●全国高校サッカー選手権山梨県大会 決勝
~山梨学院がFW加藤の4試合連続ゴールで勝ち切る~
~韮崎を1対0で退け2年ぶり5回目の全国切符獲得~
第95回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会決勝が11月12日、甲府・小瀬スポーツ公園山梨中銀スタジアムで行われた。2年ぶりの選手権出場を目指す山梨学院高は選手権県勢最多出場を誇る韮崎高と対戦。試合は序盤から山梨学院が試合の主導権を握る。山学はボール支配率で優位に立ち、両サイドを大きく使い攻撃を組み立てる。対する韮崎は、激しいプレスからボールを奪い、カウンターで山学ゴールに襲い掛かる。前半21分、MF雨宮壮のCKをFW加藤拓己が頭で合わせ山学が先制。加藤の4試合連続のゴールで山学が1対0と試合をリードする。エンドの変わった後半は試合の主導権を山学が握りつつも一進一退の攻防となり、後半30分過ぎからは激しく攻守が入れ替わる展開。山学はGK大野郁哉を中心にDF陣が体を張ってゴールを死守。後半アディショナルタイムは5分、山学イレブンは最後まで足を止めることなく走り続け、ついに試合終了のホイッスル。山 学は1対0で韮崎に勝ち切り、山梨県王者を奪還し、2年ぶり5回目の全国切符を獲得した。
山梨学院高は準決勝で、日大明誠高と対戦し、1対1で迎えた後半アディショナルタイムに2試合連続得点のU-17日本代表のFW加藤拓己(2年)が勝ち越し点を決め、2対1と競り勝ち3年連続で決勝進出を決めた。対する韮崎高は、準決勝で甲府商業高に3対1で勝利し決勝へ進出。韮崎は、選手権県勢最多出場(34回)を誇り、山学は、過去10年では県内最多(4回)で、この日の決勝は、新旧の王者対決の様相。山梨中銀スタジアムのバックスタンドには両校の大応援団が陣取り、ユニフォーム型のビッグフラッグが掲げられ、山梨県代表を決める最後の戦いが、山学のキックオフで始まった。
第95回全国高校サッカー選手権山梨県大会 決勝 ≪山梨学院高VS韮崎高≫(11/12)山梨中銀スタジアム |
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○ 山梨学院高 1 | 前半 1−0 後半 0−0 |
0 韮崎高 ● |
山学得点者 加藤拓己 |
試合は序盤から山学が試合の主導権を握る。山学は両サイドを大きく使い選手権予選初先発のFW加藤やMF雨宮壮(3年)にロングボールを入れ、攻撃の起点とする。ボール支配率は山学が韮崎を上回り、山学はシュートまで持ち込むも、韮崎の堅守に阻まれ、なかなか得点を奪えない。対する韮崎は、激しいプレスからボールを奪い、カウンターで山学ゴールに襲い掛かる。前半20分には山学DF陣の裏を抜くスルーパスでゴール前まで攻め込むも山学GK大野郁哉(3年)が体を張って阻止。その1分後、前半21分、MF雨宮のCKをファーサイドに走り込んだFW加藤が頭で合わせ先制。加藤の4試合連続ゴールに応援スタンドは前半最大の盛り上がりを見せる。1対0で前半を折り返し、エンドの変わった後半は試合の主導権を山学が握りつつも一進一退の攻防となる。後半30分過ぎからは激しく攻守が入れ替わる展開。30分、32分と山学がCKのチャンスを得るも韮崎DF陣の体を張った守備で追加点を奪えない。一方の韮崎は、35分には右サイドからのドリブル、36分には左サイドからのクロスでチャンスを作るも山学DF陣が集中して対応。後半アディショナルタイムは5分、山学イレブンは最後の最後までゴールを目指し、足を止めることなく走り続け、ついに主審の長い笛が鳴り試合終了。勝利の瞬間、先制点を決めた加藤は、ケガでスタメンから外れ、この日も途中出場となった主将の小林友也と抱き合い、喜びを分かち合った。80分間、大声援を送り続けた応援スタンドも声援が歓声へと変わり、仲間の勇姿を褒め称えた。
試合後、安部一雄監督は「前半もう1点取れていれば、もう少し試合を優位に運べた。これまで、アドバンテージを取ると自分たちから崩れることが多く、きょうも少しそれが出てしまったが、最後は最終ラインの草地(勇輝)と西(雅人)を中心に我慢して良く守ってくれた。横森先生(総監督)もおっしゃていたが、山梨県では、空中戦を制しないと勝てないので、制空権やこぼれ球、拾ったボールのリスタートなどの改善を1年やってきて、夏過ぎからは走りこみなどの効果が出て、力強さも出てきた。選手たちは良く一生懸命やってくれて、感謝したい。全国まで1ヶ月半あるので、しっかり準備して自分たちのサッカーができるようにチームを立て直したい。またプリンスリーグに戻るので、プリンスを経験しながら、全国で勝てるチームを作り上げたい」と述べた。横森巧総監督は「2年間この1勝をするためにずっとやってきた。この2年は長かったが、やりきった選手たちは良くやったと思う。1年生の宮崎(純真)も伸びてきて、チームにプラスαが加わり、3年生がさらに創造性を持って試合に変化を出せれば、もっとゲームの内容も濃くなり、(ゴールへの)チャンスも増えると思う。全国では、守りがしっかりしないと成立しない。守から攻への切り替えの早さ、攻に入ってからの創造性をワンランクアップさせないと勝つことは難しいと思う。残りの期間で、持っているものをさらに向上させ、試合で“変化”が出せるように調整したいと思います」と語った。小林友也主将は「選手権の舞台を目標に3年間やってきて、優勝できたことは本当に嬉しいです。前半にコーナーで1点入って、そこからは押し込まれる苦しい展開もありましたが、そんな中で、最後までやりきろうとみんなで声を出して、それが無失点の勝利につながったと思います。山学にはずば抜けた選手がいるわけではなく、非常に仲が良いのが強みなので、チームで一体感を持って日本一を目標に全国の相手と戦いたいと思います」と述べた。決勝点となる先制点を決め、今大会全試合ゴールを決めた2年生エースの加藤拓己選手は「嬉しい気持ちはもちろんですが、優勝してホッとした気持ちが今一番大きいです。自分の仕事は、ゴールを決めてチームを勝たせることで、ケガで途中出場が多かったですが、途中からでもやることは変わらないので、毎試合で得点できたことは大きな収穫になりました。全国はみんな目標にしてやってきた場所で、(高校サッカーの)聖地なので、県大会の優勝は通過点として、全国の上のレベルで優勝目指してしっかりやりたいと思います。山梨学院は今年70周年で学校も盛り上がっているので、山学らしいプレーで相手を圧倒して、王者奪還してみんなで笑って終わりたいと思います」と県大会を振り返り、全国での意気込みを語った。
第95回全国高校サッカー選手権大会は11月21日に組み合わせ抽選が行われ、12月30日に駒沢陸上競技場で開幕。国立競技場が2年前から改修工事に入り、準決勝・決勝は昨年同様に埼玉スタジアム2002で行われる。2年ぶりに選手権のピッチに立つ山学イレブン。王者奪還を胸に、青き旋風を巻き起こせるか。青きイレブンの全国での戦いに注目が集まる。
文(Y.Y)、カメラ(藤原 稔、Y.Y)2016.11.12