全国高等学校駅伝競走関東大会
~女子、昨年3位から2位に。全国制覇を視野に~
~最終5区島田美穂、4位から2位に上げる激走~

平成27年度「男子68回・女子24回関東高等学校駅伝競走大会」が11月21日、千葉県総合スポーツセンター東総運動場折り返しコース(男子42.195km、女子21.095km)で行われた。男子は48チームが7区間、女子は48チーム、5区間で関東1位を賭けて競った。山梨学院高は、10月31日に行われた山梨県大会で男子は5年連続、女子は7年連続優勝、ともに15回目となる全国大会(都大路)出場権を獲得して本大会に挑んだ。男子は、初の全国制覇を成し遂げた5人の優勝メンバーが抜けて臨んだ昨年、10位と順位を落とし入賞を逃した。今大会は昨年を上回る8位入賞を目標に掲げたが、1区のつまずきが修復できず、総合17位と順位を下げた。女子は、県大会とほぼ同じメンバーで臨んだ。1区を初めて任された三浦佑美香(3年)は3位で襷を2区の唐澤優奈(3年)に繋ぐが、唐澤は自分の走りが出来ずに5位後退、3区森野純夏(1年)が区間賞を獲得し4位に順位を上げ、4区の萩原百萌(3年)も2位の力走、最終区島田美穂(3年)に襷を託す。島田は、最初からトップギアで前を行く選手を追走、2人を抜く区間賞の激走で4位から1位と7秒差の2位でゴールした。
10月31日に西湖畔周回コースで行われた県大会で、女子は全区間1位、大会新記録で優勝。今年の全国大会(都大路)は男子に続き初の全国制覇が期待される。関東大会は全国を占う重要な大会。関東大会出場校2位のタイムで関東大会に臨んだ。
◆後半に地力を発揮2位。全国大会へ弾み
久しぶりにカラリと澄み渡った11月の爽やかな空気の中、午前10時に女子のスタートの号砲が鳴った。山梨学院高1区を初めて任された三浦佑美香(3年)は、先頭集団にしっかり付き、トップを狙うが折り返し後、2校に振り切られ3位で襷を繋いだ。三浦佑美香選手は「中盤まではいい感じで行けたのですが、1区は流れをつくる大事なところなのでもっと勢いを付けなければいけないと思いました。都大路では、3年生の自分が立場ということを考え、しっかり勢いをつける走りをしたい」と反省と意気込みを語った。2区の唐澤優奈(3年)は県大会で好走し、関東大会も好記録を期待されたが後半疲れ5位に順位を落とした。唐澤優奈選手は「しっかりと気持ちは持てていたのですが、苦しくなった時に、その気持ちが少し薄れてしまい後半失速してしまいました。今回、チームの足を引っ張ってしまったので全国では区間賞を取って、チームの優勝に貢献したい」と前を向いた。3区の森野純夏(1年)は区間賞を獲得する快走を見せた。順位を4位に上げ、優勝に望みを懸ける役割を果たした。森野純夏選手は「監督が最初からどんどん行けという指示だったので攻めて行きました。後半疲れてしまったのが悔しいです。県大会のコースの上りの方がきつかったと思うので、県大会の走りが生かせた」と記録を喜んだ。4区はインターハイ、駅伝にも1度も出たことがない萩原百萌(3年)が抜擢された。監督の起用に応える区間2位の好走で、4位を死守。萩原百萌選手は「3年間ずっと走れなくて、最近調子が良くなり、やっとチャンスをもらいました。ここでチャンスをものにしなくてはと思い、必死に走りました」と話した。
襷を受け取った島田美穂と1位の群馬・常磐高の差は26秒。「まずは確実に前の人を抜こうと思い、自分が元気のうちにと抜きに掛かりました」。襷をもらい1キロの上り始める地点で1人を抜き。折り返し時点では2位に上がっていた。島田美穂選手は「3区、4区で一気に上がってきたので自分の気持ちも上がりました。絶対追い抜いてやると強い気持ちで走っていたので最後追いつけなかったのが悔しいです」と1位と7秒差まで縮める激走にも満足いかない様子だった。レースの模様を見ていた早川可奈子主将(3年)は「皆の調整が上手くいったのが良かったです。自分も早く走りたいです。後1ヶ月、監督の言われたことをしっかりやれば出場できると思います。出たいです」と逸る気持ちを言葉にした。
◆女子成績《21,0975km》 2位*山梨学院高 タイム*1時間09分47秒
区間 | 氏名 | 距離 | 区間タイム | 区間 | 合計タイム | 総合 |
1区 | 三浦佑美香(3年) | 6,000m | 19,37 | 3位 | 19,37 | 3位 |
