世界を食から学ぶ
~山梨学院留学生から学ぶベトナム料理~
~参加者に郷土料理を手ほどき、笑顔で交流~
7月16日、甲府市ぴゅあ総合の調理実習室で「世界を食から学ぶ!第4弾~留学生から学ぶベトナム料理」の料理教室講座が行われた。この企画はNPO法人マンマメルカートが開いたもので今回が4回目となる。「料理を通じて世界を学ぶ」を趣旨に今まで、韓国料理、インド料理、タイ料理と料理研究家やプロの料理人を招いて料理教室講座を行い好評を博してきた。今回は一般の外国人から料理を通じて現地の事を学んだり、交流を図りたいとの主催者の希望があり、山梨学院大に留学中のベトナム人学生5人が講師として参加した。この日、料理したのはベトナム料理の一般的家庭料理「フォー」など3品。留学生の自己紹介の後、料理の作り方をひと通り実演を交えて説明。その後、参加者25人は7グループに分かれ調理に入った。留学生は各調理台を回り、細かい調理法や現地の事を話し、参加者から日本の事などを聞き、笑顔で交流した。調理を終えたベトナム料理を参加者全員で試食、所々で「美味しい、美味しいね」と口に運んでいた。次回は中国料理を予定している。
この日行われた料理講座は、4回目を数え「料理を通じて世界を学ぶ」を趣旨に韓国料理、インド料理、タイ料理の講座を行ってきた。今回は「留学生から学ぶベトナム料理」と名付けて山梨学院大のベトナム留学生5人を講師に料理を作りながら現地の文化や風習などの話を聞き交流を図ろうと企画したもの。留学生は自己紹介の後、3種類の料理作り方の実演を交えひと通り説明。作るのは米麺に鶏肉や野菜たっぷりのベトナム郷土料理「フォー」と炒めた細かく切ったえびと豚のひき肉をタピオカ粉で作った透明な皮で包んだベトナム風餃子「バイン・ボット・ロック」、コーンとココナッツミルクなどで作った冷たいデザート「コーンテェー」。参加者は7グループに分かれ、早速調理に入った。参加者の中には親子連れもおり、子どもたちも一生懸命親の手伝いをしていた。留学生は各グループを巡回し、参加者に料理の細かい手ほどきや、人懐こい笑顔で会話を楽しんでいた。料理が仕上がると皆で食事会。参加者は自分で調理したベトナム料理を食べ、所々で「美味しい、美味しいね」と食事を満喫していた。食事中には、留学生二人が民族衣装の「アオザイ」に着替え、日本語でベトナムの伝統や文化のことを説明した。
食の違いからそれぞれの国の歴史や文化に興味・関心を持って世界観を広げてもらおうと主催したNPO法人マンマメルカート代表の早川亜希子さんは、今回の企画を「今までの3回は、講師が料理研究家やプロの料理人だったので日本人の口に合うようにアレンジしていたんです。今回ベトナムの留学生たちにお願いしたのは、お国そのままの味、家庭の味を出したかったからです」と説明。今回、子どもの参加が初めてということについては、「料理教室は作って食べて終わりですが、この企画は、そこから世界を知ることができて将来を担う子どもたちが、今日はベトナムということで、今度ベトナムに行ってみようとかベトナム語を習ってみようとか国際力を育てたいという思いがあります。大人を含めて現地の文化に触れてもらい交流することも目的です」と話した。
同じテーブルで仲良く調理をしていた参加者の二人(左・萩原里佳さん 右・小笠原藍さん)に話を聞いた。萩原里佳さんは「先程見ていたら、切り方も日本と全然違うと感じましたし、国際交流の機会が余りないのですごく貴重な経験だなと思っています。日本語が上手なのでジェスチャーも含めながらいろいろ教えいただきました。今度また、こういう機会があったらぜひ参加したいです」と話した。小笠原藍さんは「楽しかったです。ベトナム料理は親しんだことがないので、お話を聞きながら一緒に料理できて楽しかったです。また今度ぜひ参加したいです」と声を揃えた。
指導した5人の留学生の内、短期留学生のファン・ホム・ヴァンさんは「今日、日本人の人たちにベトナムの料理を紹介できて本当にうれしかった。皆、ベトナムの料理やベトナムの文化に関心を持ってくれて感動しました。ここの二人の主婦はベトナムのことだけではなく日本の事も教えてくれいろいろ勉強になりました」と上手な日本語で話した。大学院研究生で今回のリーダーを務めるグェン・ティ・フォン・フックさんは「初めてのベトナム料理での交流会で、しっかり準備をしましたが、失敗したところも少しありましたけど楽しかった。皆も熱心に習っていただき、作ってもらいました。作りながらベトナムの奥さんと日本の奥さんについて、どんな感じで家庭料理を作るかなど話しました。私は山梨学院大学に留学するのは2回目で、いろいろなことを勉強しました。交流会とかイベントを行っていただいて、そこに参加して日本の文化を深く理解できました。また、時間があったら積極的に参加します。子どもたちはお母さんを一生懸命手伝っていて可愛いです」と笑顔で話した。
今回主催者から留学生など一般の人と料理を通じて現地の事を学びながら交流したいと相談を受けた山梨学院大学国際交流センター・廣島愛子課員は「山梨学院の留学生に今まで講師の方をお招きして浴衣を着る体験ですとか、天ぷらとか巻き寿司を作る体験とかは行ってきました。幼稚園や小学校に行って交流することもありましたが、こういう形で民間の方と関わるというのは、初めての試みです。留学生も日本に来てたくさんの人と触れ合いたいと言っていますし、特に子どもたちや一般の家庭に入りたいという思いがすごくあるので、方向性として今まで余り考えていなかったのですけど、今日この様子を見ているとすごく楽しそうなので、民間と特にマンマメルカートさんと初めてつながりができたので話を進めていきたいと思います」と今後の展開に期待した。
山梨学院の2015年12月31日現在のデータでは、留学生は大学・大学院・大学院研究生・iCLA・短期留学生含め、留学生総数は324人、受け入れ国数は22カ国となっている。次世代を担う学生にグローバルな教育を提供する山梨学院大は、国際事業の拡大、多様化における充実発展をさらに進め、留学生に対しては様々な支援体制を持って対応していく。今回の企画を機に一方的な支援だけではなく、さらに留学生の潜在的な希望を汲み上げたいと廣島国際交流センター課員は話す。この企画の次回は中国料理を予定している。最後に早川さんは「もっと留学生と触れ合ってもらいたいので、それで何か子どもたちの引き出しを開けることができたらと思います。次は中国と決まっているので山梨学院さんの留学生の方がやっていただけるならお願いしたいです」と留学生との交流に期待を寄せている。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.7.17