全日本選抜レスリング選手権大会 2日目・最終日
~2日目・グレコ貝塚、最終日・フリー松宮ともに4位~
~OB鴨居正和が65kg級フリーで初優勝2階級制覇~
平成28年度「明治杯全日本選抜レスリング選手権大会」の最終日が5月29日に東京・代々木競技場第2体育館で行われた。28日の大会2日目は8種目行われ、山梨学院大からは、現役5人、OB2人が出場した。現役の130kg級グレコローマンの貝塚賢史(3年)が4位。86kg級フリースタイルの牛水瑞貴(2年)が2回戦、石澤誠悠(2年)が1回戦敗退。125㎏級フリーの宮内健太(3年)、冨栄雅秀(1年)は1回戦敗退した。OBでは86kg級フリーの奈良部嘉明が3位、125㎏級フリーの金澤勝利も3位となり表彰台に上った。最終日は7種目が行われた。山梨学院勢は、61㎏級フリーに乙黒圭祐(2年)と松宮大樹(3年)、65㎏級フリーに藤波勇飛(2年)と初見智徳(4年)がエントリーしたが、乙黒と藤波は減量失敗で出場できなかった。初見は決勝戦に残った元全日本王者に善戦したが1回戦敗退した。次に登場した松宮は、大きい個人戦に初出場のためか、緊張から1回戦に苦しみ僅差で勝ったものの次の準決勝では全く力を出せずTF(テクニカルフォール)負け。3位決定戦に回り表彰台を狙うも敗退、4位に終わった。OBの鴨居正和は、1回戦をTFで突破。2回戦を苦しんで勝ち上がり決勝戦では、残り20秒で逆転。この階級初優勝を果たした。
全日本選抜選手権は、昨年12月の天皇杯全日本選手権、本大会ベスト8位以内選手や国内有力大会の上位選手など資格大会の推薦を満たした者、強化委員会による推薦選手などが日本一を目指して争われる。この大会から2020年の東京五輪を目指す若手選手の飛躍が期待されている。今大会はリオ五輪日本代表選手男子4人、女子6人は出場していない
◆《5月28日 大会2日目》
大会初日の28日、山梨学院勢からは86㎏級フリースタイルに現役2人が出場。牛水瑞貴(2年 鹿児島・鹿屋中央高)と石澤誠悠(2年 茨城・霞ヶ浦高)同門同士の戦いになった。第1P(ピリオド)は3-2と牛水が僅かにリードして折り返す。第2P,組み合うが互いに決め手がないまま、残り1分牛水が体をコントロールし、さらにリードを広げた。石澤も1ポイントを返すがすぐに2ポイント追加され7-3で牛水に軍配が上がった。試合後、石澤誠悠選手は「やりずらかった。もっとじっくりと思ったんですけど。取れなかった」と言葉少なく話した。一方、牛水瑞貴選手は「緊張してしまった。手の内は分かっているので、どうやって戦うか考えたが、状況に応じて戦ったのがうまくいきました」と語った。2回戦に進み相手は世界選手権代表選手と対戦。開始早々にバックを取られ失点するとさらに体をコントロールされ、回転技で第1ピリオドTF(テクニカルフォール)負けを喫した。石水選手は「強かったです。相手は始まる前から威圧感があった。何も出来ないまま終わった」と実力の違いを認めた。125㎏級フリーの宮内健太(3年 山梨農林高)と冨栄雅秀(1年 茨城・霞ヶ浦高)はともに1回戦敗退。130kg級グレコローマンに出場した貝塚賢史(3年 茨城・霞ヶ浦高)の初戦は、拮抗した流れに逆転勝ちを収め準決勝に進んだ.対戦相手は天皇杯1位の実力者拓殖大・園田新。その名に違わず1分でTF負け、3位決定戦に回った。決定戦、は貝塚が警告を受け2ポイントを取られ第2Pに。攻め続ける貝塚だが、相手は岩のように重く動じず、結果は第1Pで失った2ポイントを返せず敗退。4位となった。貝塚賢史選手は「スタミナはあるので後半勝負に行こうと思ってやりました。相手は130を超えていて、自分は110しかないので体重増やして筋力を着けないとだめです」と課題を挙げた。他にOBの86㎏級フリーの奈良部嘉明(筑西消防本部)と125㎏級グレコローマンの金澤勝利(自衛隊)はともに準決勝で敗れるも3位決定戦に回り、2人揃って勝ち残り3位となった。
◆《5月29日 大会3日目最終日》
最終日に優勝を期待されていた61kg級フリースタイルの乙黒圭祐(2年 東京・帝京高)と65kg級フリーの藤波勇飛(2年 三重・いなべ総合学園高)の軽量級2人が減量に失敗し出場が出来ず、注目階級だっただけに悔やまれた。最終日、最初に登場したのは主将の65kg級フリーの初見智徳(4年 千葉・関宿高)。対戦は過去に全日本王者になったこともある実力者。昨年の全日本ではTFで負けている。初見は慎重に試合を進め第1P(ピリオド)1ポイント先制し折り返した。第2Pも序盤リードをしていたが、残り40秒相手に足を取られコントロールされ、続けて4ポイント奪われた。終盤攻め続けるも及ばず、1回戦で退いた。初見智徳選手は「後半までは良かったですが、最後攻めに行って、足を取られたときに勝負あったかなと思います。勝てた試合だったので悔いが残ります」と負けたが差が縮まっていることを裏付けた。次の松宮大樹(3年 茨城・霞ヶ浦高)は、インカレ3位の相手と対戦。開始早々、1ポイント先制されるも4ポイント返し逆転、相手も2ポイント取り、4-3で第2Pへ進んだ。最初にポイントを入れリードを広げたが、終盤反則と相手の猛攻で1ポイント差に縮められ、最後は死力を尽くして守り切り準決勝に進んだ。準決勝は初戦のダメージが残り、いいところがなくTF負けを喫した。松宮大樹選手は「1試合目でバテテしまいました。全然自分のレスリングができなかった。だめです」と肩で大きく息をした。3位決定戦に回った松宮は、準決勝とは違った動きを見せたものの第1Pで大技を浴び4ポイントを失うなど2-10で折り返した。ポイントを守ろうとする相手に2ポイント返したが攻め切れず4-10で敗れ、4位となった。OBの鴨居正和(自衛隊体育学校)は1回戦をTFで突破。2回戦を苦しんで勝ち上がり、決勝戦では1回戦で初見を破った選手を残り20秒で逆転し、この階級初優勝。61kg級から階級を上げ、2階級制覇を達成した。
試合後、小幡邦彦コーチは「松宮は、準決勝も3位決定戦も最初にポイントを取られ相手に余裕を持たせてしまった。差はそんなにはない。本人はこんなに大きな舞台は初めてなのでいい経験になったと思う。初見にしても松宮にしても高校時代成績を残せてなくても一生懸命真面目に練習に取り組んでいれば、チャンピオンに近づけるのだと、他の部員も分かったと思うので、いい見本になってくれました。収穫があった大会です」と結んだ。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.5.29