山梨QBの復帰記念試合を学生がプロデュース
~大学・長倉ゼミの学生が進行や応援企画を実施~
~応援企画ではSNSを通じ来場者の笑顔を配信~
今秋より女子バスケットボールのトップリーグ「バスケットボール女子日本リーグ」(WJBL)への復帰の決まった山梨クインビーズ(山梨QB)は3月13日、同リーグへの復帰を記念した特別試合を山梨学院大学バスケットボール部女子と甲府市総合市民会館・山の都アリーナにて行った。WJBLの公式戦をイメージして行われたこの試合には、ヴァンフォーレ甲府などでスタジアムDJを務める高杉'Jay'二郎氏がアリーナDJを務め試合やハーフタイムショーを盛り上げた。一方、山梨学院大学経営情報学部・長倉富貴准教授の指導の下、長倉ゼミの学生らが運営面で活躍。SNSを通じた応援企画や山梨QBのマスコットキャラクターの「ビーちゃん」との触れ合い広場を通じて、訪れた800人の観客を楽しませていた。試合後には山梨QBの選手によるサイン会や地元の中学校やミニバスチームへのバスケットボールクリニックを開催するなど選手たちは子どもたちと積極的に触れ合っていた。
山梨QBの前身は1968年創部の日立甲府女子バスケット部。2014年までWJBLに参戦していたが、スポンサー企業の撤退により同リーグへの参戦を見送っており、昨年までは関東実業団リーグに参戦していた。かねてよりトップリーグの復帰を望んでいた同チームは元山梨県副知事の芦沢薫氏を代表に迎え入れて再建計画を立案。チームと県、市町村やバスケットボール協会といった組織が一体となり復帰への取り組みを進めていた。経営面だけではなく、選手の大幅な入れ替えも余儀なくされていた同チームだが、2015年度の関東実業団リーグでは優勝、WJBLのリーグ復帰の条件として課されていた全日本実業団選手権大会でのベスト4入りも果たした。そして経営面での基盤を安定させることに成功し、今秋からの復帰が決まった。
今回の特別試合はWJBLリーグの復帰も決まっていたことから、同リーグでのホームゲームを想定した大会運営を行うことを目指し、主催の甲府市教育委員会、バスケットボール協会、大学などの組織が連携を取り合い開催。山梨学院からは経営情報学部・長倉富貴准教授が運営プランを立案し、当日はゼミ生30人と4月より山学大経営情報学部の特任講師に就任予定の大崎恵介氏が大会の円滑な運営を目指し現場のマネジメントを行った。
当日長倉ゼミの学生は①進行②イベント③マスコットキャラクター④DJブース⑤広報の5つのチームで活動。佐藤俊輔さん(経営情報学科3年)が指揮をとりトランシーバーを通じて全体の統括を行った。「円滑な運営にはタイム・マネジメントが必要になってきます。そのために先読みをして適宜各リーダーと連携を取りながら指示を出し進めていきました」と佐藤さん。当初予想していた500人の来場客を大幅に上回る800人を前に「緊張した」と言いながら正確にチームをまとめていき滞ることなく、大会を盛り上げるサポートを行った。一方、試合開始前には広報チームがSNSを活用した応援メッセージ企画を実施。来場者に応援メッセージをボードに書いてもらいSNSでアップし来場客の笑顔を配信した。応援企画リーダーの浅川さん(経営情報学科3年)は「チームや家族連れ、高校生など幅広い年代の方々に協力して貰えるよう声かけをしました。観客の皆さんからいただいたメッセージはその場で写真を専用のサイトへアップし、配布物にあるQRコードからサイトの写真を確認できるのでみなさんに楽しんでもらえたと思います。また、たくさんの人がQBの応援してくれていることを感じました」と語った。イベントチームはハーフタイムと試合終了後の自由参加型のフリースロー大会を担当した。リーダーの窪田群さん(法学科3年)は「予想以上に多くの人が参加してくれたのはよかったのですが、長蛇の列ができてしまいトイレや通行の妨げになっていました。列の作り方をもっと工夫すれば時間も場所もとらずにサイン会がスムーズに行えたと思いました」と語った。
試合は終始山梨QBが主導権を握る展開。観客も「オーフェンス!」や「ディーフェンス!」の声で選手を後押しした。試合は終盤に山学大が追い上げるも山梨QBが逃げ切り、58対52で山梨QBが勝利。最後は両チームの健闘を称え一緒に記念撮影。観客席からも大きな拍手が送られた。その試合を随時盛り上げていたのがDJブース。高杉‘Jay‘二郎氏と共にブースに座ったDJブースのリーダーとなった阿部怜央さん(経営情報学科3年)は自ら志願してこの担当を引き受けた。午後からのバスケットボールクリニックは二郎氏に代わり阿部さんら学生がDJブースから声を発信。さらに会場を盛り上げようと山梨QBの選手を解説に招くアイデアを発案し、機転を利かせた対応で会場を盛り上げた。イベント後には「とても勉強になりました。DJは、ゲームはもちろん会場全体の状況をしっかりと感じ取れないといけない仕事。ここで得た経験を今後のイベントマネジメントに役立てていきたいです」と語った。
進行を担当したリーダーの杉山愛海さん(経営情報学科3年)はヴァンフォーレ甲府でのインターンシップ経験を活かしてイベントの運営にあたった。バナー広告の貼り方、来場者への接客など来年度から一緒に勉強していく長倉ゼミの新3年生に対し指導を行いながら運営にあたり、試合後のサイン会では予想以上に多くの来場客が並んだことにも素早く対応。少しでも選手の負担が少なく、会場を混乱させないよう誘導を自ら指揮して進行を助けた。運営面で大変なことがありながらも「会場全体が盛り上がっていたので、お客様には楽しんでいただけたと思います」と笑顔で語った。
山梨QBは10月から始まる2016−17のシーズンに向けて経営面とチーム面共にさらなる強化を図っていく予定。来シーズンは甲府市、甲斐市、山梨市、富士吉田市の4市でのホームゲーム開催が決まっており、今回の特別試合の運営にさらに磨きをかけて、地域を盛り上げていく方針だ。企業からのバックアップが多い実業団チーム相手にクラブチームの山梨QBは自治体、大学、競技関係者で連携した「チーム山梨」で、新しいスタイルの試合運営を展開する。そしてその運営の成功の鍵はスポーツマネジメントを学ぶ山学大の学生達の活躍にあるかもしれない。2016シーズンの山梨QBは試合の勝敗のみならず、こうした運営面も含めた「チーム山梨」の活躍に注目が集まる。
記事・写真提供(経営情報学部・長倉富貴准教授)、構成(PBセンター広報課)
2016.3.16
| アルバム1 | アルバム2 |