本学学生と議員が政策ワークショップ
~全国から注目、昭和町議会との連携も8年目~
~学生と議員が一緒に、町政の活性化を考える~
山梨学院大学と昭和町議会は12月4日、山梨学院大学内において政策ワークショップを行った。2008年に山梨学院大ローカルガバナンス研究センターと昭和町議会が全国で初となる連携協定を締結。その翌年から毎年、山学大法学部政治行政学科の学生と昭和町議員との間で地域が抱える問題や課題を、学生たちが昭和町に訪れ、得た資料・調査・研究をまとめ、新しい政策提案として提言、それに対応する議員と意見交換する形でワークショップを行ってきた。今年で7回目となった。同時に、昭和町は山学大の教授陣による研修を重ね、町政に反映してきた。その成果は昭和町が発行する「議会だより」の全国1位表彰や2014年度の全国町村議会議長会より特別表彰を受け全国から注目されていることからも窺える。国の地方創生に関わる諸政策にも大学との連携が欠かせないことも求められ、ますます大学が果たす役割が重要視されている。今年は6ゼミの約100人の学生が参加、地域創生や、防犯対策、環境政策、子育て政策、外国人児童の就学対策など9つのテーマで新たな政策提言を行い、町政を運営する議員の厳しい質問にも学生は、チームで練り上げた研究内容を基に応えるなど、活発に相互の質疑応答が重ねられた。
ワークショップには、昭和町議会から17人の議員が参加し、山梨学院大学からは法学部政治行政学科6ゼミ9チーム、約100人の学生が参加した。開会式では昭和町議会三井猛議長が「皆さんの若い視線で見たこと、考えたことをまとめて発表してくれることを期待しております。皆さん方の先輩が提案してくれたこともいくつか一般質問して、実現しております。今日皆さんたちが提案してくれことを議員と意見交換するわけですが、自信を持って行って欲しい。これは社会に出てきっと役に立つと思います」と挨拶した。山梨学院大学を代表して丸山 正次政治行政学科長が「学生たちの発表内容は稚拙な部分があるかも知れませんが、皆頑張ってまとめてきていますので、温かい心で議論を深め、学生たちが伸びるような助言をいただけると本当にありがたい」と挨拶した。また、山梨学院大ローカルガバナンス研究センターの江藤俊昭センター長は「このワークショップはすごく大事なものです。議員力のアップにも繋がりますし、学生にとっては、政策提言をするために現地に出向いて、調査・研究し、問題点を抉り出さねばならない。このことは学生たちが社会に出てから大きな意義あることだと思っています。実際の政治や行政に関わって少しでもそれを動かせるということが“この場”なのです」と趣旨内容を説明した。開会式後、昭和町議会の3つの委員会が会場ごとに分かれワークショップが行われた。各委員会では、初めに学生たちの研究報告・政策提案が行われ、それに続き議員の質疑応答・意見交換が行われた。
以下、各ワークショップの内容(委員会は制限時間を設け、時間内に報告、提案『約20分』、質疑応答等『約20分』を行う)
◆総務委員会(税財政、人事・給与、政策評価、行政改革、組織改革、地方分権、総合計画、
まちづくり等)
㈰ 昭和町の防犯対策(日高ゼミ)
㈪ 市民教育について(江藤ゼミ)
㈫ 地域創生について(江藤ゼミ)
◆教育厚生委員会(福祉・保健・医療、介護保険、保育、教育など)
①昭和町の子育て政策への提言(外川ゼミ)
②外国人児童の就学対策(日高ゼミ)
③街頭犯罪予防のための児童館型思春期少年施設と親・地域の役割(山内ゼミ)
◆産業土木委員会(農業、商工業、観光、都市計画、まちづくり〔ハード〕、環境など)
①魅力ある昭和町を創るための観光産業の活性化(外川ゼミ)
②公共交通の現況と課題(中井ゼミ)
③昭和町の環境政策への提案(丸山ゼミ)
「観光産業の活性化」をテーマに研究報告・政策提案を行った竹中淳朗さん(3年 政治行政学科)は「貴重な経験をさせてもらったことと、まだ自分たちがいいと思って、提言したものが議員さんたちの目から見ると甘かったという部分があると感じました。自分たちは理想を見がちだというところがあると思いますが、議員さんはしっかり今の町の現状を考えて、話してくれたので参考になりました」。また、「公共交通の現状と課題」を研究報告・政策提案をした臼田健悟さん(3年 政治行政学科)は「慣れない機会なので非常に緊張しました。今回提案し苦労した点は、どんな施設を巡って路線を考えることでした。議員さんからは予算という観点から物事を考えているなと感じました。議員さんが普段どんなことを考えて政策を考えているということが良く分りました」とそれぞれ感想を述べた。
閉会式では、昭和町議会の3つの委員会リーダーがそれぞれに学生たちの若い感性と新しい切り口の政策提言を評価。提言を参考に、一般質問で取り上げるなど約束した。続いて山梨学院大ローカルガバナンス研究センターの江藤俊昭センター長が「ワークショップは、政策提言の面白さはもとより、議論しながら多様な意見が出ることがポイントです。私たちの提言が全体のなかでどこに位置づくかという社会における多様性を学べることが非常に楽しいことの一つです。それと同時に面白さというのは可能性です。私たちは今、地域で問題点を発見して、政策提言することで社会が、地域が変わる可能性があるという、そういう意味で皆さんの経験というものがすごく大事なことです。改めて昭和町議会の議員の方々にお礼を言いたいと思います」と総評し、謝辞を述べた。昭和町議会河田あけみ副議長は「学生たちは町が抱えている問題をタイムリーに提言してくれました。実際気が付かないところもあり、学生の視点は違うと、勉強になりました。総合的な施策の中にいろいろな提案を組み込めるように努力したい」と学生の提言を前向きに捉えていた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.12.5