●2016関東大学ラグビーリーグ1部・2部入替戦
~山学、昨年同様日大との因縁の対決~
~終盤猛迫するも、1部復帰ならず~
「2016関東大学ラグビーリーグ戦1部・2部入れ替え戦」が12月10日、埼玉県熊谷ラグビー場Bグラウンドで行われた。山梨学院大は昨年1部・2部入れ替え戦で敗れ2部に降格。今年は昨年の屈辱からの巻き返しを図りチームを強化。2部リーグ無傷の1位で再び1部・2部入れ替え戦に挑戦者として1部復帰を目指し臨んだ。入れ替え戦は昨年座を明け渡した日本大学との因縁の対戦となった。試合は、日大が前半序盤、主導権を握り、先制すると山梨学院も徐々に反撃にでて逆転、再び日大が逆転するシーソーゲームになり、前半は山梨学院が14-12と折り返した。後半も中盤まで拮抗した攻防を繰り広げ緊迫したゲームが続く。次第に日大は風の強い中、ボールを回す戦術で激しく山梨陣内に攻め入り、立て続けに3トライ3ゴールを決め、19点差まで得点を広げた。終盤2年ぶり4度目の1部昇格を何としても手に入れたい山梨学院も持ち前の前へ、前へ繋ぐ展開で相手ディフェンス陣を攻めたて、2トライ2ゴールと反撃。しかし、攻撃もここまで。ノーサイドの笛が無情にも鳴り響き、35対40で敗れた。1年で1部復帰の悲願も叶わず、来年、再び挑戦をすることになった。
山梨学院大は、前回大会で2年連続の1部残留を懸けて臨んだリーグ戦で8位と結果を残せず、1部・2部入れ替え戦に回り2部1位だった日大と対戦。28対17で敗退、2部降格した。今年の関東大学ラグビーリーグ戦2部グループは、山梨学院のほか、やはり降格組の専大や立正大、東洋大、国士館大、國學院大、白鷗大、朝鮮大の8校が入れ替え戦に臨める上位2校を目指し、9月中旬から11月中旬まで総当たりで対戦した。その結果、山梨学院は6勝0敗1分けの負けなしの2部1位で入れ替え戦出場を決めた。
会場は、2019年ラグビーワールドカップ開催地の一つに決定した埼玉県・熊谷市の熊谷ラグビー場。メインスタジアムは現在改修中でBグラウンドが会場になった。よく晴れ上がったものの5~7mの強風、気温10度と寒い中、熱い戦いが繰り広げられた。会場には約1000人のラグビーファンが集まり、熱戦を見守った。1部・2部入れ替え戦は午前11時30分、1部7位の法政大と2部2位立正大の第1試合が行われ、午後2時、山梨学院大は第2試合に登場、1部8位の日大と対戦した。昨年の入れ替え戦で残留を阻まれた因縁の相手。リベンジを図るべく立ち向かった。
試合は山梨学院大のキックオフで始まった。強い風の中、序盤、風上の日大ペースで進み、7分、山学陣内でラックから出したボールを右へ展開、相手右ウイングが右端にトライし、日大が先制した。16分には、山学が相手10m付近でラックから10番HBの前原正貴(4年 熊本・荒尾高)が抜け出し中央にトライ、ゴールも決め7-5と逆転した。その後互いに1トライずつゴールも決め、前半を14-12で山梨学院がリードして折り返した。後半に入り、風上に立ち、優位に試合を進めたい山学だが、開始3分、自陣5m付近のラックからでたボールを繋がれ中央にトライを許し逆転された。6分には日大のハイパントキックを山学が奪い9番HB山際健(4年 新潟工高)から11番TB清水大樹(4年 長野・岡谷工高)に繋いで再び逆転。山学はリーグ戦で6勝中4戦逆転勝利を収める勝負強さを見せ勝ち進んだ勝利の方程式から山学応援団に期待を抱かせた。しかし、中盤になり、日大のボールを回す試合運びに、ディフェンスが対応し切れず、22分、27分、32分と立て続けにトライ、ゴールを奪われ19点のリードを許した。残り10分、山梨学院はリーグ戦4度の逆転勝ちで生まれた結束力で反撃に出た。37分に前へ、前へ、攻撃の手を休めず敵陣5m付近のラックから山際健から6番FW下澤正浩(4年 千葉・市立船橋高)、39分終了間際にも前を向く波状攻撃を仕掛け、最後は5番FW戸田翔汰(4年 山梨・日川高)が左中間にトライ、35対40。5点差まで詰め寄ったが、ここでノーサイド無情の笛が鳴った。因縁の対決は今年も日大に軍配が挙がった。山梨学院大ラグビー部は再び来年の1部昇格に向けて厳しい練習が始まる。
平成28年度関東大学リーグ戦1部・2部 入れ替え戦 山学大VS日大戦(12/10)埼玉県・熊谷ラグビー場Bグラウンド |
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● 山梨学院大学 35 | 14-前半-12 21-後半-28 |
40 日本大学 ○ |
山学大トライ 前原正貴1 戸田翔太2 清水大樹1、下澤正浩1 鈴木真之介G5 日大トライ 竹澤正祥1 市川秀樹1、金貴大2、畠中智基1、林弘樹1、金貴大G5 |
試合後、選手を集めて吉田浩二監督は「4年生がこのチームを引っ張ってくれた。あの負けから落ちたチームをここまで上げてくれた。悔しい思いをして1年間良くやってくれ、ここにいるメンバーはいろいろな面で変わったと思うし、最後勝たしてあげたかったというのが本当の気持ちです」と4年生を労った。「みんなが努力したことそれが必ず実るんだということを証明したかった。しかし、まだチームの中に足りなかったものがあったと思う。それを3年生以下がしっかり、引き継いで欲しいと思う。同じ悔しさは3回も味わいたくない」と選手を鼓舞した。神宮寺徹ヘッドコーチは「この4年生は特別な代だと思っています。最後笑って卒業させたかったけれどできなくて申し訳ない。選手だけでなくみんな頑張って、トップ目指して、練習を積み重ねてここまで来たのは本物だった。この何かが足りなかった5点これは私たちの責任でみんなはやり切ってくれた」と選手に感謝した。
土屋樹生主将は「何も言い訳はしたくないです。あと5点分の努力が足りなかった。2部とは違い。プレッシャーがあり、冷静にプレーができなかった。たくさんチャンスがありながらそれをものにできなかったことが大きかった。最後は本当に死に物狂いで、絶対に負けたくなく、でも最後はたくさんボールを受け、すごくうれしかったので4年間楽しく終われました。しっかり文化は作れたと思うので後は後輩に頑張ってもらいたい」と託した。試合を振り返り、吉田浩二監督は「点を取るべきところで取れ切れなかった。後半の立ち上がり、攻めていたときに点に繋がらなかったことが大きかった」と語り、「学生たちが一生懸命何にでも立ち向かう文化はできつつあり、本当に自立して自分たちでやろう、修正することができたので、その文化を持続するチームになってくれればいい」と今後に期待する。
入れ替え戦には敗れてしまったが、4年生が残してくれたレガシー(遺産)は、後輩たちに受け継がれ、一回りも二回りも大きく成長し、1年後の1部復帰を必ずや実現することだろう。
文(K.F) カメラ(平川大雪)2016.12.10