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日本学生氷上競技選手権大会 最終日
~女子団体2種目で2位、3位今大会初の表彰台~
~男子は2種目で4位、惜しくも表彰台を逃す~

日光市で4日間にわたり繰り広げられた「第88回日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)」の最終日を1月9日迎えた。今大会は、春めいた気温で暖かい日が続いた。コンディションの悪いリンクで学生たちは、今自分が持っている力の限りを尽くして母校のため、自分のために滑った。インカレ対抗戦の花形、4人で滑る男女2000mリレーと3人一組で滑るチームパシュート(団体追い抜き)が行われた。最初の種目は女子2000mリレー、第1組単独走の不利な条件ながらリンクレコードを叩き出し、3位に入り今大会初めての表彰台に上った。続く、男子も4人の力強い滑りで3位に僅かに及ばない4位になった。女子チームパシュートも3人のチームワークで2位に入り、山梨学院大女子の底力を示した。男子は最後の種目に表彰台を目指したが、3位の日大に0.12秒届かず、4位の悔しいレースとなった。大学対抗戦総合成績は、男子6位、女子は4位なった。すべての競技終了後、山学大は全員でラストラン、花束を手にした7人の4年生は、一人ひとり4年間のスケートへの思いを保護者、監督、コーチ、後輩の前で述べ、溢れ出る涙を拭い、最後に感謝の気持ちを伝えた。

■《最終日 1/9 日光霧降スケートセンター 晴れ 午前9時 4.3℃》

◆《女子2000mリレー 3位 原茉畝・虫狩光桜・高橋菜那・澤田芽依》
最終日9日、最初の種目女子2000mリレーは、1人が500mを滑り4人がバトンリレーで繋いでいく競技。スピードの速いスケートはバトンの受け渡しが非常に難しい種目。僅かのミスが致命的になる。

第1走者の原茉畝(1年 北海道・帯広三条)「山梨学院行くぞ!」の掛け声でスタート。同走のない単独走は競い合う相手がいない不利な条件。力みのない滑りで2走の虫狩光桜(1年 北海道・池田)にバトンリレー、3走は山学大長距離のエース、高橋菜那(4年 北海道・白樺学園)、4走澤田芽依(4年 北海道・帯広三条)の2人は大きな滑りで力走、リンクレコードを叩き出しゴール。3位になり今大会うれしい初の表彰台を獲得した。第1走者の原茉畝選手は(写真は右から原、虫狩、高橋、澤田)「4年生2人と、1年生2人の構成だったので先輩に迷惑掛けないように、力になれるようにと滑りました」と話した。2走の虫狩光桜選手は「500、1000mと出させてもらえたのに全く戦力になれなくて、リレーで3位という成績が残せたので少しは一緒に戦うことが出来たのかなと思います」と謙虚に答えた。

◆《男子2000mリレー 4位 宗宮紘汰・山中敏愛・渡邉晟・戸田真也》
男子は4組の滑走。第1走者の宗宮紘汰(4年 北海道・白樺学園)が同走の高崎健大と競い合いほぼ同時にバトンリレー、ここで山学大はリレーミスを犯しタイムロス、リードを奪われた。2走・山中敏愛(3年 長野・小海)、3走・渡邉晟 (2年 福島・郡山商)、4走・主将の戸田真也(4年 北海道・白樺学園)が懸命に前を追ったが、最初のミスが響き4位となり、悔しい表彰台を逃した。戸田真也主将は「リレー、パシュートはいつも表彰台を狙っているので、今回も、という覚悟で臨みましたけど、上には上がいました。この悔しさは、来年晴らしてくれると思うので期待しています」と後輩に後を託した。

続いて行われたのは、今大会最後の種目「チームパシュート」。チームパシュート(団体追い抜きとも呼ばれる)は、3人一組で滑り、男子はリンクを8周(3200m)、女子は6周(2400m)でのタイムを競う。2チームがメインストレートとバックストレートの中央から同時にスタートし、3人目の選手のブレードがゴールしたタイムで勝敗を決める。スピードスケート競技や自転車競技などで採用されている。2006年のトリノオリンピックからオリンピック種目に採用された。個人選手と違い、強い選手が弱い選手を引っ張り全員が一団となって滑ることが大事だ。先頭は空気抵抗が掛かり、体力を消耗するために、3人がコーナーで先頭を入れ替わりながら滑走するといったチームプレーの戦略が鍵になる。

◆《女子チームパシュート 2位 高橋菜那・高山瑞穂・池田千奈美》
女子チームパシュートは、高橋菜那、高山瑞穂(1年 北海道・駒大苫小牧)、池田千奈美(4年 北海道・駒大苫小牧)の3人で組まれた。第1組山学大はメインストレートからスタート、高橋が中心になり先頭で2人を引っ張る。ときおり高山、池田が前に出、高橋をサポート。最後はチーム一丸となりゴール。好記録が生まれた。最終組3組の優勝候補日体大にかわされたが2位となり、2種目続けての表彰台に上がった。池田選手は(写真右から池田、高橋、高山)「自分は個人としての成績は残せなかったのですけど、後輩や同期に引っ張ってもらって、いい形で終われたので満足しています。楽しかったです」と爽やかな笑顔を見せた。高山瑞穂選手は「自分はぎりぎりでしたが、皆の応援で頑張れました。初めてのインカレで余りいい結果ではなかったですが、これからの3年間に良い経験になりました」と話した。

