「第十八回酒折連歌賞」募集記者発表
~問いの片歌5句、応募要項等を発表~
~4月1日より募集開始、9月30日まで~
酒折連歌賞実行委員会は3月30日、山梨学院広報スタジオで「第十八回酒折連歌賞」の募集記者発表を行い「問いの片歌」5句を発表した。酒折連歌賞は1998年(平成10年)、多くの人に連歌に興味・関心と創作意欲を持ってもらおうと、山梨学院大学が母体になり創設。文学形態上からも珍しく特色があるといわれ、伝統を現代に活かそうという試みは、今回で第十八回を数える。「古事記」によると倭建命(日本武尊)が大和への帰途に酒折宮に立ち寄った際、詠んだ片歌に御火焼(かがり火役)の老人が片歌で返した逸話が連歌の起源とされたことから、酒折宮が連歌発祥の地といわれるようになった。「酒折連歌」と名づけているものは、5・7・7の問いの片歌に対して5・7・7の答えの片歌の問答形式になっている。記者発表では他に「酒折連歌賞」の概要、前回の応募状況、今回の応募要項についての詳しい説明があり、実行委員会は前回の「答えの片歌」31,251句を上回る応募に期待を寄せている。問いの片歌に対する答えの片歌の募集期間は4月1日より9月30日までとなっている。
募集記者発表は、まず、廣瀬孝嘉酒折連歌賞実行委員長が「『古事記』によると倭建命(日本武尊)が大和への帰途に酒折宮に立ち寄った際、『新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる(新治・筑波の地を過ぎて、ここまで幾晩寝たのか)』と問いかけたところ、御火焼(かがり火役)の老人が『かがなべて 夜には九夜 日には十日を(日数を重ねて、夜では九夜、昼では十日~九泊十日~ですよ)』と答え、この4・7・7の問いと5・7・7の答えの片歌問答が連歌の起源とされたことから、酒折が連歌発祥の地といわれるようになった」と由来を説明。続いて、酒折連歌賞が始まった年からの応募数の推移、31,251句の応募があった前回の性別・年代別・都道府県別などの応募状況をパワーポイントで詳しく説明した。次に今回の「問いの片歌」を発表、選考委員、募集概要発表を行った。
◆第十八回酒折連歌賞「問いの片歌」 |
1. 猫がきておいてけぼりの時をうずめる |
2. 聴いてみよう姿勢正して三月の雨 |
3. 満ちてゆく月のかたちに寄せる想いは |
4. ありがとうたったひとことメールの返信 |
5. 駅に立つ心の声を確かめながら |
問いの片歌は5句、幅広い年齢層が応募できることを考慮し、各選考委員が持ち寄った数句を熟考を重ね選出した。選考委員は昨年同様、俳人・現代俳句協会特別顧問の宇多喜代子さん、歌人・歌誌「りとむ」発行人の三枝昂之さん、歌人・今野寿美さん、俳人で俳誌「郭公」主宰・井上康明さん、歌人・もりまりこさん、作家・辻村深月さんの6人。応募は上記の問いの片歌5句すべてに何句でも可能。応募期間は、4月1日より9月30日まで。表彰は、一般部門に大賞・文部科学大臣賞1句、山梨県知事賞1句、山梨県教育委員会教育長賞1句、甲府市長賞1句、入選10句、優秀賞12句、優良賞54句、後援各団体賞に山梨日日新聞社賞、読売新聞社賞、朝日新聞社賞、産経新聞社賞、毎日新聞社賞、山梨新報社賞、山梨放送賞、テレビ山梨賞が贈られ、将来楽しみな才能を見出すことを目的に、小・中・高校生の作品を対象に設置したアルテア部門は、大賞・文部科学大臣賞1句、佳作19句、後援各団体賞に山梨日日新聞社賞、読売新聞社賞、朝日新聞社賞、産経新聞社賞、毎日新聞社賞、山梨新報社賞、山梨放送賞、テレビ山梨賞が贈られる。なお、第十八回酒折連歌賞からは一般及びアルテア部門の大賞には、さらに受賞者の名前を刻して、栄誉を長く称える大賞杯(カップ)を設ける。結果発表は、平成29年2月1日に酒折連歌賞ホームページで公表すると説明した。
最後に廣瀬孝嘉実行委員長は「酒折連歌の特徴は、一方的に主張するのではなくて、相手を受け止めたうえで言葉選びをする。酒折連歌の持つ、コミュニケーション力というのは、現代人に必要なものだと思います。本県発祥の貴重な文化として、酒折連歌の裾野がさらに広がっていくことを願っています」と話した。発表後に報道各社との質疑応答が行われ、さらに囲み取材が続いた。
文(K.F)カメラ(平川大雪) 2016.3.30
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