山梨学院パブリシティセンター

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●大学生と議員が政策ワークショップ
~昭和町の現状と課題を活発に議論~
~若い感性、新たな発想で町政を活性化~

山梨学院大学と昭和町議会は12月2日、山梨学院大において昭和町の政策に関するワークショップを行った。昭和町議会は、平成20年に議会改革の一環として山梨学院大ローカル・ガバナンス研究センターと連携協定を締結。議会と大学との連携は全国初の試みで、締結以降、毎年議員と学生とが町政の課題や問題点、新しい政策を議論するワークショップを実施している。また、山学大の教授陣による議員研修などを重ね、大学の知財を町政に活用している。この日のワークショップでは法学部政治行政学科の8ゼミが行政改革や高齢者福祉、環境、まちづくりなどからテーマを設定し、研究報告を行い、昭和町議員に対し新しい政策を提案。議員からは、町政の現状や課題、他の自治体の例や今後の方向性などについて答弁が行われ、関連する質問を相互に重ね、時間が許す限り議論を深めた。
 
この日のワークショップには、昭和町議会から16人の議員が参加し、山梨学院大学からは法学部政治行政学科8ゼミ9グループが参加。開会式で昭和町議会の三井毅議長は「山梨学院大との連携は8年目を迎えました。今年もワークショップに備えて、資料収集や昭和町の実状について調査・研究をして、若者の目線で見て感じたことを政策として提案してくれますが、プログラムを見てみるとタイムリーなテーマもありますので、私たちも大いに期待しております。これまで皆さんの先輩が提案してくれた政策には、いくつか実現したものもありますので、議員との質疑応答では、遠慮せずに自信を持って自分たちの考えを言って頂き、議論を深めてください」と挨拶。政治行政学科を代表して丸山正次政治行政学科長は挨拶の中で「学生が社会的・政治的な問題に対して考える機会があまりなく、課題が絞り切れず、若者らしい迷いが出て、提言内容に不足を感じるかもしれません。学生たちの提言は希望や夢は大きいですが、実現する時の問題点まで触れられていないケースもあり、今後社会に出てからの思考する経験にもなりますのでますので、厳しく質問をしてください」と議員らに語りかけた。また、山学大ローカル・ガバナンス研究センター長の江藤俊昭センター長は趣旨説明の中で「議員と学生とのワークショップは全国的にも珍しく、先駆的な取り組みになっています。昭和町議会は議会改革に早くから取り組み、山梨県で初めて議会基本条例を制定し、住民自治を進めています。自治体の運営に行政も大事ですが、様々なことを決めていく議会は凄く大事な権限を持っています。行政に目が行きがちですが、住民自治の根幹は議会だということをこれを機会に改めて勉強してもらいたいと思います」と述べた。開会式後、昭和町議会の3つの常任委員会(総務・教育厚生・産業土木)に対応する形で会場を分け、ワークショップが行われ、学生の研究報告・政策提案に続いて、議員による質疑応答・意見交換が行われた。

以下、各ワークショップの内容(委員会ごとに制限時間を設け、時間内に報告、提案、質疑応答等を行う)

■総務委員会(税財政、人事・給与、政策評価、組織改革、地方分権等)
①市民教育について(江藤ゼミ)
②広報について(日高・大高ゼミ)
③外国人が暮らしやすいまちづくり(外川ゼミ)
 
■教育厚生委員会(福祉・保健・医療、介護保険、保育、教育等)
①高齢者の犯罪対策-加害者・被害者としての高齢者(山内ゼミ)
②若者による「甲斐歌舞伎」の再生と地域文化政策の推進(小菅ゼミ)
③認知症対策について(江藤ゼミ)
 
■産業土木委員会(農業、商工業、観光、都市計画、まちづくり、環境等)
①家庭からのゴミの分別と廃棄に関する新たな提案(丸山ゼミ)
②地方創生-ICTと知名度向上の観点から(外川ゼミ)
③自転車のまちづくり-昭和町に自動車専用道路のネットワークは可能か(中井ゼミ)
 
各グループは、今回の政策提案のため実際に昭和町を訪れ、町政の現状把握やヒアリング、問題点の洗い出しなどのフィールドワークを実施。学生たちは、その中から見えてきた課題と他の先進的な取り組みを実施している自治体や社会情勢などを検討し、より昭和町にとって魅力的な政策や実現可能な政策などを議員に対し提案した。その中には、スマートフォンのアプリと連動した政策やタブレットを使用したペーパーレス化、テレワークによるサテライトオフィス導入などICTを活用した業務効率・町の活性化など昨今の情報化社会に対応した政策などが提案された、また国内でも社会問題となっている認知症や高齢者に関係する犯罪対策、外国人居住者への支援策なども議員らに示された。学生からの提案に対し、その事案に関係する常任委員会の議員が、町の現状や他の自治体の現状、予算規模など細かな部分を確認し、学生側からは追加で説明や報告、資料の提示などが行われた。また、議員側からは学生たちに政策の実現可能に向け、一歩踏み込んだ質問が寄せられ、学生・議員相互で町政や町の活性化に向け、議論が深められた。
 
ワークショップ終了後の閉会式では各常任委員会の委員長からそれぞれの会場で学生から提案された政策や町の現状などが簡潔に報告され、講評が述べられた。最後に江藤センター長が「3時間という短い時間でしたが、各会場で熱い議論が展開されたと思います。提言としては十分ではない部分もありますが、閃きやイマジネーションの機会として、町に持ち帰り、各委員会で掘り下げて頂ければと思います。一方で学生たちは自分が住んでいない町の現状を把握し、課題設定を行うことが難しく、議会だよりや広報を見ながら問題点を設定することになりますが、同時に各常任委員会での課題やテーマを示して頂き、それを素材に学生が調査・研究を行うことも大事なことではないかと思います。これを行うことで、委員会として継続して提言に向かっていくと思います。ワークショップは作り上げていくものですので、単発で終わらせるのではなく、継続して実施していくことが重要であると感じました」と語り、ワークショップを総括した。
文・カメラ(Y.Y)2016.12.2