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県民健康づくりシンポジウム
~県民栄養調査の調査結果を報告~
~健康や栄養の課題と改善策を提言~

山梨県と山梨学院大学健康栄養学部は9月2日、山梨学院60周年記念館(サザンタワー)で「県民健康づくりシンポジウム」を開催した。このシンポジウムは、平成26年度に山梨県が実施した県民を対象とした県民栄養調査の結果から明らかになった県民の健康や栄養の課題とその改善に向けた関係機関の取り組みの周知を図ることを目的に実施。当日は2部制で行われ、第1部では、県民栄養調査の概要や集計分析結果について栄養摂取や身体の状況、食生活・生活習慣、子どもの食生活状況をポイントに説明が行われた。第2部では、健康づくり推進活動として、各地域や学校現場、飲食店などにおける取り組み状況について活動報告が行われた。シンポジウムには、県内の調理師専門学校の学生や栄養・調理に関わる市民などが参加し、報告者の説明にメモを取るなどして聞き入っていた。山学大健康栄養学部では、山梨県と連携し、県民健康公開講座や食育推進ボランティア活動、地域の食に関する調査研究を行い、山梨県がかかえる「食と健康」の課題共有、解決へ向けた取り組みを推進している。
 
山梨県では県民栄養調査を昭和54年度から5年毎に実施。直近では、平成26年度に実施。調査内容としては一般対象の栄養摂取状況、身体状況、生活習慣、食習慣の「県民栄養調査」と小中高校生らを対象とした食事の状況、食事に対する意識、生活状況、運動・遊びの状況、肥満度、不定愁訴の状況の「子どもの食生活状況調査」に分けて行われた。一方、山梨学院大は山梨学院短大とともに平成21年11月に山梨県と「健康・栄養・食育」に関する連携協定を締結。県民健康公開講座や食育推進ボランティア活動、地域の食に関する調査研究、食育・栄養活動などを行っており、今回の県民栄養調査では、集計・分析業務委託機関として調査に協力した。
 
この日のシンポジウムは2部制で行われ、それぞれの報告内容は以下のとおり。
 
【第1部】県民栄養調査の概要と集計分析結果について
「県民栄養調査の概要について」
山梨県福祉保健部健康増進課渡邊瑞穂副主査
「栄養摂取・身体の状況について」
山学大健康栄養学部  古閑美奈子准教授
「食習慣・生活習慣の状況について」
山学大健康栄養学部藤井まさ子教授
「子どもの食生活状況について」
山学大健康栄養学部松本晴美教授
 
【第2部】健康づくり推進活動についての活動報告
「山梨県栄養士会の健やか山梨21(第2次)の取り組み」
公益社団法人山梨県栄養士会  田草川憲男会長
「富士吉田市における減塩推進の取り組み」
富士吉田市役所健康長寿課 外川泉主幹
「私たちの健康は私たちの手で 食育活動の取り組み」
山梨県食生活改善推進員連絡協議会後藤恵子副会長
「飲食店における減塩の取り組みについて」
一般社団法人山梨県調理師会 藤原順一理事
「学校での食育推進の取り組み」
山梨県教育庁スポーツ健康課 高尾順子副主幹・指導主事
「 子どもの食生活状況調査結果から見えた課題について」
峡東保健福祉事務所 早川美香子技師
 
第1部では、県民栄養調査の概要や集計分析結果について、山梨県福祉保健部健康増進課の担当者や山梨学院大健康栄養学部の教員が解説を行った。このうち、集計・分析機関の山学大からの報告では、古閑美奈子准教授が身体状況・栄養摂取状況の改善策について食塩摂取量の減少(目標値8g)、若年層(20~40代)の野菜・果物摂取量の増加、成人期のやせ・肥満の予防、高齢期の低栄養予防としての適正な体格の維持、歩数・運動習慣の増加の4ポイントを提示。また、藤井まさこ教授は生活習慣・食習慣の改善策について、喫煙が原因の一つとされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について内容まで理解しているという認知度が低いため、認知度向上のための啓発活動や禁煙を希望する人への支援活動、飲食店や職場などでの禁煙・分煙活動が必要であると分析。同様にロコモティブシンドロームの認知度も低く、特に問題となる世代の認知度が低いことから高齢者やその前の世代への周知や啓発を強化することが望まれるとし、この他、食習慣では、朝食の欠食について親世代の欠食が子どもの欠食や食事内容に与える影響が大きいことから親子あわせての指導が望ましいと提言した。さらに子どもの食生活状況について分析した松本晴美教授・健康栄養学部長は子どもの生活習慣(食習慣)と健康の関連について、健康増進には運動・外遊びの増加や早寝・早起きなどの健康的な生活リズムの確立、バランスのとれた食事が重要であり、この食事に対する意識向上へは食事の手伝い、食事中の会話、夕食の共食などの食環境を整えることが必要であると提言した。
 
第2部では、各地域や飲食店、学校現場等における健康づくりの推進活動について報告された。山梨県栄養士会では、減塩活動や食事バランスガイドの普及、生活習慣病の予防のための特定保健指導などについて実施。特に“減塩活動”については、栄養士会に限らず行政や飲食店でも取り組まれており、富士吉田市では、摂取塩分チェック事業における減塩活動を実施、山梨県調理師会では、会員調理師による減塩に関する研修会、食塩摂取を少なくする調理方法やレシピの提供などを行っている。一方、子どもたちへの食育について、山梨県教育庁スポーツ健康課から学級活動や給食、各教科などでの取り組み実践について報告が行われた。このなかで、食育の推進については教育現場だけでなく、家庭や地域、他校種と連携して進めることも大切であると報告がなされた。
文・カメラ(Y.Y)2016.9.2