リオ五輪パブリックビューイング 第1弾
~“さくらジャパン”初戦インド戦に引き分け発進~
~鈴木聡美、女子100m平泳ぎ準決勝突破ならず~
8月5日(日本時間)リオデジャネイロ五輪の開会式が行われ17日間のスポーツの祭典が始まった。開会式で104番目に入場した日本選手団の旗手、陸上・十種競技右代啓祐選手の後ろに山梨学院大教授・高田裕司日本選手総監督の姿が見え、これからの山梨学院関係選手の活躍に思いが膨んだ。山梨学院関係では現役1人、卒業生9人、監督・コーチ・審判は4人計14人が派遣されている。山梨学院では今までの大会に山梨学院選手が出場のたびに大学キャンパス内クリスタルタワー7階の広報スタジオでパブリックビューイングが実施され今回も第一弾として、7日午後10時50分から現役の河村元美選手、OGの浅野祥代選手らが出場する女子ホッケー、8日深夜0時55分から鈴木聡美選手が出場する女子100mなどの競泳競技予選、午前9時55分からは同じく準決勝を応援するパブリックビューイングが行われた。まず女子ホッケーの予選リーグには、男女ホッケー部員ら約100人が詰めかけ熱い声援を送った。約140インチのマルチビジョンに河村元美選手らが映し出されると「ウォー」と歓声が沸き起こり、スタジオは応援ムード一色になった。インドとの初戦は、前半2点をリードしながら後半に2点を返され同点で引き分けた。競泳はホッケーの試合終了直後に行われ、水泳部員ら約40人が集結した。鈴木聡美選手が出場した女子100m平泳ぎ予選は午前1時50分から始まった。メガフォンを打ち鳴らす応援で会場は一体になり、熱気に包まれた。レースは前半から積極的に飛ばす鈴木選手の持ち味が生き、全体の13位で準決勝に進んだものの、午前10時25分からの準決勝では伸びのある泳ぎが見られず全体の12位に終わり、決勝進出はならなかった。
女子ホッケーは、リオ五輪では出場国12チームが2グループに分かれてリーグ戦を行い、各グループ2位までが準決勝、決勝とトーナメント方式で金メダルを懸けて争う。日本は、Bグループで世界ランキング10位。同2位のアルゼンチン、3位のオーストラリア、5位のイングランド、7位のアメリカ、13位のインドと戦う。日本は初出場だったアテネ五輪で8位、北京五輪は10位、ロンドン五輪は9位。4大会目のリオ五輪にメダルに挑む。
山梨学院関係では現役の河村元美選手とOG3人が今大会に出場する。ゴール前のポジショニングや得点能力に優れた河村元美選手。武器であるスピードとドリブルに磨きを懸け、大会2連続出場の三橋亜記選手、スピードと決定力を備え2014年日本リーグ得点王で初出場の中島史恵選手。素早い反応と冷静な判断で日本ゴールを守る守護神GK浅野祥代選手。山梨学院関係者の活躍が上位に進出の絶対条件になる。
◆女子ホッケー初戦 日本対インド
試合の模様は午後11時ごろから始まった。河村選手らが整列した様子が映し出されると、スタジオ内のホッケー部員から「ウォー」と歓声が沸き上がり、すでに応援モード一色に包まれた。第1クオーターはインドにボールを支配され押され気味だったが残り10秒PC(ペナルティコーナー)を得、これをしっかりと決め先制した。第2クオーターでは日本のボール支配率が高くなり、終盤山梨学院のOG中島史恵選手が見事なタッチシュートを決め2点目を奪った。この得点でスタジオのホッケー部員のボルテージは最高潮に達した。第3クオーターではインドに立て続けにPCを取られ同点に追いつかれ、第4クオーターもインドが再三日本陣営に攻め入るがGKの浅野祥代選手がナイスセーブでゴールを守った。残り時間が少なくなると、河村、三橋、中島選手らの連係プレーでインドサークル内に攻め込み、画面を見つめる部員が「上手い、すごい、惜しい」とため息がもれるほどのトッププレーで魅了するが決めきれず同点で試合終了した。
井澤美空主将は「勝ってもらいたかったです。日本ではすごいプレーを見ていたのですがオリンピックになるとそんなに上手くいかないのかなと感じました。オリンピックってすごいなと思いました。自分にはとても遠い世界ですが元美らには、本当に頑張って欲しいなと思いますね。最後の方は元美らしい執着心のあるプレーを見せてくれ、2点ぐらいゴール前で惜しい場面があり、らしさがしっかり出ているので次に繋げて欲しい」と話した。怪我で代表入りを見送られた狩野真美選手は「多分緊張しているなと見受けられました。山梨学院の卒業生が皆頑張っていて、2点目を取ったのが山学の選手だったのですごく自分も影響されました。