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第92回箱根駅伝―往路
~2区ドミニク・ニャイロ、7つ順位を上げる快走~
~往路4位でゴール、復路で総合3位以内を目指す~

新年を飾る一大イベント箱根駅伝。「第92回東京箱根間往復大学駅伝競走」の往路が2日午前8時、東京大手町読売新聞本社前をスタートした。10区間217.1kmを昨年優勝の青山学院大学を初め、昨年9位の山梨学院大を含めたシード校10校、予選会を通過した10校、関東学生連合チームを加えた21校が箱根を折り返し、大手町を目指す10区間の激走が始まった。2日の往路は5区間107.5kmで争われた。山梨学院大は、30年30回目、節目の出場を果たした。昨年は2区の突然のアクシデントで、1区・2区と出遅れ、3区からの持ち直しによって、留学生ランナー抜きのオーダーで初めてシード権を獲得した。今年も総合力をベースに、1区は、粘りの安定した走りに定評のある佐藤孝哉(3年)を起用。ハイペースで進んだレース展開を10位と期待通りの走りで序盤の流れを作った。2区のドミニク・ニャイロ(1年)は3位まで順位を上げる快走を見せると、3区上田健太(2年)、4区田代一馬(4年)も健闘、3位を維持した。5区山登りを2年連続で務める前田拓哉(4年)に往路のゴールを託した。昨年の経験から堅実な走りで奮闘したが、順位をひとつ落す4位で箱根のゴールテープを切った。明日の復路は往路優勝の青山学院大から7分29秒後にスタートする。

前回、2区を走る予定だったオムワンバの直前の故障でオーダー変更をやむ得ない事態に1区・2区出遅れ、思わぬ誤算の幕開けとなった。3区以降で持ち直し、創部以来初めて、留学生抜きのオーダーでシード権を獲保した。今回は、その教訓を基に選手自身が持てる能力を今以上に発揮することを目標にスローガンは「己の殻をぶち破れ」と掲げた。今シーズンの目標は三大大会で3位以内に据えた。10月の出雲駅伝では2位と結果を残したが、11月の全日本大学駅伝ではシード圏内に僅か5秒届かぬ7位となり、総合力に課題を残した。箱根駅伝は青山学院大、駒澤大、東洋大の3強にどこが優勝争いに加わるかが、今大会の見所だが、28分台の持ちタイムを見ると、山梨学院は青山学院の11人に次いで東海大と並ぶ7人と多い。
タイムだけでは計り知れないのが、駅伝の面白さ。山梨学院は従来どおりの走りが一人ひとり出来ればダークホース的な存在として、山梨学院旋風を巻き起こすダークホース的存在として、警戒されている。

■往路107.5km
◆1区[21.3km 東京大手町 ⇒ 鶴見中継所]

1区は、全体的に平坦なコースで走りやすいが、集団で走ることで多く、どこで抜け出すか駆け引きが注目される。1区で流れを引き寄せるかが、以降の順位に影響を与えるため、各校のエース級の選手が投入される。1区は、粘りのある安定した走りの佐藤孝哉(3年 島根・出雲工)に託された。出雲駅伝で3位と好走、全日本大学駅伝では12位と佐藤にとっては不本意な成績だった。3年連続の箱根駅伝で昨年と全日本の雪辱を晴らすべくレースに臨んだ。1月2日午前8時、号砲と共に21校が一斉にスタート。「緊張もせず、リラックスしてスタートを切れました」と佐藤は言う。序盤、区間記録を上回るハイペースの集団のなか、中位のいい位置に付ける。粘りを心情とする佐藤はじっと我慢の走りを見せるが、16km付近で優勝候補の青山学院大が仕掛けると、付いて行けず、トップと1分13秒差の10位で襷を2区のドミニク・ニャイロに繋いだ。佐藤孝哉選手は「体も軽かったし、序盤はいい感じでいけました。付けるところまで付いていこうと食らい付きましたが、後半上がらなくなり、スパートで遅れました。タイム的には悪くはないですし、自分を信じ、チームを信じ走り、いい位置で渡せた」と自分の役割を語った。

◆2区[23.1km 鶴見中継所 ⇒ 戸塚中継所]

襷を渡されたドミニク・ジャイロ(1年 ケニア・メサビサビ)は、先の出雲駅伝で初めての駅伝で区間賞を獲得する鮮烈なデビューを飾ると、続く全日本大学駅伝でも区間賞と圧倒的な強さを見せ、故障からの復活が万全でないオムワンバに代わり箱根駅伝デビューとなった。エースが集まる2区、襷を受けて僅か700メートルで2人を抜き、8位に。さらに2キロ付近で東洋大、早稲田大などの集団をかわし、3位に浮上。6キロでは明冶大を捉え、8人抜きを達成、2位に順位を上げた。この後、東洋大に詰め寄られ最後は振り切られたが、順位を7つ上げ3位で中継所に。流れを山梨学院に引き寄せ、3区上田健太に襷を繋いだ。ドミニク・ニャイロ選手は「区間新を狙ったけど、最初オーバーペースで入ったので、最後の3キロでペースが上がらなかった。満足ではない」と話した。

◆3区[21.4km 戸塚中継所 ⇒ 平塚中継所]