2区 | 唐澤優奈(3年) | 4,0975m | 14,06 | 14位 | 33,43 | 5位 |
3区 | 森野純夏(1年) | 3,000m | 9,45 | 1位 | 43,28 | 4位 |
4区 | 萩原百萌(3年) | 3,000m | 9,50 | 2位 | 53,18 | 4位 |
5区 | 島田美穂(3年) | 5,000m | 16,29 | 1位 | 1:09,47 | 2位 |
レース後、萩倉史郎監督は「(全国は)3番手の早川と、唐澤の調子が上がってくれば、いい感じでいくかなと思います。今日は及第点、上出来です。全国はとりあえず3番以内です」と控えめな言葉の中に、全国制覇の決意が見て取れた。
一方、男子は、県大会を5年連続優勝で果たしたが、昨年よりも29秒もタイムを落とした。関東大会の出場校の中でも中位の記録は劣勢が予想され苦しい挑戦になった。一昨年に全国制覇を成し遂げながら、昨年の関東大会、全国大会と大幅に順位を下げた苦い経験があるだけにどこまで順位を上げられるか、男子の課題となった。
◆復活の兆し、2区間で上位疾走
1区で起用された飯島圭吾(2年)は県大会唯一、男子で区間記録を更新。上位を期待されレースに臨んだ。中盤までは集団に取り付いていたが、後半から遅れだし区間21位と出遅れた。2区の八重畑龍和選手(1年)は遅れを挽回しようと懸命に前を追った。「最後の上りが心配で下りで抑えてしまったところがあったので、そこで妥協しなければもう少し、良いタイムが出たと思うので、そこに悔いが残るところです」と区間3位の走りにも満足はしなかった。総合15位に上げた順位は3区関川大吾(3年)が体調不良を起こし順位を下げた。4区熊谷尭之(3年)も区間6位と好走したが、後が続かず今年の男子は17位に沈んだ。熊谷尭之選手は「想定したよりも全く駄目でした。厳しい状況ではあるのですけど、ここから上げていかないと全国でも、去年と同じことになってしまうので、修正していかないと」と危機感を口にした。
◆男子《42,195km》 17位*山梨学院高 タイム*2時間10分20秒
区間 | 氏名 | 距離 | 区間タイム | 区間 | 合計タイム | 総合 |
1区 | 飯島圭吾(2年) | 10,000m | 30,56 | 21位 | 30,56 | 21位 |
2区 | 八重畑龍和(1年) | 3,000m | 8,40 | 3位 | 39,36 | 15位 |
3区 | 関川大吾(3年) | 8,1075m | 25,53 | 26位 | 1:05,29 | 20位 |
4区 | 熊谷尭之(3年) | 8,0875m | 24,56 | 6位 | 1:30,25 | 18位 |
5区 | 吉川敦史(2年) | 3,000m | 9,06 | 20位 | 1:39,31 | 17位 |
6区 | 志村仁夢(2年) | 5,000m | 15,21 | 12位 | 1:56,24 | 16位 |
7区 | 花田幹太(3年) | 5,000m | 15,28 | 17位 | 2:10,20 | 17位 |
箱崎孝久監督は「1区の流れを最後まで引きずりました。熊谷が長い距離を走れたことが収穫です。もう一度立て直して全国に挑みます」と話した。
◆関東大会成績結果 上位8校入賞
男子優勝=千葉・流通大柏高(2:06,39)、2位=埼玉栄高(2:07,03)、3位=群馬・東京農大第二高(2:07,20)、4位=千葉・市立船橋高、5位=栃木・佐野日大高、6位=栃木・白鴎大足利高、7位=千葉・専修大松戸高、8位=東京・國學院久我山高
女子優勝=群馬常磐高(1:09,40)、2位=山梨学院高(1:09,47)、3位=千葉・柏日体高(1:10,03)、4位=千葉・成田高、5位=神奈川・荏田高、6位=埼玉栄高、7位=埼玉・春日部東高、8位=東京・順天高となった。
尚、今年の全国大会は京都で開催され50周年にあたるため、すでに決定している各県代表の男女出場校を除外し、北関東・南関東地区の最上位の学校がそれぞれ全国大会に出場できる。北関東地区代表校は男子・佐野日大、女子・春日部東高。南関東地区代表校は男子・流通大付柏高、女子・柏日体高が出場権を獲得した。
師走の京都・都大路を駆け抜ける全国大会は12月20日(日)、高校生ランナーの熱い戦いが繰り広げられる。
文(K.F)カメラ(平川大雪・今村佳正・Y.Y) 2015.11.21