県税理士会と租税教育推進協定締結
~大学と税理士会との協定締結は県下初~
~租税教育に携わる人材の育成を目指す~
山梨学院大学と東京地方税理士会山梨県会は5月12日、山梨学院広報スタジオで「租税教育の推進および充実に関する提携協定」を締結した。この協定は、租税教育の推進および租税教育の充実に寄与することを目的に、山梨県租税教育推進協議会の協力のもと、大学と税理士会が締結。全国では、平成23年度の税制改正大綱において「租税教育の充実」が初めて閣議決定され、以降、国税庁・総務省・文部科学省が租税教育の充実に向けて継続的に取り組んでいる。山梨県内においては、県(教育庁)や税務署、税理士会などで組織する山梨県租税教育推進協議会が中心となり、教育現場などで租税教育を行っている。大学と税理士会との協定は県内初で、今年度は山学大現代ビジネス学部の太郎良留美准教授の演習科目において、租税の歴史や国内法制、諸外国の事例などについて、討議・研究し、年末には学生による小中学生への「租税教室」の実施を予定しており、租税教育に携わる人材の育成を目指している。
租税教育とは、次代を担う子どもたちに対し、租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として税金を納め、その使い道に関心をもってもらうことなどを目的に実施され、「租税教育の充実」の閣議決定以降、国税庁・総務省・文部科学省がさらに積極的に推進している。全国の動きでは、日本税理士会連合会が、平成25年度から、これまで実施していた経済学部や商学部等での寄附講座を、将来の租税教育を担えるよう、教員養成を目的とした教育大学でも開設。また、各県の税理士会と大学とが協定を結び、県単位でも租税教育に携わる人材育成が進められている。山梨県内では、県(教育庁)や税務署、税理士会などで組織する山梨県租税教育推進協議会が中心となり、教育現場などで租税教室や作文コンクールなど租税教育の環境整備を行っている。県内初となる大学と税理士会との協定は山学大の古屋忠彦学長と東京地方税理士会山梨県会の三神治彦会長が協定書に署名し締結。連携・協力の内容としては講師派遣や専門的知識及び情報の提供、租税教育充実のための環境整備及び支援などに関することが挙げられている。
山学大で租税教育プログラムを中心となって取り組む太郎良留美准教授は経緯説明の中で「このプログラムを検討・実施するにあたり、既に取り組んでいる愛知教育大学の授業などを見学し、税務署や税理士会にご助言などを頂きながら構想を詰め、本日の締結式を迎えるに至りました。本学での取り組みが今後の租税教育の推進及び充実の一翼を担えるよう取り組んでまいります」と抱負を語った。
協定締結後の挨拶で山梨学院大学の古屋忠彦学長は「今回は現代ビジネス学部を中心に実施いたしますが、大学院の社会科学研究科にも税理士を目指して勉強している学生もおりますので、今回の提携を機に、これまでのカリキュラムでは不十分であった部分を再検証し、税理士会の力を借り、手を携えて成果をあげていきたいと思います。せっかくの機会を頂きましたので、この提携を有効に活かして、単一の税理士会と大学との提携のモデルになれるような成果があげられるよう頑張りたいと思います」と述べ、東京地方税理士会山梨県会の三神治彦会長は「租税制度の基本は納税者自らが計算して税額を申告する申告納税制度です。そのためには、納税者が租税に対して正しい知識と理解があることが前提になります。税理士会では小中学生から社会人までバランスの取れた租税教育体系を構築することに協力してきました。今後、今回の協定を通して、大学の租税教育の取り組みに少しでも貢献していきたいと思います」と協定の意義を語った。また協定を支援する山梨県租税教育推進協議会の岡野淳一副会長・甲府税務署長は「山梨県租税教育推進協議会は、平成23年度の税制改正大綱以前の昭和56年2月に設立され、山梨県内の教育機関と地方税の税務当局、税理士会の関係機関が協力し、教育現場において租税教育の環境整備を行っています。本日の提携協定を受けて実施されるプログラムに対し、協議会としても租税教育を推進していく立場として全力で支援させて頂きたいと思います」と述べた。
今年度は太郎良准教授の3・4年生を対象とした演習科目において「租税教育プログラム」を実施。税理士や税務署職員などが講師となり、租税の歴史や国内法制、財政制度、諸外国の事例などについて討議・研究を行い、12月には学生による小中学生を対象とした「租税教室」の実施を予定しており、租税教育に携わる人材の育成を目指している。
文(Y.Y)、写真提供(入試センター)2016.5.16