平成28年度東日本学生レスリングリーグ大会2日目
~1位-4位順位決定リーグで日体大、日大を撃破~
~采配が的中。4年連続7度目の優勝が濃厚に!~
学生レスリング界最高峰の大学対抗団体戦「平成28年度東京都知事杯東日本学生レスリングリーグ戦」が5月12日、東京・駒沢体育館で昨日の予選リーグから順位を決める決定リーグ戦が始まった。山梨学院大の予選リーグ戦は、国際武道大を7-0、東洋大を7-0、明治大に7-0で3戦を共に大差で破り、Aグループ1位で順位決定リーグ戦に進んだ。この日、Dグループ1位の日体大、Cグループ1位の日大と対戦。両校とも優勝経験ある伝統校で警戒心を強め試合に臨んだ。1戦目は、連続優勝18回を誇る日体大との対戦。山学大は卒業した高橋侑希の後を担う小柳和也(3年)が12-10の僅差を守り先陣を切って流れを作ると、1勝1敗の後、65kg級乙黒圭祐(2年)、70kg級木下貴輪(3年)、藤波勇飛(2年)の3人がフォール、テクニカルフォール勝ちで4勝1敗にし、勝敗を決定した。最後は、ボルチン・オレッグ(3年)が抜群の安定感で締め、5勝2敗でまずは1勝。2戦目は、日大との対戦、この試合も57kg級で流れを作ると65・70・74kg級で3連勝し、日体大同様、ここで勝敗は喫し、5勝2敗で2試合に勝利。明日13日、Bグループ1位の早稲田大と対戦するが、早稲田大が決定リーグで1勝1敗になったため山梨学院の4連覇7度目の優勝が濃厚になった。
今年も1位~4位決定リーグは接戦が予想され、予断が許されない混戦といわれたが、日体大戦前に小幡邦彦コーチは、オーダー決定に悩んでいた。互いに戦略的にオーダーを変えてくる頭脳合戦も勝敗を決める。結局、小幡コーチが選んだのは、正攻法。日体大は強豪で侮れないが山学大がオーダー通り順当にいけば5勝2敗と予想。終わってみれば2試合とも選手采配が的中した。
順位決定リーグ1戦目は、Dグループ1位の日体大。連続18回優勝を誇る名門校で4年ぶりの優勝を狙う。先陣の57㎏級小柳和也(3年 韮崎工高)に勝負の行方を託した。軽量級特徴の低い姿勢からの速い攻防で主導権争いを展開。前半は2ポイント先行を許すも後半序盤、相手が仕掛けた攻撃を返し大きな4ポイントを奪取、逆転。その後はポイントを取り合い、12-11で逃げ切り貴重な勝利をもたらし山梨学院チームを勢い付かせた。続く61㎏級松宮大樹(3年 霞ヶ浦高)は、57kg級でリオ五輪出場を決めている日体大・樋口黎に敗退。続く65kg級乙黒圭祐(2年 帝京高)は素早い足へのタックルからポイントを重ね、最後は、相手をフォールでねじ伏せた。続く70kg級木下貴輪(3年 鹿屋中央高)は本来の階級で出場。余裕の試合運びでテクニカルフォール勝ち。74kg級には、予選リーグで1階級上げての出場だった藤波勇飛(2年 いなべ総合高)はさらに1階級上げての出場となった。帰国したばかりの大会だが、この試合では疲れを微塵も感じさせない動きで、テクニカルフォールで勝利。この時点で4勝1敗となり、勝負を決めた。86kg級本村匠(4年 浦添高)は敗れたが、最後の125kg級のボルチン・オレッグ(4年 カザフスタン・アスタナ高)は、一方的な試合で僅か1分余りで相手を退け5勝2敗となり、小幡コーチの目論見通りの展開となった。
◆順位決定リーグ1戦目《山梨学院大VS日本体育大 5-2で勝利》 フォール1、テクニカルフォール3、優勢1 |
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57㎏ | 61㎏ | 65㎏ | 70㎏ | 74㎏ | 86㎏ | 125㎏ | |
山学大 | 小柳 | 松宮 | 乙黒 | 木下 | 藤波 | 本村 | オレッグ |
○ | ● | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | |
日体大 | 長谷川 | 樋口 | 上野 | 島袋 | 屋比久 | 松坂 | 奈良 |
2戦目は、決定リーグ戦で早稲田大に敗れた日大との対戦。両チームとも軽量級の出来が注目された。57㎏級坂本京平(2年 高岡向陵高)は、第1ピリオド相手とのスピードある攻防を展開、坂本が優勢に試合を進めた。後半もポイントを重ね10-5で日体大戦と同様、先制し優位に立った。61㎏級に階級を上げた小柳は敗れたが、65㎏級乙黒圭祐が素早い足へのタックルからポイントを奪い、後半も主導権を握り、最後はフォールに持ち込み勝利した。続く藤波勇飛は日体大戦では74kg級に2階級上げて戦ったが、再び70㎏級に階級を下げ臨んだ対戦は、ここでも切れのいい動きで相手をまったく寄せ付けず僅か1分38秒でテクニカルフォール勝ち。74kg級は70㎏級からひとつ階級を上げた木下貴輪が貫禄さえ漂う戦いぶりを見せ、第1ピリオドでフォール勝ちを決め日大戦での勝利をものにした。この試合も5勝2敗で決定リーグ2戦2勝とし、2試合とも中量級3人の磐石な活躍で確実にポイントを獲得勝利に貢献した。
◆順位決定リーグ2戦目 《山梨学院大VS日本大 5-2で勝利》 フォール2、テクニカルフォール2、優勢1 |
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57㎏ | 61㎏ | 65㎏ | 70㎏ | 74㎏ | 86㎏ | 125㎏ | |
山学大 | 坂本 | 松宮 | 乙黒 | 藤波 | 木下 | 本村 | オレッグ |
○ | ● | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | |
日大 | 矢後 | 前田 | 紺野 | 川原 | 沢谷 | 白井 | 石黒 |
決定リーグを2戦2勝で終え、小幡邦彦コーチは「日体大戦が一つ勝負だと思い、57kg級の小柳がポイントを握ると思っていたところを、向こうのポイントゲッターから接戦で取ってくれたので、そこでうちの流れになってそのまま行った感じでした。やはり団体戦の難しさを本人たちも分かったと思いますし、軽量級の大事さというのも分かったと思うので、明日、早稲田と後、一戦なんですけど、どう転ぶか分からないラスト一日なので、しっかり全勝で4連覇できるよう、明日も集中して行きたいと思います」と気を引き締めていた。今日の決定リーグでは出場機会がなかったが、主将としてチームをまとめてきた初見智徳主将は「今、チームはすごくいい調子で来ているので、明日もこのまましっかり後1回戦えば優勝狙えると思うので、もう1回集中してやりたいです」 と意気込みを語った。
順位決定リーグ1日目は、山梨学院大が唯一2勝を上げ、早稲田大、日体大が1勝1敗、日大2敗で続いている。明日の最終戦で早稲田大を破れば3戦全勝で優勝が確定する。もし、敗れても勝ち数で3つ早稲田大を上回っており、優勝の可能性が非常に高くなった。山学大創立70周年に花を添える4連覇7度目の優勝が見えてきた。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.5.12