山梨学院酒折能2016
~第一部:狂言「寝音曲」、能「黒塚」などを公演~
~第二部:能楽師を囲んでのトークセッション~
山梨学院生涯学習センターは山梨学院創立70周年記念事業として、「山梨学院酒折能2016-観能と学びのひととき-」を6月18日、山梨学院メモリアルホールなどで実施した。山梨学院では、70周年記念事業として2014年から古典芸能研究会が「山梨学院酒折能プロジェクト」と題して、能の公演などを実施し、能の歴史や文化の発信を行っている。今回企画された公演は二部制で、第一部では、狂言や仕舞、能の公演が行われ、能公演では、シテ方喜多流の能楽師・佐藤寛泰さんが「黒塚」を公演。第二部では、当日公演を行った能楽師を囲んでのトークセッションが行われた。佐藤寛泰さん(シテ方喜多流)、佐藤陽さん(シテ方喜多流)、大倉慶乃助さん(大鼓方大倉流)が能の歴史や基本知識、当日の演目の解説などを行い、来場者は用意されたワインを楽しみながら、有意義で貴重な時間を過ごしていた。
学校法人山梨学院は、2016年6月3日に創立70周年を迎え、これまで新学部開設や学術研究プロジェクト、教育講演会などの様々な記念事業を実施している。このうち、山梨学院生涯学習センターでは記念事業として、「山梨学院酒折能2016-観能と学びのひととき-」と題し、能公演と能楽師によるトークセッションを実施した。主催者を代表し、山梨学院古典芸能研究会顧問の野村千佳子教授が「酒折能の始まりは、3年前の学生たちの企画に遡ります。能を学ぶサークル・古典芸能研究会に所属する学生たちが学生や地域の皆様に能を知ってもらい、身近に親しんで頂きたい、自分たちも体験したい、世界に能を発信したいという思いから体験型能楽教室を企画し、一昨年には本格的な能公演を実施しました。酒折能の名前には、連歌発祥の地として由緒ある地域に密着しながらも世界に発信していきたいという思いが込められています。本年6月3日に山梨学院は創立70周年を迎えました。今回は創立70周年記念事業として能を初めて見る方から能楽愛好者に至るまで楽しんで頂けるよう、体験型能楽教室の企画コンセプトを大事にしつつ、深い学びの場とするために、第二部では能楽師を囲んでのトークセッションとワインの夕べを企画しました。歴史あるこの地で、歴史ある能楽をどうぞご堪能ください」と挨拶し、酒折能2016は幕を開けた。
■第一部【酒折能】
メモリアルホールの入口前には、様々な能面が展示され、普段なかなか目にすることがない貴重な品に、来場者は興味深そうに見入っていた。ホール内の舞台には、目付柱と呼ばれる角柱、ワキ柱、シテ柱、笛柱の4本の柱が設置され、橋掛かりの前には一ノ松から三ノ松までが置かれ、能楽堂のような能舞台が演出された。はじめに、能や能舞台の基礎知識の解説をシテ方喜多流の能楽師・友枝真也さんが行った。その中で、公演最後に演じられる附祝言「高砂」の解説や実演を行い、来場者全員で「高砂」の謡に挑戦した。続いて公演に移り、狂言「寝音曲」をシテ(主演)三宅近成さん(和泉流三宅狂言会)、アド(主演以外の出演者)を三宅右矩さん(同)が上演し、仕舞「鵜之段」を佐藤章雄さん(シテ方喜多流)が上演した。休憩をはさみ、シテ方喜多流の能楽師・佐藤寛泰さんがシテを務める能「黒塚」が上演され、舞台では大鼓や小鼓、笛などの囃子が厳かに奏でられ、間近で繰り広げられる荘厳で迫力ある能の世界に来場者からは大きな拍手が送られていた。
■第二部【能楽師を囲んでのトークセッションとワインの夕べ】
第二部は会場をキャンパス内のStudent Lounge “Y”に移し、能楽師によるトークセッションが行われた。総合司会を野村千佳子教授、コーディネーターをフリーアナウンサーの平賀正友さんが務め、この日公演を行った佐藤寛泰さん、佐藤陽さん、大倉慶乃助さんが能の基本知識やこの日の公演内容の解説、能の歴史や能を取り巻く環境についてトークを行った。会場にはワインや軽食が用意され、新田正明さん(新田商店代表)が、用意されたワインの産地や特徴、ワインと料理の楽しみ方などについて解説を行った。参加者らは、ワインを楽しみながら能楽師の話に耳を傾け、普段は聞くことができない能の世界について驚嘆し、有意義で貴重な時間を過ごしていた。
文(Y.Y)、カメラ(藤原 稔)2016.6.18