◆《男子チームパシュート 4位 大林昌仁・山本大生・渡邉晟》
大林昌仁(4年 長野・佐久長聖)、山本大生(1年 青森・八戸西)、渡邉晟で組んだ山学大男子は、3組に登場。1組目で大東文化大が出した記録を目標に長距離の第一人者、大林を中心に安定した足取りで滑り進む。途中何度か大林が「ついてこい!」と2人を鼓舞する。ひたすらゴールを目指した3人は、大東文化を抜きこの時点でトップに立った。残り2組の結果を待ったが、3チームにかわされ4位に下がった。3位になった日大とは0.12秒差で涙を飲んだ。男子はこの日行われた2種目に表彰台を目指したが、いずれも4位と目標は叶わなかった。

大会の結果、スピード部門男子の総合優勝は法政大、2位信州大、3位専修大・日大、5位高崎健大、6位山学大、7位東洋大、8位明冶大となった。

女子のスピード部門総合優勝は高崎健大、2位日体大、3位信州大、4位山学大、5位大東文化大、6位八戸学院大、7位東京女子体育大、8位岩手県立大となった。

全ての競技を終えた各大学チームは、部員全員で4年生を送るラストランを行った。山学大チームも一列に隊列を組みリンクを周回、別れを惜しんだ。集まった選手に対して川上隆史監督は「4年生は4年目、1年生は初めてのインカレでそれぞれの思いは違うかも知れないが自分の力が周りの仲間に影響するという雰囲気で行われてきた。今回アクシデント(後述)含めて厳しい状況で戦った。その中で一人ひとりが自分の力を出した結果である。今年度の悔しい思いを3年生以下の選手は晴らして欲しい。4年生は、インカレの思いを人生のひとつの節目として大事にして欲しい」と話した。昨年9月にコーチに就任した伊藤潤二コーチは「厳しい状況の中で戦ってきて、尻上がりに結果が出るようになって山梨学院の力を改めて感じました。立派なチームを作ってきた4年生の意志をしっかり引き継いで、後輩たちは来年リベンジできるよう頑張りましょう」と奮起を促した。

戸田真也男子主将、宗宮紘太、山浦大明(長野・小海)、澤田芽依(北海道・帯広三条)、黒岩亜沙美(群馬・嬬恋)、女子主将の高橋菜那、池田千奈美の4年生7人に後輩から花束が贈られた。花束を手にした4年生は一人ひとり後輩、監督、コーチ、応援に駆けつけた保護者に別れの言葉を述べた。選手と主務を兼務した宗宮紘太選手は、「4月から4年生の皆と、後輩に助けられ主務としてもやってこられた。何とか役に立とうと頑張り、この仕事は自分のためにもなりました。記録も36秒40のベストを出せて本当にうれしかった。保護者の方もいつも応援して下さりありがとうございました」と、この一年を振りかえり感謝を言葉にした。4年生で唯一ショートトラック競技の山浦大明選手は「4年目にして初めてインカレを体験できてショートにはないチームのために頑張る姿を感じることができました。シーズンになると一緒に練習はできなかったですけど、夏に辛い練習を耐え抜いた仲間として、とてもいい思い出です」と話した。怪我に泣き、競技から離れチームを支えてきた黒岩亜沙美マネージャーは「初めはチームをまとめることができず嫌でしょうがなかった。両親に何があっても頑張れと言われ頑張りました。マネージャーになって、選手では味わえない仕事や色々な人と知り合え、いい経験が出来ました。選手の時より成長ができました。社会人で自立できるように頑張ります」と涙ながら話した。山学大で過ごした4年間の濃密な大学生活で堅い絆によって結ばれた7人。競技を続ける者、引退し社会にでていく者、それぞれ新しい道に希望を抱いて羽ばたいて行く。

戸田真也主将は「4年生になって分ることがたくさんあるので、今の3年生は一回り大きくなれる年になるのでこの一年を大事にしてください。後輩の人たちは先輩を見て学ぶところをしっかり学んで先輩から得るものは得てください」。高橋菜那主将は「個人種目も大事なのですけど、チームの力が試される大会で最初は流れが悪かったですが、この悔しい気持ちを後輩たちにも絶対に忘れてほしくなくて来年はもっと頑張ってほしく、期待しています」とそれぞれ後輩にエールを贈った。

最後に。レース前日5日、山学大スケート部が宿泊中のホテルで、選手数人が体の不調を訴え、監督らが救急医へ搬送したところ、『ウイルス性急性胃腸炎』と診断された。翌日、ホテルを分散させるなど出場選手へ感染が広がらないよう処置を取り、何とか大会に臨んだ。選手たちは、言い訳がましくなるからと口には出さぬが、一丸となり戦う団体戦で選手たちの体調への動揺と、宿泊場所を分散した影響は少なからず、あるように映った。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.1.9