エンパワーメントプログラム
~山学高G系列1年生が英語漬けの4日間~
~海外大学生とともに考える「グローバル時代とは」~
山梨学院高校特進コースG(グローバル)系列の1年生45人が8月20日から24日までの5日間(22日が台風の影響で中止となり、実際は4日間になった)、山梨学院大学新9号館で海外大学生らと交流を通して、「グローバル時代に何が必要か」をディスカッションしながら考える「エンパワーメントプログラム」を行った。「エンパワー」とは、『力をつける』という意味で参加者がこのプログラムを通して将来「グローバル時代を生き抜く力」をつけるきっかけになることを目的に行われた。プログラムは日本の高校生向けに作られた原則すべて英語だけで行われる。5日間で設定されたプログラムを4~5人の小グループに海外大学生がリーダーとして1人が付き、多岐にわたるテーマにグループディスカッションを行いながら、その上でプロジェクト発表、プレゼンテーションなどを中心に進められる英語漬けの4日間。
山梨学院高校英語科では3年前、中1から高校3年生まで希望者を募って「エンパワーメントプログラム」を夏休み期間中に始めた。好評だったことと、昨年度、学校改革のコース再編に伴い、英語科が特進コースG(グローバル)系列に位置づけられ、国際社会で活躍できるグローバル人材育成が目的とされることから、G系列1年生全員が授業の一環として受講することになった。「エンパワーメントプログラム」は、2020年の東京五輪やグローバル化時代を見据えて21世紀型の学力(能動的学習)を養成するという目的でこのプログラムが作られている。4~5人の小グループにグローバルマインドを持った東京大学・大学院、国際キリスト教大学、早稲田大学などに留学中の海外大学生やハーバード大学、カリフォルニア大学の学生らがリーダーとして1人が付き、ファシリテーター(促進者)という全体を統括する講師が出す課題をともに考えていく。プログラムを見てみるとグループディスカッションのテーマは「ポジティブシンキングの重要性」や「自分のアイデンティティについて考える」、「自分の将来について考える」など多岐にわたるテーマが並ぶ。
4日目(3日目の22日は台風の影響で中止になった)のプログラムを見学させてもらった。この日は9人の海外大学生が「自分の将来の目標とその実現のために努力していること」をテーマにモデルプレゼンテーションを行い、参加者の高校生は海外大学生の効果的な英語プレゼンテーションの方法について学んでいた。その後、実際に山梨の良いところを紹介するために各グループでディスカッションを行い、その結果をそれぞれ全員の前でグループごとにイラストなどを描いたパネルを使い、英語でプレゼンテーションを行った。中には、結婚したカップルを設定して新婚旅行に山梨の素敵なところを紹介、山梨の見所を面白おかしく演出したプレゼンテーションもあり、教室全体がなごやかな雰囲気に包まれていた。
企画を担当した勝村寿子教頭は「山梨学院高G(グローバル)系列には英語が好きな生徒ばかりでなく、英語に興味がないとか苦手だからと入ったという様々な生徒がいますが、このプログラムを体験してからそれぞれが英語を使うことの大切さとか楽しさを味わってくれて、視野を広げてくれています」。さらに「従来の日本の教育ですと教員が一方的に講義形式で生徒は集団で一斉に座って講義を聴くという受身形でしたが、21世紀型の学力というのは、自身が課題を発見したり、解決したりして能動的にアクティブに取り掛かるということで、この少人数で課題を解決していくこのプログラムは『アクティブ・ラーニング』の基礎固めというところでグローバル化時代に必要とされる学力を身につける方策だと思っています」とプログラムの効果を述べた。
プログラムに参加した小鳥居邦人さん(グループ8)は「グローバル化が進んでいる社会の中、私たち日本人が海外に出た時には必ず必要になってきます。大変ですけど、普段の英語の授業をやるよりも生の英語に触れるほうが確実に英語の技術、話す技術が上がります。僕は国際的な仕事に就きたくて、イギリスの大学に行きたいのですが、それに見合った英語を身につけたいと思っています。今回はいい刺激になりました」と話した。伊藤沙耶さん(グループ1)は「英語だけでコミュニケーションを取るのは本当に大変で自分の英語力の無さを実感して、もっと英語ができるようになりたいと思いました。英語は話せるだけでいいところへ就職できると思うし将来に役立つと思うので、もっと英語力を上げて英語に係わる仕事に就けるよう頑張りたいです」と前向きに捉えた。
4日間という短い期間だが、山梨学院高G系列1年生は、海外の大学生と時と空間を共有し、英語で物事を考え、英語で一生懸命ディスカッションしたことにより『グローバル時代に何が必要か』を実際に自身に問う体験ができ、本題の『グローバルな時代を生き抜く力』が僅かだが確実に付いたことだろう。
文(K.F)カメラ(平川大雪) 2016.8.30