白熱イングリッシュキャンプ2015
~海外の名門大学生と作り上げる白熱の授業~
~2泊3日の模擬海外留学体験で世界を感じる~
海外の名門大学生と日本の小学生から高校生までの児童・生徒が交流する「白熱イングリッシュキャンプ2015」が12月26日から28日までの3日間、山梨学院大学国際リベラルアーツ学部(iCLA)で開かれた。ハーバード大学、ロンドン大学から大学生10人とサポートする大学生など10人、県内外の児童・生徒40人の60人が参加した。山梨学院関係は、高校英語科4人と中学から9人、13人が参加した。キャンプのプログラムは、海外の名門大学生と交流しながら大学生が考えた文化、教育、政治、芸術、哲学、心理学などリベラルアーツ教育の基本となるジャンルをテーマ別に9グループに分かれ、ともに議論(白熱)し、内容を分かり易く再構築していくもの。その成果を28日最終日に各グループでプレゼンテーションを行い、順位を競い合う創造的空間の形成を目的に行われた。この企画は、海外進学や留学をコーディネートする「タクトピア」の設立者の一人、嶋津幸樹氏が山梨学院高英語科出身ということもあり、山梨学院大国際リベラルアーツ学部に協力を依頼、今回が初めての試みを山梨で実施した。
山梨学院大学リベラルアーツ学部(iCLA)は、幅広い分野を学ぶことによって得られた知識を連結・統合することで、自由度の高い選択肢を持った人材を育てることを目的にしている。将来の国際社会に焦点を合わせ、授業のほとんどを英語で行い、交換留学制度を導入し国際的な教育ネットワークを形成、実践的英語教育に力を入れている。
今回「白熱イングリッシュキャンプ」を企画した嶋津幸樹さんは、山梨学院高校英語科出身の26歳。在学中にオーストラリアに短期留学。そこでの会話が出来ないことによる辛い体験から、自身で英語塾を起業、実践的な英語教育を目指した。大学進学後、オックスフォード、ケンブリッジ両大学院にダブル合格、現在ロンドン大学で応用言語学を専攻する傍ら、日本において海外進学、留学のコーディネートする「タクトピア」設立の一人として籍を置いている。今回の企画をiCLAで開催した理由について「今、海外進学の流れがある中で、進学したいと思っても、予算的な問題や奨学金が貰えなかったり、英語力に自信がないなど色々な制約があります。このiCLAというのは、海外にある大学がそのまま日本の山梨にある。ここで本物のリベラルアーツ教育が実践されているので、世界に出る前にこのような環境で体験することが最適と判断した」と話した。
◆白熱イングリッシュキャンプ 濃密な3日間
「白熱イングリッシュキャンプ2015」は世界の名門大学ハーバード大学、ロンドン大学の大学生10人と日本人参加者が3日間に亘り交流し、iCLAの教授陣の講義を実際に受け、リベラルアーツ教育の一端に触れたり、アメリカ英語・イギリス英語特訓講座、海外学生による相手を納得させるプレゼン法や聞く相手に伝わる方法などが授業に組み込まれた。嶋津さんは、「日本の高校生は海外進学を選択肢として考えていない。それは情報、自信がない、英語力がないなど色々な要因があります。今回、ハーバード大学、ロンドン大学の大学生が持っているマインドセット(信念・心構え・価値観)を日本の学生にも共有してもらい。日本で通用することが海外では通用しないことがよくあるのですが、彼らの持っているマインドセットを共有し、それをきっかけに力と自信をつけ、世界に羽ばたいてもらいたい。それが今回の一番の目的」と語った。今回の最大のプログラムは、海外の名門大学生と交流しながら大学生が考えた文化、教育、政治、芸術、哲学、心理学などリベラルアーツ教育の基本となるジャンル別のテーマを、共に議論し内容をもっと分りやすく再構築していくもの。9グループに分かれた小学生、中学生、高校生の参加者は3日間にわたり真剣に議論を繰り返し(白熱)、プレゼンテーションプランニング方法を思案した。その成果を28日最終日に各グループ別に全員の前で最終プレゼンを行い、順位を競い合いあった。審査にはiCLAの教授陣と参加者全員が当った。
今回、協力を推進した山梨学院大iCLAジョージT.シポス学生部長・事務長は「本当の国際的な環境は、日本人学生と海外から来ている学生と一緒に“交流場”をもっと作らなければいけない。せっかくiCLAの施設だけではなく教育環境ができたのでこのような企画は続けてやっていきたい。日本で留学できる環境ができたことは価値があると思います」とiCLAの存在の意義を話した。
◆貴重な体験をした参加者の声は
参加した留学経験のある吉村公介さん(山梨学院高2年)は「ハーバードとロンドン大学の現地で学んでいる現役大学生の知識を、僕たちも生の言葉で学ばしてもらえるので刺激的で有意義な時間を過ごしています。このキャンプは、すごい人たちに出会えるから自分から行かなきゃ、と楽しみでしょうがなかったです。日本だと英語で討論することや自分の考えを発することがないので英語で発言し、理解することが楽しいです。将来はリベラルアーツ系の学部を考えています」と興奮気味に話した。山梨学院からは高校英語科から4人、中学生から9人の13人が参加した。中学生男子の一人は「新鮮に感じました。ハーバードとかロンドン大学の人たちに教えてもらうことはめったにないので、貴重な体験です。意見を出しあって学んだことは、将来外国に行った時、どのようにしたら外国の人とうまくコミュニケーションが出来るかが分りました」と話し、中学生女子の一人は「言語が違うので初めは怖気づいて尻ごみしていましたが、実際に話してみると日本人の学生と感覚は一緒ですごくフレンドリー。見つけられた発見も多くありました。海外留学もしてみたい」と話した。都内から参加した女子高校生(2年)は「フェイスブックの広告を見て、すごいチャレンジングな合宿だなと思い、参加しました。間違ってもいいからと思い積極的に発言しました。皆さん発言を歓迎する雰囲気を作ってくれたので、やり易かったです。自分で授業を作る作業は大変だったですけど、グループで考えて作り上げた学びの多い合宿だったです」と手応えを口にした。同じく都内の小学6年生は「先生が一方的に教えるのではなくて、生徒と先徒の繋がりと生徒と先生の繋がりを全部結び付け授業としているのが興味深く、人とひとの繋がりを通して考えることがいいなと感じました」とキャンプに満足していた。
最終プレゼンテーションが終わり、2泊3日の全ての日程が終了。グループ別に組み立てた知識を全員の前でアウトプットし終えた参加者は、やり終えた充実感と満足感に溢れていた。3日間の濃密な時間を一緒に過ごした海外大学生・参加者60人、スタッフ10人は、またの再会を約束し別れを惜しんだ。最後に嶋津さんは「リベラルアーツというものは世界では不可欠なもの。自分を語る上でも『私はこのような教養があって、その上で、専門はこれだ』という土台になるもの。リベラルアーツ教育は、まさにこれからの国際的な場で活躍するために日本に必要なもの」と世界に目を向け、第一歩を踏み出す若者にエールを贈る。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2015.12.29