2016全日本学生柔道体重別選手権大会 1日目
~女子78㎏級階級で山中、創部以来初の優勝~
~長内女子主将、故障を抱え悔しい3位~
平成28年度全日本学生柔道体重別選手権大会(男子35回・女子32回)が10月1日、東京・日本武道館で開幕した。個人戦の学生日本一を決める2日間の大会に山梨学院大学からは男子17人、女子14人が出場する。初日は男子が60・66・73・81㎏級、女子は63・70・78㎏級・78㎏超級と男女4階級の戦いが行われ男子11人女子7人が出場した。この内、女子が78㎏級の山中満紀(3年)が自身初となる優勝を飾り。山梨学院大柔道部女子にこの階級初めての優勝をもたらした。また、女子70㎏級の長内香月主将(4年)が準決勝で敗れ3位となった。男子では73㎏級の宮山翔太(4年)、81kg級の中田大貴主将(4年)がベスト8、他の男子勢は1回、2回戦で敗退した。女子は残りの5人はベスト16となった。2日は残りの男女各3階級が行なわれる
◆《女子78㎏級・優勝 山中満紀(3年 岐阜・大垣日大高)》
山中満紀選手は「1回戦から『山』だと言われていて、内容に差がなかったので決勝に上がってくるのにも技を決めるという大きなポイントがなかったことで本当に決勝戦ができるのかなという不安がありました」。優勝が「現実なのかな」と笑みをこぼした。山中満紀は、全くのダークホース的存在だった。これまで小・中・高校と全国大会での主だった戦績はなく、大学でも今年卒業した西田果穂の陰に隠れ大きな大会出場は今回が初めて。初戦の1回戦で友清あかり(環太平洋大)に指導1-2、2回戦は佐藤杏香(東海大)に指導0-1と僅差で勝利。準々決勝の上村綾香(福岡大)との対戦でも4分間の時間内でも決着が付かずGS(ゴールデンスコア)の延長戦2分、ようやく大外刈りが決まり1本勝ちで勝利した。準決勝に進んだ山中は桐蔭横浜大の山口凌歌の攻めに守勢に回り、指導2の注意を受け劣勢に立ったが残り時間僅か、相手の一瞬の隙を逃さず、この時も大外刈りで有効を取り逆転勝ち。決して楽な勝ち方ではなく決勝に駒を進めた。決勝の相手は2回戦で優勝候補の一角と目されていた山梨学院大の泉真生(2年)を破った鈴木伊織(環太平洋大)。山中は前半から終始攻め続け、残り1分のところで指導2を奪うと、試合を有利に進め2-0の優勢勝ちで初優勝した。78㎏級の優勝は山梨学院大女子柔道部17年間の歴史の中で唯一優勝が無かった階級で無名といってもいい、選手が快挙を成し遂げた。最後に山中選手は「親は遠征にもついて来てくれたりといろいろ応援をしてくれました。自分は2位や3位ばかりでやっと優勝できて感謝しかないです」と涙ぐんだ。
◆《女子70㎏級・3位 長内香月主将(4年 富山・高岡龍谷高)》
2006年に全国小学校、2009年全国中学校、2012年全国高校(インターハイ)柔道競技のタイトルをことごとく手にしてきた実力者。大学1年の時は怪我に悩まされて2年からようやく試合に出られるようになると、2014年のこの大会で3位、続く11月の講道館杯全日本柔道体重別選手権大会でも3位に入賞を果たし、全日本柔道連盟のB強化指定選手に選出された。昨年の2月の欧州オープンにも日本代表選手として出場、3位になった。7月に行なわれたユニバーシアード大会の代表選手にも選出され決勝戦に敗れはしたものの準優勝の活躍を見せた。続いて行なわれた全日本学生体重別選手権はユニバーシアードの勢いをそのままに優勝を狙ったが2年続けての3位となった。その後は再び古傷の肩の故障で満足に試合に出られない日が続いた。