東日本学生レスリングリーグ戦最終日
~早大に1敗を喫するも勝ち数で上回り優勝~
~山学大創立70周年に花を添える4連覇達成~
学生レスリング界最高峰の大学対抗団体戦「平成27年度東京都知事杯東日本学生レスリングリーグ戦」は、3日間の最終日5月13日、東京・駒沢体育館で決定リーグ最終戦が行われた。Aグループ1位の山梨学院大は昨日、Dグループ1位日体大、Cグループ1位の日大を退け、2連勝で最終日を迎えた。最終戦の対戦相手はBグループ1位早稲田大。早大は昨日の決定リーグで日体大に逆転負けを喫し、1勝1敗になった。唯一2勝と勝ち星総数でも優位に先行している山梨学院大の優勝は濃厚になり、早大の優勝は5勝2敗以上で勝つことが条件となる。試合は、先勝を期待された57㎏級の小柳和也(3年)が前半のもたつきを、後半追い上げたが敗退。61kg級の松宮大樹(3年)が起死回生のフォールで貴重な勝利をもたらした。65kg級の乙黒圭祐(2年)、65㎏70㎏級・木下貴輪(3年)が続けて敗れ1勝3敗になった。完全優勝を狙う山梨学院は、残りの3階級に望みを託した。74kg級の藤波勇飛(2年)は切れが戻った動きで相手を圧倒2勝3敗にするも86kg級の本村匠(4年)が敗れ、勝利数での優勝に懸けた。守護神ボルチン・オレッグが相手を圧倒したが、3勝4敗で早大に敗れた。隣のマットで先に試合が終了していた日体大が6勝1敗で日大に勝ったため、山梨学院、早大、日体大の3校が決定リーグ2勝1敗の同率になった。規定による勝利数の結果、山梨学院が13勝8敗、日体大が早大を勝ち数で上回り12勝9敗、早大は11勝10敗。山梨学院が1勝の差で4連覇通算7度目の栄冠を手にした。完全優勝にはならなかったが、山梨学院にとって輝かしい創立70周年に花を添える優勝となった。
3日間各校の代表が母校の名誉と誇りをかけ熱い戦いが繰り広げられてきた東日本学生レスリング団体対抗戦。最終日最終戦は、Aグループ1位の山梨学院大とBグループ1位の早稲田大、Cグループ1位の日大とDグループ日体大が対戦した。昨日の決定リーグ戦でDグループ1位の日体大、Cグループ1位の日大を下している山梨学院は唯一2勝。早稲田大と日体大が1勝1敗で続いており、最終戦の早稲田大に勝利すれば完全優勝を果たすが、敗れた場合にも早稲田大が5勝2敗以上で勝利しなければ3勝の差をつけている山梨学院の優勝となる。昨日、山梨学院に敗退した日体大は早大に勝利し、日大との試合に7勝0敗になった場合、勝ち数により僅かだが優勝の可能性が残されている。いずれにしても優位な立場は変わらないが、山梨学院メンバーは緊張感を持って試合に臨んだ。
小幡コーチは試合前、「藤波、オレッグの勝利は間違いない。前の4人がポイントになる」と話していた。試合は、まずは57㎏級小柳和也(3年 韮崎工高)に託した。先制するも前半終盤にあっという間に10ポイントを奪われ第1ピリオド2-10で折り返す。第2ピリオドに入り、必死に反撃を試み7ポイントを返すが届かず9-12で敗退。この試合、優勝がかかる試合のため、両校も微妙な判定にチャレンジ(判定不服)を申請、審議が長引きこの階級だけで約30分を費やした。続いて61㎏級松宮大樹(3年 霞ヶ浦高)は「コーチには勝てない相手ではないから焦らずに自分のペースで行けと言われました。自分が負けたら流れが変わるから、絶対勝つという気持ちで頑張りました」。第1ピリオドは、互いに決め手がないまま0-1で終了。第2ピリオド入り松宮は果敢な攻めに転じ、1分48秒にフォールに持ち込み貴重な白星を挙げた。65㎏級の乙黒圭祐(2年 帝京高)は攻めを仕掛けるが、逆にカウンターを返され敗退した。70㎏級の木下貴輪(3年 鹿屋中央高)の対戦相手は、昨年の天皇杯全日本選手権王者の多胡島伸佳(4年)。木下は積極的攻撃するが巧みに交わされ、要所でポイントを奪われ敗れた。