山梨学院パブリシティセンター

HOME

山梨学院パブリシティセンターニュースファイルイメージ画像

平成28年度山梨学院小「スポーツフェスティバル」
~今年のテーマは「戦国」。IBの理念を取り入れる~
~子どもたちが作り上げた独自のプロジェクト~

山梨学院小学校の一大行事「スポーツフェスティバル」が5月28日、古屋記念堂で行われた。準備に2週間の期間をかけて行うスポーツプロジェクトの集大成として行われた。子どもたちが企画した1つのテーマを事前に学習し“走る”“蹴る”“跳ぶ”“投げる”の運動要素を取り入れたオリジナルな運動競技が繰り広げられた。山梨学院小では、さまざまなプロジェクトを実施しているが、秋に行われる「オクトーバープロジェクト」、冬の「アカデミックプロジェクト」とともに3大プロジェクトと呼ばれ、通常の授業とは別に時間を設け、学年の壁を取り払い一つのテーマを協同で追求していく山梨学院小独自の課題探求型学習。「スポーツプロジェクト」は毎年テーマを変え、「大航海時代」、「古代文明」、「太陽系」、「宝石」、「地球」、「Discovery 発見」など子どもたちの興味・関心に基づき決められる。今年は「戦国SENGOKU」が採用され、国際バカロレア(IB)の教育理念を取り入れ、企画・立案・運営を全て子どもたちが仲間と協同して作り上げた。今年は、赤チーム「気炎」と黒チーム「疾風」の2チームに分かれ、戦国時代をイメージした競技を「スポーツフェスティバル」で総合成績を競った。

今年の山梨学院小学校の「スポーツプロジェクト」は、幼稚園とともに国際バカロレアPYP候補校認定されたことを受けて、国際バカロレア(IB)の理念に基づく新たな教育カリキュラムを取り入れ、その一つ「探求する人」を実践する場として取り組んだ。IBの学習者像には「探求する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」「挑戦する人」など10項目が設定されている。山梨学院小の今回の「スポーツプロジェクト」にはその要素がふんだんに含まれている。

■今年のプロジェクトテーマは「戦国 SENGOKU」

今年度のテーマは「戦国 SENGOKU」。全校生徒が2チームに分かれて競うチーム名は子どもたちがウインタープロジェクトの学習の中で学んだ戦国時代からインスピレーションを得て決定した。各チームが競技に臨む気構えを赤チームは「気炎(気炎万丈)他を圧倒するほどの意気込みが盛んなこと」と黒チーム「疾風(疾風迅雷)行動が極めて素早く激しいこと」と言葉に込めた。2週間に及ぶ「スポーツプロジェクト」通して、時代を学び、Tシャツのデザインや屏風に見立てた[壁画]製作。また、競技ルールや練習方法も全て子どもたちが作り上げた。ナレーションや音楽(BGM)、効果音なども子どもたち自らが考えた夢の「スポーツフェスティバル」。

「スポーツフェスティバル」前々日のリハーサル時に話を聞いた本間達教児童会長(6年)は「最初に自分たちだけでやると言われた時、すごく驚いて本当にできるのかなと思ったんですけど、やっていくうちに『俺たちできるんじゃないか』という感じで、すごく楽しくやってきました。僕たちがまず思っていたことは、生徒一人ひとりにも「スポフェス」を見るお客様方にも楽しんでいただきたいということです。ちゃんと皆の意見をしっかり取り入れ、一人がリーダーシップを取りつつ、上手い具合に一人ひとりの意見を合わせて話を進めてきました。自分たちでやったから、競技で1位取ることはうれしいし、1位を取れなくても皆で頑張ったという感じで手応えはものすごくありました。活動そのものを見ていただきたいんですけど、今までこんなことやったことも含めて、失敗とかも見てもらいたいなと思います」と力強く意気込みを語った。スポーツプロジェクトリーダーの吉井英博教諭は「初めは意見が噛み合わなかったり、自分の主張を通したり、なかなか進まなかった。少しずつ子ども同士で話し合いを進めていく過程である程度、私たちの方からもアドバイスすることで子どもたちの中に、それが潤滑油になったのか円滑に進むようになってきました。(国際バカロレア)IBの学習者像のコミュニケーターズ、コミュニケーションを取りながら自分たちでより良いものを作っていこうとする形がどんどん進んできている姿が日に日に強くなってきているのが見ていて頼もしいですし、面白かったです」とIBの教育の効果を挙げた。さらに「出来不出来ももちろん大事ですけど、それ以上に子どもたちの達成感が今までのプロジェクトと違うかなと感じています」と語った。 

■いよいよフェスティバルの始まり!

会場には2つのチームの5,6年生が2週間かけて描いた、戦国時代の勇壮で崇高な日本のイメージを屏風に見立てた「巨大壁画」が掲げられた。所々に幟も掲げられ戦国ムードを演出した。2階観客席は我が子の元気溌剌とした姿を見ようと保護者で満席になった。学年の壁を取り払った1チーム約200人が2チームに分かれ、自分たちの力で競技の準備から運営まで取り組んだプロジェクト「戦国」絵巻が始まる。

照明を落とした暗い会場にほら貝が鳴り響き、スポットライトに照らされた太鼓を打つ児童の勇壮な音に合わせ、全校生徒の勇ましい掛け声が会場に轟き渡る。児童の演出係が取り組んだ『戦国』の幕開けは、ステージ上のスクリーン、古屋記念堂の天井に映し出すプロジェクションマッピング映像、児童3人によるMCのナレーションと音楽は、見ている者を徐々に戦国時代に引き込んでいく心憎い演出。次第に全校生徒による“戦さ”をイメージした「戦国絵巻『百花繚乱』」の表現運動で、会場全体を使った演舞が一挙に群雄割拠の様相を彷彿させる。競技は14種目。バトンリレー「激突!!応仁の乱」、障害物競走『下克上の世に勝機あり』、駅伝「天王山!!山崎の合戦」、応援合戦「川中島の対峙~敵に塩をおくる~」、騎馬戦「決戦!!関ヶ原~天下分け目の戦い~」、リレー『天下泰平の世へ』など戦国乱世を駆け抜けた題材を競技に還元した。子どもたちは練習の成果を精一杯体現し、協同した仲間も声を嗄らし声援をした。2週間を通して活動したプロジェクトの集大成「スポーツフェスティバル」を心からの喜びと感動で満たされていた。

“自分たちで探求してごらん”。その言葉で始まった今年の「スポーツプロジェクト」。28の候補から児童学習推進係が最終候補を8種類選び、児童係会議で『戦国』のテーマが決まった。そこから子どもらが自ら企画・立案・運営に携ったオープニングや巨大屏風(壁画)の製作。競技のルールを考え、練習に取り組んだ2週間。そこには以前と違うプロジェクトの方法があった。IBの理念の10項目(学習像)を意識した取り組みを学校側はプロジェクトと融合した。子どもたちは与えられる学習から興味・関心を取り込みながら自らが探求する学習へと自然に移行する。山梨学院小学校が培ってきたプロジェクト教育システムは、さらに進化し新たな一歩を踏み出した。来年はどんな『スポーツフェスティバル』を見せてくれるのだろうか。

文(K.F) カメラ(藤原稔) 2016.5.28