第十七回酒折連歌賞 入賞者発表
~大賞・文部科学省大臣賞に山梨学院高の今村君~
~受賞作「立ち漕ぎでアンナプルナを上り切るため」~
酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は2月1日、第十七回酒折連歌賞一般部門大賞(文部科学大臣賞)・山梨県知事賞・山梨県教育委員会教育賞・甲府市長賞の4句とアルテア部門の大賞(文部科学大臣賞)1句など、受賞作100選を発表した。1998年(平成10年)の創設以来、多くの応募者に支えられてきた酒折連歌賞に、今年度の大会応募句数は、31,251句とたくさんの『答えの片歌』が寄せられた。大賞は、山梨学院大学附属高校1年の今村光臣さん(16歳)の句に贈られた。一般部門で10代の大賞は3人目となる。問いの片歌「自転車のギヤを一段あげよう今朝は」の問いかけに、今村さんは「立ち漕ぎでアンナプルナを上りきるため」と答えの片歌を返した。選考委員の三枝昂之さんは「思いっ切り飛躍したプランに驚きました。立ち漕ぎでも到底無理ですが、無理に挑むのが詩のいいところ。『さあ、どんなチャレンジをしますか』」という問いを詩の楽しさにしたところを高く評価した。他の山梨県知事賞など上位5句の表彰式は2月21日(日)、山梨学院広報スタジオで行われる。
◆一般部門4句・アルテア部門1句、上位5句受賞作品
[一般部門](全応募作品を対象)
大賞・文部科学大臣賞 今村光臣くん(山梨学院大学附属高校1年 16歳 男性) | |
<問いの片歌一> 自転車のギヤを一段あげよう今朝は |
<答えの片歌> 立ち漕ぎでアンナプルナを上りきるため |
山梨県知事賞 伊賀﨑美千代さん(福岡県宗像市 34歳 女性) | |
<問いの片歌五> 歩くこと走ること風の声を聞くこと |
<答えの片歌> 不確かなでも確実な存在証明 |
山梨県教育委員会教育長賞 秋山恵里さん(山梨県立甲府第一高校2年 16歳 女性) | |
<問いの片歌二> だれか来る木々の匂いと風をまといて |
<答えの片歌> 参観日一番乗りの僕の父さん |
甲府市長賞 今田紗江さん(徳島県徳島市 48歳 女性) | |
<問いの片歌三> 啄木のひたいに触れて聞くかなしみは |
<答えの片歌> キツツキになれずあなたの心も打てず |
[アルテア部門](小・中・高校生の作品を対象)
大賞・文部科学大臣賞 水野真奈香さん(静岡市立清水第八中学校 14歳 女性) | |
<問いの片歌三> 啄木のひたいに触れて聞くかなしみは |
<答えの片歌> はきはきともの言うきみが救ってくれる |
以上の上位5句に加えて、入選10句、優秀賞12句、優良賞54句、アルテア部門賞佳作に19句、合わせて100選が選出された。
◆酒折連歌賞とは
わが国の連歌発祥の地とされている『酒折宮』にちなんでつくられた酒折連歌賞は、1998年(平成10年)、多くの人に連歌に興味・関心と創作意欲を持ってもらい、連歌を蘇えらせ普及させ、文学の振興、文化の創造を推進しようと、山梨学院大が母体になり創設された。「古事記」に登場する倭建命(日本武尊)と御火焼(かがり火役)の老人との問答にちなみ、五・七・七の問いの片歌に対して答えの片歌五・七・七で返す問答形式の歌遊び。文学形態上からも珍しく特色があるといえる。伝統を現代に活かそうという試みは、今回で第十七回を数え、一般部門では大賞の文部科学大臣賞を初め、山梨県知事賞、山梨県教育委員会教育長賞、甲府市長賞があり、また、小・中・高校生を対象に、斬新で若々しく将来楽しみな才能を見出すことを目的としたアルテア部門にも大賞・文部科学大臣賞が設けられている。
◆今年度も国内外、老若男女から多数の応募が寄せられた
今年度の応募句数は31,251句(男性15,379句、女性15,843句、不明29句)、昨年を2,500句余りも越える応募があった。最年少応募者は8歳(徳島県・女性、東京都・男性、山梨県・男性、タイ・男性)が4人、最高齢応募者は93歳(山梨県・男性、山梨県・女性、神奈川県・男性)の3人だった。全国の中学・高校で授業の一環として活用され、学校ごとの団体応募が他の文学賞と比べると圧倒的に多く、今年度は応募句の実に72%が10代で占められた。都道府県別では山梨県が最も多く、17,423句、続いて埼玉県の1,652句、神奈川県、愛知県、東京都、兵庫県、静岡県、大阪府、千葉県、福岡県が応募句数ベスト10となった。また、海外からもアメリカ合衆国81句、マレーシア16句など、6カ国から合計110句が寄せられた。受賞者の表彰式は2月21日(日)、山梨学院広報スタジオで行われる。
文(K.F) 2016.2.1
100選の詳細及び選評は酒折連歌賞HP