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山学中・ARISSスクールコンタクト
~生徒がISSの大西宇宙飛行士と無線交信~
~交信を通じ、宇宙や科学への興味を深める~

山梨学院中学校は10月1日、国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士と無線交信するARISSスクールコンタクトを実施した。スクールコンタクトはアマチュア無線を使用し、ISSに滞在している宇宙飛行士と交信を行うNASAの教育プログラムで世界各国で実施されている。日本ではこれまで88の交信事例があり、山梨県では、山梨学院中学校が初交信。事前申請や準備を含め、日本アマチュア無線連盟(JARL)山梨県支部に協力を仰ぎ、この日もJARL県支部のメンバーの協力により、山梨学院グリーン駐車場P2に無線機やアンテナが設置された。交信はISSが日本上空を通過する間に行われ、午後5時11分頃から山学中の科学部の生徒がISSに滞在中の大西卓哉宇宙飛行士と約7分間交信を行った。会場には教職員や保護者、JARL関係者が集まり、宇宙から大西さんの声が届くと拍手や歓声が沸き、生徒らは、大西さんとの交信を通じ、宇宙や科学への興味・関心を深めていた。
 
ARISSはAmateur Radio on the International Space Stationの略称で国際宇宙ステーション上のアマチュア無線を意味し、スクールコンタクトはNASAの教育プログラムの一環として実施されている。今回のコンタクトは、一人の生徒の“宇宙と交信したい”という思いから始まり、申請から実施まで約1年かけて準備を行ってきた。山梨学院中学校では、今回の交信に先立ち、臨時アマチュア無線局の申請を行い、8J1YGJHのコールサインが付与された。当日は、山梨学院酒折キャンパスの南側の駐車場に午前10時頃からテントや椅子などの設営を行い、JARLの山梨県支部のメンバーの協力を得ながら無線機やアンテナを設置。生徒らは、1時間程前から実際の交信を想定し、JRAL県支部のメンバーの指導を受けながらリハーサルを行った。発案者の小槙創君(2年)は「最初は中学校でアマチュア無線の同好会を作ろうと思い、色々調べていたらARISSスクールコンタクトのことを知り、やってみたいと思い、去年の5月ぐらいから準備をしてきました。申請が全て英語で、スクールコンタクトのEducational proposal(教育計画・教育効果)を記載する欄が特に苦労しました。あと30分ほどですが、成功するか緊張しています」と緊張した表情で語った。コンタクトに先立ち、山梨学院中学校を代表し山内紀幸校長が「ついに私たちが楽しみにしていたスクールコンタクトの日がやってきました。この国際宇宙ステーションとの交信を実現するためには、ARISSスクールコンタクトの運用委員の安田先生、日本アマチュア無線連盟山梨県支部の藤森様、山梨県私学振興課をはじめ多くの方のご協力でこの素敵なイベントの実現にいたりました。この実現の発端は小槙君のやってみたいという子どもたちの夢からスタートしています。子どもたちのやってみたいを実現させるのが私たちの仕事ですので、こういった様々なチャレンジが学校から今後も生まれてくることを楽しみにしています」と挨拶。続いて発案者の小槙君が「まもなくコンタクトの時間を迎えます。僕たちも大西さんとのコンタクトを楽しみます。みなさんも楽しんでください」と会場に集まった保護者らに挨拶した。交信予定時刻の1分前からコントロールオペレーター(ISSとの交信の最初と最後を担当。JARL県支部が務めた)がISSのコールサイン・NA1SSをコール。何度かのコールに続いて「8J1YGJH、こちらはNA1SS、国際宇宙ステーションです、こんばんは」と大西卓哉宇宙飛行士の声が届くと、科学部の生徒や集まった保護者、JARL関係者から拍手が沸いた。宇宙からの電波はRSレポート(音声の明瞭度(5段階)と信号の強さ(9段階))で59を記録し、非常にクリアな音声が宇宙から甲府に届いた。初めに発案者の小槙君が大西飛行士と交信。
 
小槙君「宇宙と地球では星の見え方にどんな違いがありますか?」
大西さん「大気に邪魔されない分、少し綺麗に見えます。でも星座の形は変わりません」
 
小槙君の交信に続き、科学部の他の部員が交代で大西さんと交信を行った。無線交信はISSが日本上空を通過する時間しか行えず、今回は約7分間交信が行われ、全部で18の質問が大西さんに発せられた。生徒らは、大西さんとの交信を通じ、成功を喜ぶとともに改めて宇宙や科学への興味・関心を感じていた。コンタクト終了後、小槙君は「宇宙からの信号が聞こえなくて不安になる場面もありましたが、全員が交信することができて、本当に良かったと思います。最初にISSから応答があった時に、“あっ(電波が)届いた”と思い、とても感動しました。宇宙やISSに対する理解も深まったと思うので、宇宙に関する興味を持ち続けながら勉強などに活かしていきたいと思います」と喜びを語った。山学中科学部の京嶌祐記部長(3年)は「交信する前までは、繋がるか不安だったのですが、交信が成功して凄く嬉しく、今までの苦労が吹き飛びました。この経験を今後の科学部の活動や社会に出て行った時に活かしたいと思います」と語った。科学部の成島秀樹顧問は「スクールコンタクトは子どもたちしか交信の許可が下りないものなので、彼らにとっては一生の宝物になったと思います。宇宙に目を向けて活躍する人材がここから巣立って行ってくれれば良いなと思っています」と述べた。
 
※アマチュア無線の交信にはアマチュア無線技士等の無線従者免許(国家資格)が必要。一方、総務省の告示により、臨時アマチュア局の免許を受けISSと交信を行う場合は、一定の条件の下で小中学生に限り、無資格でも交信が可能となっており、今回はこの告示に従って実施された。(平成14年総務省告示第154号)
文・カメラ(Y.Y)2016.10.3