戦いになると思っていなかったので、最終試合で勝てて本当に良かった。今年負けたら3回連続負けですから、監督の責任になるし、これだけの戦力を抱えていて勝てないというのは情けないですから。選手は良く頑張ってくれました」と労った。小幡邦彦コーチは「61kgの乙黒が負けた時点でちょっとやばいと思ったのですけど、70kgの木下が思っていた以上の力を発揮してくれ優勝を引き寄せてくれた。MVPは木下です」とヒーローを称えた。「次は高橋だけが卒業で抜けますけど、他のメンバーも悪くないので、今年二冠を達成しましたが、来年はグレコも取ってグランドスラムの三冠を狙います」と意気込みを述べた。高橋侑希主将は「木下が頑張ってくれたおかげで優勝が出来ました。勝てば優勝、負ければ2位という流れのプレッシャーの中を2年生ながら本当にやってくれました。個人的な優勝より団体優勝が出来たことが本当にうれしいです」と後輩の活躍を喜んだ。

試合後の表彰式で各階級、大学対抗戦の成績発表があり、最優秀選手に贈られる文部科学大臣杯は57㎏級優勝の高橋侑希選手が受賞した。山梨学院大は8階級中4階級で優勝を獲得。
総合成績で3年ぶり、4度目の優勝に輝いた。

大学対抗戦の最終順位は、1位・山梨学院大53.5点、2位・日体大52点、3位・日大36.5点、4位・早大30点、5位・国士舘大・28点、6位・専大25.5点、7位・近大21.5点、8位・拓大16.5点となった。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.11.16