天皇杯サッカー山梨県予選決勝
~山学大ペガサス対山学大オリオンズの同門対決~
~オリオンズが接戦を制し4年ぶり2回目の優勝~
第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会山梨県予選決勝が7月31日、甲府市・山梨中銀スタジアムで行われた。決勝は山梨学院大ペガサス対山梨学院大オリオンズの同門対決。試合は序盤から両チーム拮抗し、一進一退の攻防が続く。前半15分を過ぎるとオリオンズが猛攻を仕掛け、試合の主導権を握り始める。両チーム無得点のまま前半を折り返すと、後半は交代選手の投入などで、ペガサスにも攻撃にリズムが生まれてくる。後半23分にはペガサスがペナルティエリアの外側の良い位置でFKを獲得。このFKをオリオンズDF陣が体を張って阻止。このワンプレーでオリオンズは勢いを取り戻し、両チーム激しい攻防が続き、後半アディショナルタイムに突入。このまま延長戦かと思われたが、 オリオンズDF山主康介が蹴ったFKが相手選手に当たり軌道が変わり、ボールはゴールマウスへ。この先制点が決勝点となり、試合終了。オリオンズが下克上でペガサスを下し、4年ぶり2回目の天皇杯切符を獲得した。
山梨学院大サッカー部は4つのカテゴリーに分かれ活動しており、トップチームからブレーブス、ペガサス、オリオンズ、ブラウンベアーズと愛称が付けられている。トップチームのブレーブスは、東京都大学サッカー連盟1部に所属し、関東リーグ昇格を目指し、リーグ戦(都リーグ)を戦っている。ペガサス以下は山梨県サッカー協会1種に登録され、ペガサスとオリオンズが県社会人リーグの最高峰のスーパーリーグ(SPL)に所属し、ブラウンベアーズは1部に所属している。天皇杯県予選には、ペガサス、オリオンズ、ブラウンベアーズの3チームが出場し、ペガサスとオリオンズが準決勝に進出。ペガサスは、準決勝で昨年の優勝チームでこれまで11回の天皇杯本戦出場を誇る韮崎アストロス フットボールクラブ(SPL)と対戦。ペガサスは前半40分に先制を許したものの、前半アディショナルタイムと後半35分に得点し2対1と逆転勝利し決勝に駒を進めた。一方のオリオンズは、1部に所属するMGトラベッソと準決勝で対戦し、4対1で勝利し決勝に進出した。ペガサスは3年ぶり2回目、オリオンズは4年ぶり2回目の天皇杯本戦出場を目指し、13時09分、猛暑の中、ペガサスのキックオフで試合は開始した。
≪天皇杯サッカー山梨県¥選決勝≫(7/31)於 山梨中銀スタジアム | ||
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● 山梨学院大ペガサス 0 | 前半 0-0 後半 0-1 |
1 山梨学院大オリオンズ ○ |
試合は序盤から両チームが拮抗。前半8分には、ペガサスがFKをキャプテンのDF加瀬将弘(4年・大成高)が頭で合わせるも惜しくもクロスバーに阻まれ、先制ならず。その後一進一退の攻防が続くが、前半15分を過ぎるとオリオンズが猛攻を仕掛け、試合はオリオンズペースに。しかしこれをペガサスDF陣が体を張って阻止し耐え忍び、両チーム無得点のまま前半を折り返す。前半のシュート数はペガサス3本に対し、オリオンズが9本と上回り、CKもペガサス1本に対してオリオンズ4本とゴールに対しての勢いでは、オリオンズが勝っていた。後半開始早々から、両チーム交代のカードを切り、個人技で勝るペガサスが両サイドのスペースを上手く使い、若干優位に試合を進める。前半と比較 し、オリオンズ陣内でのボール運びが増えていくが、オリオンズも懸命に食らいつく。後半23分にはペナルティエリアのライン付近からのFKをペガサスが獲得。ペガサスは大きなチャンスを手にしたものの、オリオンズは6枚の壁を築き、壁の中心にいたオリオンズキャプテンのDF小島佑太(4年・藤枝西高)がキッカーの動きを読み、一人だけジャンプをせず、このFKを阻止。このワンプレーで勢いを取り戻したオリオンズは、後半27分に素早いプレスからボールを奪うと、FW山下侑沙貴(2年・高松工芸高)が相手DFの裏に飛び出しシュートまで持ち込むが、ペガサスGK鳥越健太郎(2年・筑陽学園高)が左手一本でこれを阻む。その後も両チーム激しい攻防が続き、後半アディショナルタイムに突入。アディショナルタイムは4分。このまま延長戦かと思われた、後半45+2分、DF山主康介(2年・韮崎高)が蹴ったFKがペガサス選手に当たり軌道が変わり、ペガサスGK鳥越が反応できず、ボールはゴールマウスへ。この先制点が決勝点となり、試合終了。オリオンズが下克上でペガサスを下し、4年ぶり2回目の天皇杯切符を手中に収めた。
試合後、スタンドから試合を見守った山梨学院大サッカー部の塚田雄二監督は「お互い頑張ったけれども、オリオンズのチームとしての一体感が最後の粘り勝ちにつながったと思う。本戦では、今いるメンバーは初めて全国大会の舞台に立つので、もう一度技術の荒さやチーム戦術を磨き、1回戦、2回戦と勝ち進めるように準備をさせたいと思います」と語った。チームを指揮した武井雅之監督は「SPLのリーグ戦でペガサスに初戦は勝ったのですが、後期の第1節で負けて、選手たちは本当に悔しい思いをして、その悔しい思いを一人ひとりがぶつけたいという気持ちが勝ちにつながったと思います。ハーフタイムに副キャプテンの永野(博之)が「隣の選手をしっかり見て、周りには仲間がついているから踏ん張ろう」と声を掛けて、出られない選手の声を代弁してくれた。本戦では、苦しい試合が予想されるが、1戦1戦大事にして、一人ひとりを輝かせて、今後の将来に活かしてあげられるような試合にしたい。山梨勢がなかなか勝てない中で、まずは1勝、そしてJリーグチームに挑戦したいです」と力強く語った。怪我などの影響から後半途中からの出場となったオリオンズキャプテンの小島佑太選手は「ゲームに入る前の円陣でみんなで戦おうと声掛けをしました。ベンチでは、必ず先制してくれると信じて試合を見ていました。(途中出場にあたり)これだけ暑い中で、足がつるとか色々なアクシデントがあり、みんな疲れているので、俺がまとめるしかないという気持ちで臨みました。同じ大学なので、やりにくさはありましたが、全国では、ペガサスの思いも背負って、格上相手に、勝ちにこだわって戦いたいです」と述べた。決勝点を演出した山主康介選手は代表インタビューに「DF陣が頑張ってくれていたので、自分たちが絶対点を取ろうという気持ちでプレーしました。(点が入った瞬間は)嬉しかったです」と喜びを語り、本戦に向け「出れない選手も沢山いたので、みんなで切磋琢磨して、 次も勝てるように頑張りたいです」と語った。
第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会は8月27日に各地で開幕。山梨県代表の山梨学院大オリオンズは、1回戦を栃木県グリーンスタジアムで栃木県代表と17時00分キックオフで対戦する。
文(Y.Y)、カメラ(藤原 稔、平川大雪)2016.7.31