酒折連歌講座2016
~歌人の今野寿美さんが連歌のたのしみ方を講義~
~過去の入賞作品を読み解き作歌のポイントを解説~
山梨学院生涯学習センターは9月23日、酒折連歌講座2016を開講させた。この講座は山梨学院大学と酒折連歌賞実行委員会が主催する「酒折連歌賞」の創設10周年を記念して始まり、今年で9年目を迎える。今年度は全2回の講座が企画され、第1回となる23日は、歌人で酒折連歌賞選考委員の今野寿美さんが「呼応する心と言葉-連歌のたのしみ-」と題し講座を行った。会場となった生涯学習センター講義室には、酒折連歌や短詩型文学などに興味がある市民約60人が詰め掛けた。今野さんは過去の入賞作品を例にそれぞれの問いの片歌を読み解き、各自が作歌をする上で参考となるポイントを解説。さらに問いの片歌や答えの片歌に隠された文学史や歴史観などを歌人の目から説明を加えた。参加者らは、配布された資料にメモを取るなど、熱心に耳を傾けていた。
酒折連歌講座は、山梨学院大と酒折連歌賞実行委員会が主催する「酒折連歌賞」が創設10周年を迎えた2008年に記念事業として実施され、その後も山梨県内への「酒折連歌」の普及・啓発、文学の振興、文化の創造に寄与するため毎年開講している。今年で9年目を迎え、今年度は全2回の講座が企画され、第1回目となった9月23日は、歌人で酒折連歌賞選考委員の今野寿美さんが講師を務め、酒折連歌や短詩型文学などに興味がある市民約60人が参加した。
講師の今野寿美さんは1952年東京都生まれ。「りとむ短歌会」編集人。2015年から宮中歌会始選者。1979年「午後の章」により第25回角川短歌賞受賞。『世紀末の桃』で第十三回現代歌人女流賞受賞。『龍笛』により第一回葛原妙子賞受賞。2009年4月から2年間NHK教育テレビ「NHK短歌」を担当。主な歌書等に『歌集さくらのゆゑ』まで10冊の歌集。『24のキーワードで読む与謝野晶子』、『歌がたみ』、『短歌のための文語文法入門』等。第10回から酒折連歌賞選考委員を務める。
講座に先立ち、酒折連歌賞実行委員会の廣瀬孝嘉委員長がコーディネーターとして講師紹介や講座の流れを説明。講座は、「呼応する心と言葉-連歌のたのしみ-」と題し進められ、今野さんは過去の入賞作品を例にそれぞれの問いの片歌を読み解き、各自が作歌をする上で参考となるポイントを解説。さらに問いの片歌や答えの片歌に隠された文学史や歴史観などを歌人の目から説明を加えた。今野さんは「良い作品には、一つなり二つなり優れた要点があります。その要点を知ることによってご自身が作品を作るときに、少し念頭に置けば、良い導きになると思います。それらを踏まえて、問いの片歌を受け止めた後、自分の心の中で一時留めて、そしておもむろに返す、心で答える、(自分の)言葉を用いて作品化する、そういう時間を持つことが大切です。これが(酒折)連歌のたのしみだと思います」と参加者に語り掛けた。
酒折連歌講座は、全2回開講され、第2回目は10月21日に和光大学表現学部教授の深沢眞二さん(専攻:連歌俳諧研究)が「芭蕉の連句について」をテーマに講座が行われる。
「酒折連歌賞」は今回で18回目を数え、“酒折連歌”は五七七の問いの片歌に、答えの片歌を五七七で返す二句一連の片歌問答。俳句などと違い、作歌上の約束事は五七七で返すことのみ。問いの片歌に続く答えの片歌を作者の感性で自由に発想し、老若男女を問わず詠むことができる歌遊び。今年の第十八回酒折連歌賞は4月1日から募集が開始され、一般部門と小・中・高校生の作品を対象としたアルテア部門のそれぞれの大賞に文部科学大臣賞などが贈られる。応募の締め切りは9月30日必着。詳しい募集内容と応募の問い合わせは山梨学院大学酒折連歌賞事務局(TEL055-224-1641 ホームページ)
文・カメラ(Y.Y)2016.9.23