3区の上田健太(2年 山梨学院大附)は今朝のメンバー変更で史上14組目の親子ランナーとして、箱根駅伝デビューを果たした。やはり今年初出場した出雲駅伝2位、全日本大学駅伝7位で実績を残した上田の走りに期待が懸かった。初めての箱根で「緊張で前半動きが悪かった」と11キロ付近、駒澤大が上田に追い付き、その後並走が続くが、17キロ、上田が駒澤大をかわし3位、トップと2分46秒差で4区に襷を繋いだ。上田健太選手は「去年走れなかった分、今年はと思って走り出したんですけど、前半ペースが遅くて、後半は粘って上げることが出来たのですが、前半の遅さが区間順位に繋がったと思います」と振り返った。隣にいた父親の上田誠仁監督に「来年は区間賞を狙って、最初からしっかり自信を持って走れるように今年1年チームを引っ張って、もう一段階成長した姿が見せられるように頑張る」と活躍を誓った。

◆4区[18.5km 平塚中継所 ⇒ 小田原中継所]

田代一馬選手(4年 千葉・市立船橋)は、前回オムワンバの直前の故障によるメンバー変更で1区に回り、20位と、屈辱を味わった。スピードがあるトラックでは好成績を残すが、ロードでは結果を出せないでいた。11月の全日本大学駅伝で4位と好成績を上げ、本領を発揮、箱根に臨んだ。上田から襷を受けた田代は駒澤大と並走、後半15キロ過ぎまで3位争いを続けた。田代が最後はスパートを仕掛け、駒澤大に100m以上の差を付けて3位を死守した。田代一馬選手は「駒澤大学とほぼ同時に襷を貰ったんですけど、一緒に前を追いかける状態だったが、自分でも後半勝負とイメージを持っていたのでラスト3キロで仕掛けて駒澤大を突き放せたのは自分でもいい走りだったと思います」と話し、昨年の1区の出遅れを「流れを自分が切ってしまう形でスタートしたのですが、今年は自分が4年生ということで逆にチームに勢いをつける走りを絶対にしようする思いで1年間練習してきて、今回の走りに繋がった」と手応え話した。

◆5区[23.2km 小田原中継所 ⇒ 箱根芦ノ湖]

5区に入ると駒澤大が25秒差の前を走る前田拓哉(4年 熊本国府)を猛迫。2年連続の山登りに挑む前田だが、4キロ過ぎで駒澤大に追い付かれ、徐々に差が開いていく。必死に前を追う前田だが、「頂上付近が風も強く感じました。しかし、もう少しペースを上げてればという反省点はあります。下りに入ってからも風が止まなく、今年は去年以上に過酷な5区だったと感じた」とレースを振り返る。前田拓哉選手は「自分が経験した4年間の箱根駅伝では一番駅伝らしい駅伝ができた感じがします。3位で来たという経験は陸上競技を10年間続けて来て初めて、今回最後のレースが一番緊張し、襷を貰う瞬間、鳥肌が立つくらい、感動し、スタートして涙が出るほど、今年はいい箱根駅伝だなあと実感しながら走ることができました。だからこそ個人としてはもう少し行きたかったですけど、復路の選手に笑顔で襷を託しました」と走り終えた爽やかな顔で話した。トップと7分29秒差の4位で往路のテープを切った。

■往路成績4位 往路タイム 5時間33分24秒

順位 ランナー 区間タイム 区間順位 総合順位
1区 佐藤孝哉(3年) 1時間02分35秒 10位 10位
2区 ドミニク・ニャイロ(1年) 1時間07分20秒 2位 3位
3区 上田健太(2年) 1時間04分13秒 7位 3位
4区 田代一馬(4年) 56分04秒 5位 3位
5区 前田拓哉(4年) 1時間23分12秒 12位 4位


■往路順位(10位シード権以内)

順位 大学名 総合タイム 復路タイム差  
1位 青山学院大学 5時間25分55秒    
2位 東洋大学 5時間28分59秒 3分04秒  
3位 駒澤大学 5時間31分15秒 5分20秒  
4位 山梨学院大学 5時間33分24秒 7分29秒  
5位 早稲田大学 5時間34分17秒 8分22秒  
6位 日本大学 5時間34分28秒 8分33秒  
7位 順天堂大学 5時間35分39秒 9分44秒  
8位 東海大学 5時間35分45秒 9分50秒  
9位 帝京大学 5時間36分36秒 10分00秒 繰り上げ
10位 拓殖大学 5時間37分42秒 10分00秒 繰り上げ


レース後、上田誠仁監督は「去年、一昨年と非常に苦しい、悔しい、情けない、という3拍子揃うような大会を経験してきているので、それを払拭するということでまずまず、攻めの走りが出来た。やはり上位争いの中にいないと、チームに新たなものが生まれてこないので、これを守るのではなく、明日に向けては攻めの走りでトップ3を目指して頑張りたい」と話した。

山梨学院大は、今シーズン三大駅伝で3位以内を目標に掲げた。出雲駅伝では総合2位と達成。全日本大学駅伝では総合7位とシード権を逃した。最後の箱根駅伝では総合力で是が非でも3位以内を確保、有終の美を飾りたい。3日の復路のスタートは箱根芦ノ湖畔を午前8時に青山学院大からスタートする。ゴールは午後1時30分頃。

文(K.F) カメラ(平川大雪・藤原稔・今村佳正・中嶋一・Y.Y)
2016.1.2