平成28年度司法試験合格祝賀・激励会
~法曹関係者、教職員ら150人が合格者を祝福~
~合格者が感謝を述べ、今後の法曹での活躍を誓う~
山梨学院大学法科大学院は9月14日、キャンパス内プルシアンブルーで恒例の平成28年度「司法試験合格祝賀・激励会」を催した。この会は、司法試験の合格者を祝し、この後に控える司法修習や法曹界人生を激励し、さらに来年以降に受験する在学生・修了生を激励することを目的に開催。今回で11回目となる。山梨学院大学法科大学院は、平成18年の第1回新司法試験で6人が合格して以来、毎年着実に合格者を輩出し、これまでに84人を法曹界に送り出してきた。9月6日、「平成28年度司法試験合格者」が発表され、受験者数は6899人で昨年の8016人から1117人減り合格者も1583人と前年より267人減少した。山梨学院大学法科大学院からは39人が受験し2人が合格した。合格率は全体で5.13%、過去最低となった。合格者は今年の2人を加え86人となった。司法試験制度を取り巻く環境の厳しさから山梨学院大学法科大学院は今年度から学生募集を停止。この日の「合格祝賀・激励会」には古屋忠彦学長、荒牧重人法務研究科長をはじめ、教職員や山梨県弁護士会関係者など約150人が出席。合格者を祝福、激励した。また、2人の合格者はそれぞれこれまでの苦労や感謝の気持ち、今後の抱負を語り、恩師や学び合いの中で培ってきた仲間に、新たに始まる世界での活躍を誓った。
9月6日に発表された2016年の司法試験の合格者は、1583人となり、前年の1856人から大幅に減少した。政府の数値目標の「1500人以上」をかろうじて上回ったが、司法試験を巡っては、法科大学院制度が当初目標にしていた合格率が7~8割に下回り、合格者が予定数に満たないことを理由に、国の試験制度の見直しが始まった。2011年度に法科大学院を修了しなくても受験資格が得られる『予備試験』が採用され、年々受験者が増え合格率も高くなった。その結果小規模の地方大学の法科大学院の志望者が激減した。本学でも平成27年度の入学者が6人となり、本学が大事にしてきた学生同士の「学び合い」の確保が難しい状況になり、残念ながら本学法科大学院でも今年度からの入学者募集を停止した。現在の在学生・修了生には、「学生支援NO.1の法科大学院」を目指してきた勉学環境と教育の支援をこれからも存続していくとしている。
厳しい環境の中、平成28年度司法試験に2人が合格した。平成28年度「司法試験合格祝賀・激励会」は古屋忠彦学長、荒牧重人法務研究科長はじめ、教職員、山梨弁護士会関係者など約150人が出席、例年通り行われた。冒頭の挨拶に立った古屋忠彦学長は「平成16年に国の政策で法科大学院が創設され私立大学も49校が挑戦、その大多数が日本を代表するブランド校でありました。着実に実績を挙げてきた本学も、逆風の吹く中、学生募集停止という苦渋の選択に及んだことに私は負けたつもりはありません。私立大学49校のうち今でも12位に位置します。これから何回か、この二人の後輩が挑戦し、その数がどこまで行き着くか合格者の名を刻んだ銘板がいっぱいになることを楽しみにしたい。合格した二人はすでに法曹の卵として認知されたわけですから胸を張ってもらいたいと思います。まだ、志を果たしてない後輩諸君も母校の名誉のためでなく自らのために最後の踏ん張りを見せて欲しい」と挨拶した。続いて法科大学院を代表して荒牧重人法務研究科長が合格した二人を紹介。続けて「上位校が100人、200人、300人も落ち、未修了者の合格者数が少ない厳しい試験状況の中、本法科大学院から2人が合格しました。これから自分がなりたい法曹に向っていく合格者をまず激励したい。それから今年はたくさんの受かってもおかしくない人たちがたまたま落ちています。想定外です。そういう人たちは『来年は絶対ここに立つんだ』という強い覚悟がすごく重要です。これからも個々の状況に見合ったサポートを強めていくので、山梨学院の資源を大いに活用して来年、この場に立って欲しい」と挨拶した。
また、来賓として山梨県弁護士会法科大学院支援委員会の反田一富委員長は「我々が行う社会正義の実現と権利の保護という仕事は決して衰えることはありません。皆さんは今後努力を続け、能力を発揮することによって、いかようにもこの厳しい世の中を生きていくことができます。弁護士にはその業務において限界もなければ境界もありません。自分の努力と能力によって、どんな仕事も引き受けられますし、どんな世の中になっても生き残っていけます。この合格を機にさらに精進していってください」と激励した。続いて本学修了生で山梨県弁護士会所属の高部裕史弁護士は「今の修習は1年しかなく、しかも実務修習といいまして裁判所と検察官と弁護士の仕事を経験できる期間としてそれぞれ4ヶ月しかないので、どんな職業に就くにしてもこの期間で積極的に取り組んでもらいたい」と今後のアドバイスを贈った。法科大学院開設以来、実務指導など様々な面で支援してきた古屋法律会計事務所の古屋俊仁所長は「日本の文系大学5000人に67種類の職業のうち現実に信用のあると思われる職業はどれかというアンケートを取った時に、1位に『弁護士』が選ばれました。そういう世界にあなた方は今から入るのです。ぜひ自覚を持って自信を持って、また名誉の心を持って進んでください」と激励の言葉を述べた。
それに応えて、まずは初めに合格者の水越大揮さん(平成25年度修了・未修)はお世話になった先生らに感謝の言葉を述べた後、「僕の合格を聞いた時に家族や先生方、いろいろな方が喜んでくれました。その中で今年試験がだめで自分が悔しいのにも係わらず、僕の合格を心から喜んでくれる友人がいまして、その時が一番うれしかったです。これからもずっと忘れることができません。これから先はまだ分かりませんが、その味わった気持ちを初心にして立派な法曹人になっていきたい」と決意を語った。最後のチャレンジにしようと臨んだ岡本祐育さん(平成23年度修了・未修)は「合格者の名が刻まれるブロンズ板に私の名前が刻まれることを夢見ていままで7年間頑張ってきました」と満面の喜びを表した。また、今回不合格になった本学受験者に対して「私は本学で勉強したことでたくさんの経験ができましたし、多くの大切な友人をたくさんつくることができました。ですからこれまでの勉強や法科大学院で学んだことを、これは皆さんの人生や命を豊かに彩る経験ですので、絶対に挫けないでリスタートして、私に続いてもらえたらと思います」とエールを贈った。このあと、古屋学長から記念品の贈呈があり、在学生の村松立亮さんは「本年度の司法試験は全体の合格者数が減少し、率も低下した中で見事合格したということは二人の努力の賜物と考えます。同窓の後輩としましては非常に誇りに思います。私は未修の2年ですので2年後が目標になりますが、ぜひこの金屏風の前に立って合格の挨拶をさせていただきたい」と述べた。
山梨学院大学法科大学院は、法科大学院を取り巻く環境の変化に取り込まれ、入学者募集停止という苦渋を乗り越え、今年度も2人の未修了生を見事合格に導いた。古屋学長の「私は今でも負けたとは思っていない」という力強い意思を持った言葉が、次に挑戦する在学生・修了生に大きな励みとなり、力づけとなった。大学は、これからも「学生支援NO.1の法科大学院」を確約。さらに受験者の勉学環境と教育の充実した支援を進める。来年の「合格祝賀・激励会」には多くの合格者が金屏風の前に立ち、にこやかに喜びの言葉を述べることだろう。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.9.14