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やまなし学研究2016 開講
~一つのテーマを深く掘り下げる7回講座~
~前期コース「日本の近代化と甲州財閥の興亡」~

山梨学院生涯学習センターは、4月27日、「やまなし学研究2016」第1回講座を開講した。やまなし学研究は、前期コースと9月開講の後期コースがあり、テーマに関心があり、積極的に参加できることを条件に受講者を募っている。この講座は毎回好評で講義室が満席になる盛況ぶりを呈している。今年度の前期コースは、日本の近代史に名を刻む、山梨が生んだ実業家を学ぶ「日本の近代化と甲州財閥の興亡」、後期コースは首都圏に近く富士山を訪れる外国人観光客が大幅に増える山梨県の観光について考える「観光立県の行方2016」が9月から予定されている。今回も昨年から試みられた講義方式で、全講座を一人の講師がテーマについて解説するスタイルで行われ、深くテーマを掘り下げた講座を展開する。第1回目は、甲州財閥の研究者と知られる山梨大学名誉教授の齋藤康彦氏が江戸時代後期・明治初期の実業家「甲州屋忠右衛門―甲州財閥の魁(さきがけ)―」と題したテーマで講師を務めた。会場の山梨学院クリスタルタワー生涯学習センター講義室は今回も満席になる盛況ぶりで、86人の参加者は熱心に話しに聞き入った。講義後半コーディネーターを努めた河野誠哉経営情報学部教授が参加者に意見を求め、質疑応答が行われた。

山梨学院生涯学習センターは、本学が持つさまざまな『教育・学習資源』を地域に開放し、地域の人々との柔軟な協働を通して、現代社会の要請に応えうる多様な生涯学習事業を年間を通じて展開している。「やまなし学研究」は、山梨の文化・社会・風土・歴史など多様な観点から課題や今後の可能性を検討する講座。講座は、本学学生が総合基礎教育課目として履修することが可能で、一般社会人と同じ講義室でともに学ぶユニークな地域学研究。4月からの前期コースと9月からの後期コースに分け、ともに受講生を募集する形で行われる。今年度の前期コースは「日本の近代化と甲州財閥の興亡」が研究テーマ。4月27日より7月20日までの7回講座。山梨学院クリスタルタワー6階生涯学習センター講義室で行われる。

開講にあたって永井健夫生涯学習センター長は「やまなし学は2004年度から始め、本年度で13年目の開催となります。前期コースは昨年度から始め、講師が一人で7回全て講義し、一つのテーマを深く掘り下げるスタイルで、大変好評だったこともあり、今年も同じ形で詳しく学べる機会を作りました」と挨拶した。前期コースの講師は、甲州財閥の研究者と知られる山梨大学名誉教授の齋藤康彦氏があたり、日本の近代史に名を刻んだ甲州財閥の人たちの興亡を7回にわたり解説する。第1回目は「甲州屋忠右衛門―甲州財閥の魁―」のテーマで行われた。齋藤康彦氏は「現、笛吹市石和出身で甲州財閥の先駆けになった甲州屋忠右衛門は、横浜で甲州屋を開業、甲州物産を販売し事業を成功させた。日本最初の外国との生糸貿易で財を成し、蚕種の投機は世界情勢の悪化で没落という波乱の人生を送ったが、彼の残した業績は大きく、次の若尾逸平や原富太郎、雨宮敬次郎など甲州財閥といわれる人たちに影響を与え、受け継がれていった」と解説した。講義室を埋めた81人の一般参加者と5人の本学学生が熱心に耳を傾けていた。講義後半では河野誠哉経営情報学部教授がコーディネーターとなり、参加者との質疑応答がなされた。最後に河野教授は「今日の話は甲州財閥の話しとともに横浜が舞台になっている話で、横浜出身の齋藤先生が、その辺りを調べ歩いたことは、先生の自分史の話と私は受け止めた」と感想を述べた。

講義を聴いた70歳台の男性は「この『やまなし学研究』は、ほとんど受講しています。山梨の歴史というのはいろいろな人たちの活躍によって今の山梨があることをすごく感じる。今日の甲州財閥独特の特色があったり、それが今の山梨県に投影されているという歴史の流れというのはすごく興味深い。こういう講座は大好きですね」と話した。また、受講した本学の名取優介さん(法学部政治行政学科3年)は「最初は知らない言葉が多く、理解することが大変でしたけど、山梨県のことなので知らないと困る訳ではないですが、自分自身山梨県人として知るべきだと思いまして、回を重ねることで繋ぎ合わせて整理し、他の人にも伝えることができるように成れたら、この講義を受けた意義になるかと思いました」と語った。

◆前期コース:日本の近代化と甲州財閥の興亡
講師:齋藤康彦(山梨大学名誉教授)

  日程(毎水曜日) テーマ
第1回 4月27日 甲州屋忠右衛門 -甲州財閥の魁(さきがけ)-
第2回 5月11日 小野金六  -新規事業への挑戦-
第3回 5月25日 雨宮敬次郎 -投機界の魔王の先見性-
第4回 6月 8日 若尾逸平  -「乗り物」と「灯り」-
第5回 6月22日 根津嘉一郎 -企業再建の経営哲学-
第6回 7月 6日 小林一三  -文化生活の創造-
第7回 7月20日 若尾璋八と早川徳次 -甲州財閥の凋落-


後期コースは、「『観光立県』の行方2016」のテーマで9月21日から12月14日まで7回の講座(個別の論題と講師は未定)を予定している。申し込みは、山梨学院生涯学習センターまで9月1日より電話又はWEBで行う予定にしている。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.4.28
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