2016秋季関東地区高校野球大会 1回戦
~山学高、2季連続甲子園に向け、まずは1勝~
~相手投手に苦しむも、五十嵐が決勝の本塁打~
「第69回秋季関東地区高校野球」1回戦が10月22日、栃木・宇都宮清原球場、県営総合運動公園野球場(宇都宮市)で3試合が行われた。東京を除く関東7県、15校が出場するこの大会は来春の選抜甲子園出場校選考の重要な参考資料となり、今夏の甲子園で優勝した作新学院高を初め、横浜高、浦和学院高など強豪校が競い合う、好試合が予想される。5年ぶりに夏の甲子園に出場を果たし、甲子園経験者7人を中心に新チームになった山梨学院高は秋季大会で優勝し、この大会に好成績を残し2季連続甲子園を目指す。1回戦は茨城2位の霞ヶ浦高と対戦した。試合は2回、後攻の霞ヶ浦高が二塁打と中前適時打で1点を先取。山梨学院は相手投手の緩急を巧みに使い分けた投球に4回まで1安打と沈黙。5回、先頭打者の7番小澤陸(1年)の安打と2死後、1番関口俊哉(2年)の安打に相手の失策が絡み1点を返し同点とした。6回には先頭打者の4番五十嵐寛人(2年)が目の覚めるような本塁打を左翼スタンドに打ち込み1点を勝ち越した。その後は両投手が好投、9回裏吉松は1死後マウンドを栗尾勇摩(2年)に譲り、栗尾は僅か3球で2打者を仕留め、山梨学院は2-1で勝利。1回戦をものにした。2回戦は24日、好投手を擁する東海大市原望洋高(千葉1位)との対戦。山梨学院打線と相手投手の戦いが注目される。
来春の選抜甲子園出場校の選考の重要な選考資料になる「第69回秋季関東高校野球大会」が22日から24日、29日・30日に栃木県で開催される。開催県の栃木県から3校、山梨、神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬からそれぞれ2校、計15校が出場する。山梨県からは今夏の甲子園に5年ぶりに出場を果たし、新チームとなった秋季関東地区山梨県大会で優勝した山梨学院高と2位の市川高校が出場する。3年ぶり7回目の出場となる山梨学院は秋季県大会で吉松塁、宮内大河、栗尾勇摩の投手陣が初戦こそ3点を許したが残りの4戦を無得点に抑え、防御率0.42の抜群の安定感を見せ、打線も好調でチーム打率3割4分1厘と爆発的な破壊力とはいえないものの単打で繋ぐ野球で勝ち上がった。今回の関東大会は、夏の甲子園で優勝した栃木・作新学院高を初め、埼玉・浦和学院高・花咲徳栄高、神奈川・横浜高、群馬・前橋育英高など強豪校がしのぎを削る中、厳しい戦いが予想される。22日の1回戦、山梨学院高は茨城2位、2年連続7度目の出場となる霞ヶ浦高校と対戦した。
13時20分、試合は肌寒い曇り空の下始まった。先攻は山梨学院高。1回表、この日2番に入った広瀬巧真主将(2年)が1死後、遊撃内野安打で出塁すると2死後、4番・五十嵐寛人(2年)が死球で2死二塁一塁のチャンスに5番山本瑞基(2年)は2塁ゴロに倒れ無得点。2回裏、霞ヶ浦の攻撃、先頭打者に二塁打を打たれ、犠打で走者は三塁に。続く打者に中前適時打を打たれ先制点を許した。山梨学院打線は、相手投手の緩急が冴える投球にタイミングが合わず、4回まで1安打と苦しむ。5回先頭の小澤陸(1年)が安打で出塁するとすかさず丹沢海輝(2年)が犠打で走者を進めると、2死後関口俊哉(2年)が一塁内野安打を放ち、相手の失策もあり、2塁走者の小澤陸(1年)が本塁を踏み、幸運な点が入り同点に追い付いた。6回表には、県大会決勝で本塁打を打ち、本来の打撃が戻りつつある4番五十嵐は2球目、カーブを完璧に捉え左翼スタンドに本塁打を打ち込み1点リードとした。山梨学院の先発、吉松投手は、2回こそ点を奪われたが、その後我慢の投球を続け、見方の堅守にも助けられ、9回裏1死でマウンドを栗尾勇摩(2年)に譲った。栗尾は3球で後続をきっちり抑えた。山梨学院の得点力を誇る打線は、相手投手の緩急をつける投球に封じられたが、安定感のある吉松の投球と堅守で機を待ち、五十嵐の本塁打を呼び込んで最小得点差で勝ち切った。
◆山梨学院高VS茨城・霞ヶ浦高 10/22(土) 栃木・宇都宮清原球場
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 | |
山梨学院高 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
霞ヶ浦高 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
山梨学院高 安打7 四死球4 三振3 失策0
霞ヶ浦高 安打5 四死球4 三振7 失策1
◆山梨学院高
[投手]○吉松8回1/3 安打5 三振6 四死球4
○栗尾2/3 安打0 三振1 四死球0 バッテリー:[捕手]五十嵐寛人
[交代]○小林侃(三)→清水玄(三) 山本(一)→小林侃(一)
試合後、吉田洸二監督は「あまり勝った気はしないですね。ここ数十試合では一番厳しい試合でした。相手投手はチェンジアップを巧に使っていたので、私たちが一番苦手なタイプの投手でした」と振り返った。次戦に向けては、「3人の投手が甲子園を経験していますので3人で一試合を投げるような気持ちで全力を尽くしたい」と話した。全国大会で調子を落としていたが、秋季大会の準決勝、決勝で上り調子の五十嵐寛人選手は「絞る球もなく、ただ振ったら入りました。振りに行く瞬間に打てると感じたので、結果が本塁打になってうれしかったです」と無欲で打った本塁打を喜んだ。さらに「次は相手どうこう関係なく、自分たちがやるべきことをしっかりやれば負けることはないと思うので、練習してきたことを自信に変えて試合に臨みたい」と胸を張った。県大会でも抜群の安定感を誇った吉松塁投手は「ボール先行のところが良くなかったですが四球からの失点がなかったことは良かったです。序盤1-0で少し焦りもあったのですが、同点に追い付き五十嵐も本塁打を打ってくれ、だいぶ楽になりました。次の望洋はバッティングもいいし、自分も千葉県出身なので絶対に負けたくないです」と闘志を燃やす。この日も3打数2安打と打撃好調の広瀬巧真主将は「吉松が1点に抑えていてくれたのと五十嵐の本塁打が大きかったです。それから相手のミスからですけれど、しっかり点を取れたのでそこが良かったです。相手の投手に少し崩されたところがあったので、そこは課題として活かし、次はどんどん打てるように、あと1日空き日があるのでしっかり練習して備えます」と次に向け意気込んだ。
山梨学院高の2回戦は10月24日(月)午前9時30分より、栃木県総合運動公園野球場で最速146キロの直球と変化球で打者を翻弄する金久保優斗投手を擁する東海大市原望洋高(千葉1位)と対戦する。
文(K.F)カメラ(平川大雪)2016.10.22