やはり元美を見ていて、同じ舞台に立ちたかったなという気持ちもあるのですけど、でも立てなかった分こういう試合を見て学べる部分もあるので、怪我しないようにしっかりトレーニングして強くなっていきたいと思います」と次の東京を目指す。ジョン・シアン女子監督は「緊張気味のスタートで、第1クオーターインドの流れでゲームは進みましたが、その中で少ないチャンスをものにでき、日本の流れで来ているかと思った。第2クオーターも日本がボールを支配し内容もよかったが、日本の持ち味の走力が正直でていなかった。今のホッケーはどんどん選手を入れ替えながらやるので世界の現状は走り勝つことだけでは難しい。何よりも技術、点を取れないことには勝てないという印象はありました。中島のプレーは素晴らしい。河村も最後良くなり2点は入れられていました。負けと引き分けとは全然違う。日本は次勝てばいいんだというところで今日は浅野で負けなかった。フリーで2度止めたということは大きいですね」と試合を振り返った。
一方、8日深夜に始まった競泳競技女子100m平泳ぎに出場したOGの鈴木聡美選手は、今年4月の日本選手権でこの種目の派遣標準記録を突破する1分6秒72で2位となり、リオデジャネイロ五輪代表に選出された。2大会連続出場になった鈴木選手は前回ロンドン五輪に女子200m平泳ぎで銀、100m平泳ぎで銅、女子400mメドレーリレーで銅メダルを獲得している。同一大会で3つのメダル獲得は日本競泳女子史上初の快挙を成し遂げた。その後の調整がうまくいかず、若手の台頭もあり低迷していたが、4年間続けてきたスピード練習がようやく実を結び、選考レースで代表を勝ち取った。
◆女子100m平泳ぎ予選
8日午前1時50分から始まった女子100m平泳ぎにOGの鈴木聡美選手が最終6組に登場。パブリックビューイングが行われる広報スタジオに約40人の水泳部員が深夜にも関わらず集まり、メガフォンを両手に声援を送った。レースは前半から積極的に飛ばした鈴木選手は、後半少し伸びを欠いたが、狙っていた6秒台を記録、同組5位、全体の13位で準決勝に進出した。レース後のインタビューで鈴木聡美選手は「久しぶりに予選から、もちろん緊張感はあったのですけど、その中で予選から6秒台を出すことができたので、この調子で準決勝も頑張りたいですし、しっかり決勝に残れるように、後半少しバテたかなと思うので、もう少し調整をして臨みたいと思います」と応えた。レースを見守った綿谷健佑コーチは「前半が非常に良くて、ただ記録はいいのですけど、泳ぎ方のところで前半の記録を意識し過ぎ硬かった分、後半の伸びのなさに繋がったのかなという印象です。もう少し前半記録を落とさないで泳ぎのところでリラックスしながら入れたらいいのではないかな。現地に神田監督が行っているのでアドバイスがあると思うので大丈夫です」と話した。
◆女子100m平泳ぎ準決勝
およそ8時間後、8日午前10時半過ぎから行われた準決勝にも約40人の教職員や部員がパブリックビューイングを見守る中、2組目に出場した鈴木選手は、予選と違い持ち味の前半からの伸びが見られず、後半も追い込めず同組7位、全体の12位で決勝進出を逃し、2大会連続のメダル獲得はならなかった。レース後のテレビのインタビューで鈴木選手は「タッチしてから、オリンピックの個人のレースは『これで終わってしまったんだ』とすごく残念な気持ちです。予選で非常に手応えは感じていたのですが、それが出せなく、とても悔しい気持ちでいっぱいです。まだメドレーリレーもありますのでそれに向けて気持ちを切り替えて行けたらと思います」と応えた。今年の4月の日本選手権でオリンピックを狙っていた背泳ぎが専門種目のOGの竹迫麻澄選手は「鈴木さんとはずっと一緒に練習してきてオリンピックも一緒に目指して、苦しい表情とかうれしかった時の表情とかいろいろなものを見てきたのですけど、今まで見た中で一番悔しそうな顔をしていたので私もすごく悔しいですね」と相手を思いやった。松浦由佳女子主将は「予選は積極的に行っていたので良い感じで泳いでいるんだと感じましたけど、準決勝もう少しいけたらなと思いました。ただオリンピックの舞台で泳ぐということが素晴らしいことなので、私たちと一緒に泳いでいる先輩を誇りに思いますし、もう一度オリンピックの舞台で泳いだ姿を見れて私はうれしく思います」と先輩に敬意を示した。次の鈴木選手の出場種目は団体の女子400mメドレーリレー。8月12日に予選、13日最終日に決勝が行われる。
文(K.F) カメラ(藤原 稔)2016.8.8