ここまで1勝3敗と残り2敗すると優勝が消滅する。昨日までは予期しない展開に追い詰められた。オリンピック世界最終予選大会から帰国した直後の74kg級藤波勇飛(2年 いなべ総合高)は、試合ごとに持ち味の技の切れとスピードで圧倒、今大会負けなしの5勝目でテクニカルフォール勝ち。続く86㎏級本村匠(4年 浦添工)は、早大のスーパールーキー山崎弥十朗(1年)に敗れた。早大の優勝を阻止したのは守護神125㎏級・ボルチン・オレッグ(3年 カザフスタン・アスタナ高)が開始早々から怒涛の進撃。僅か45秒で相手を粉砕。3勝目をもたらしたがこの対戦は3勝4敗で敗れた。日体大を含め三つ巴になったが、早大は山梨学院に勝ったものの2勝届かず、日体大は日大に6勝1敗で勝ったが1勝届かず山梨学院の4連覇7度目の優勝が決まった。山梨学院大の創立70周年に花を添える記念の優勝となった。
この大会でも5勝負けなしと大活躍したボルチン・オレッグ選手は「1年から4年まで優勝できたからうれしいです。皆で厳しい練習してきたのでこの優勝は気持ちいい」と素直に喜びを表した。
◆順位決定リーグ3戦目《山梨学院大VS早稲田大 3-4で負け》 フォール1、テクニカルフォール2、 |
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57㎏ | 61㎏ | 65㎏ | 70㎏ | 74㎏ | 86㎏ | 125㎏ | |
山学大 | 小柳 | 松宮 | 乙黒 | 木下 | 藤波 | 本村 | オレッグ |
● | ○ | ● | ● | ○ | ● | ○ | |
早稲田大 | 吉村 | 伊藤 | 米澤 | 多胡島 | 伊藤 | 山崎 | 松本 |
1位~4位決定リーグ戦の結果は、1位・山梨学院大2勝1敗(13勝8敗)、2位・日本体育大2勝1敗(12勝9敗)、3位・早稲田大2勝1敗(11勝10敗)、4位・日本大3敗(6勝15敗)となった。
試合後、小幡邦彦コーチは「松宮が頑張ってくれてどうにか4連覇できたことはうれしいですが、完全優勝ではないのは残念です。団体戦はそんなに甘くないですし、負けたことが薬になるといいです。オーダーを悩む時点でまだ隙があるということなので、どこが来てもしっかりとした正メンバーで勝てるぐらいのチームではないと本当のチャンピオンと言えないので、しっかり鍛え直して次の大会に向け、仕切り直したい」と厳しい顔で話した。オリンピック世界最終予選大会から帰国直後の過密スケジュールの中で優勝に貢献した藤波勇飛選手は「今年は他の大学も新戦力が強いので、そういう大学は打倒山梨学院で来ているので簡単な戦いではなかったですけど、今は優勝できてほっとしています」と喜びを語り、この大会5勝無敗については「国内で負けているようでは、世界では通用しないので、そこは一応オリンピック選考に行った代表選手としてのプライドで乗り切りました」と話した。チームを牽引した初見智徳主将は「本当だったら4年生とかキャプテンの自分が頑張らなければいけないのですけれども、後輩任せになってしまって、本当に感謝しかないです。まだ、メンバーは残るので来年も再来年も連覇できるようにしっかり鍛えていければと思います」と話した。
表彰式では初見智徳主将、ボルチン・オレッグ、本村匠、怪我でリハビリ中の吉川裕介の4人の4年生に表彰状、優勝カップなどが授与された。最優秀選手賞は初見智徳主将が。最優秀監督賞に高田裕司監督が選ばれた。また、1部の優勝校に贈られる東京都知事杯が山梨学院大に贈られた。2階席の観客席で大声援を送り続けてきた部員もコートに降り、表彰式に参加し、記念写真に納まった。山梨学院大の次の目標は、昨年3年ぶりに奪還した全日本大学選手権2連覇。さらに新しい目標に向けてスタートした。
文(K.F)カメラ(平川大雪)2016.5.13