ようやく復活の狼煙を上げ臨んだ今大会。初戦は中盤に肩を痛めた仕草を見せたが技ありで勝利。2戦目はGSの延長戦で技ありを決め勝ち進んだ。準々決勝の3戦目は、積極的な攻めで東京学芸大の飯島彩加に順調に技ありと有効でリードし、残り時間を僅かに残し勝利目前と思われた瞬間、相手に技ありを決められ冷やりとさせられたが、勝利の女神が長内に微笑んだ。決勝戦は古豪のライバル校帝京大の佐俣優衣との対戦。互いに手の内を知り尽くしている同士は、様子を窺いながら接近戦で技の掛け合いを見せ、拮抗した時間が過ぎていく。時間内で決着が付かずこの試合もGSにもつれ込んだ。しかしあっけない幕切れが待っていた。延長戦20秒、佐俣が掛けた払い腰が見事に決まり長内が畳に沈んだ。決勝戦には進めず今大会も3位に終わった。長内香月主将は「情けないです。4年生の集大成がこの結果だったということです。優勝狙っていたので悔しいです」と涙した。「自分の中では集中力を切らしてないつもりだったのですが、最後に負けたのは日頃の練習の結果が今回の結果だったのでしっかり受け止め次に繋げたいと思います」と気丈に話した。
◆《男子81㎏級・中田大貴(4年 大阪・東海大付仰星高)》ベスト8
《男子73㎏級・宮山翔多(4年 大阪・近畿大附属高)》ベスト8
男子では81kg級の中田大貴主将が初戦の2回戦を技ありと相手の指導3の合せ技で1本勝ち。2回戦は試合開始早々切れ味鋭い背負い投げを決め1本勝ちを収めた。準々決勝も速い攻めを仕掛け主導権を握るが相手も巧妙に対処し、なかなか攻め切れない。延長戦に持ち込まれるかと思った残り2秒。攻めていた中田が不用意に倒され技ありと判定され、土壇場で敗れた。身体の切れも良く、動きも軽快で上位を期待されていた中での敗戦は、中田にとって不覚という以外にない。ベスト8に終わった。73㎏級の宮山翔多は前々回準優勝、前回3位で今大会も優勝候補の一角と予想された。初戦を1本勝ちで幸先の良いスタートを切ると2戦目も技を繰り出し攻勢を仕掛けるも攻め切れず、指導1の虎の子守り勝利。準々決勝では東海大の村上洋平を相手に組み手争いで主導権を握りたいが、宮山がしっかり組んだところを逃げで繰り出した巴投げで有効を取られそのまま寝技に持ち込まれ合わせ技で1本負けを喫してしまった。宮山の初優勝はここで潰えた。
試合後、西田孝宏総監督は「中田と宮山は良い勝ち方をしていたので準決勝、決勝まで行かなければいけないですね。他は、1年生はまだ地力が足りないので思い切って戦ってくれればと思ってました。まだまだこれからですから」と語った。また、山部伸敏女子監督は今日の試合を振り返って「全体的には接戦をものにできなかった。元々接戦になる試合だとは分かってはいたのですが、佐藤も新添、泉も長内もそこを勝ち切れなかったですね。山となる試合でせり負けました」と話した。
他の山梨学院勢の選手は男子60㎏級の小島隆次仁郎(1年)2回戦、梅北亘(2年)1回戦、66㎏級鳥居天翔(4年)・長倉力斗(1年)2回戦、宮本充季(3年)1回戦、73㎏級神森巧海(2年)2回戦、宍戸諒真(2年)1回戦、81kg級八木拓己(2年)2回戦、鎌田魁翔(2年)1回戦、女子勢では63kg級佐藤史織(2年)、70㎏級新添左季(2年)、78㎏級泉真生(2年)、78㎏級超級蓮尾沙樹(2年)、岡田実咲(1年)はすべてベスト16だった。
明日、最終日は男子90・100・100㎏超級の重量級と女子48・52・57㎏級の軽量級、男女各3階級の戦いが行われる。
文(K.F) カメラ(藤原 稔) 2016.10.1