●2016天皇杯全日本レスリング 2日目・最終日
~フリー57㎏級小栁、65kg級乙黒3位表彰台~
~OB高橋初優勝、鴨居2連覇。先輩の力見せる~
《3日目最終日の結果も記載しています》
平成28年度「天皇杯全日本レスリング選手権大会」が12月22日、2日目が行われた。21日から23日までの3日間の日程で、東京・代々木競技場第2体育館で行われている。男女合わせて24階級種目が行われ、社会人から高校生まで出場資格を満たした選手が各階級で日本一を争う。昨日、高田裕司山梨学院大学レスリング部監督・日本レスリング協会専務理事が大会開会宣言を行って始まった2日目、男女8階級が行われ山梨学院大からは4人、OB5人が出場した。大会はフリースタイル57㎏級に出場した小栁和也(3年)が3位、今年卒業したOB高橋侑希(ALSOK)が初優勝を飾った。フリースタイル65kg級の乙黒圭祐(2年)も3位入賞し表彰台に上った。他にOBで、フリー65kg級の鴨居正和(自衛隊体育学校)が2連覇、フリー125㎏級の金澤勝利(自衛隊体育学校)は2位となった。それぞれが来年の世界選手権、4年後の東京五輪を目指す。
◆フリースタイル57㎏級3位・小栁和也(3年)、準決勝で優勝者OB高橋侑希に敗れる。
実力者が集まるフリースタイル57㎏級に出場した小栁和也(3年 山梨・韮崎工高)は自分でも認める悪い癖がある。「追い詰められるとばたばたしてポイントを取られ負けてしまう」。初戦の2回戦、第1ピリオドを0-6で折り返し、第2ピリオドを迎えた。「今回は落ち着いて攻められたので、順調に取り返すことができた」と言うように、積極的に攻め続け、相手に何もさせず、一方的に10-6で勝利。その勢いを駆って、3回戦では順当に点を重ね、終盤には4点技を2連続で決め15-2のTF(テクニカルフォール)で勝利し、準決勝に進み今年卒業した高橋侑希(ALSOK)と対戦した。第1ピリオド中盤までは何とか凌いでいたが、世界を経験している先輩の強さは際立っていた。第2ピリオド中盤に力尽きTFで敗れた。「試合で分かったことは、崩しの上手さやスピードの違いなど相手が断然上で歯が立たなかった。ポイントを取りたかった」と話した。今大会は3位決定戦を実施しないため、3位を獲得、表彰台に上った。高橋侑希は決勝では、2点を先取されたものの、連続ポイントを決め、相手を寄せ付けず13-2で悲願の天皇杯初優勝を飾り、来年の世界選手権出場に弾みをつけた。高橋侑希選手は「最低限の結果は残せました。強い若い人がたくさん出てきているので自分ももっと練習をし、気持ちを強く持たねばいけないと思いました」と気を引き締めた。この階級では坂本京太(2年 富山・高岡向陵高)も出場したが1回戦で敗退した。
◆フリースタイル65kg級3位・乙黒圭祐準決勝で勝てる試合を落とす。
フリースタイル65㎏級の乙黒圭祐(2年 東京・帝京)は山梨県出身だが中学2年の時にJOCエリートアカデミーに入校、将来オリンピックを目指す逸材として研鑽を積んできた。昨年のこの天皇杯で61kg級で優勝。今回は階級を上げて試合に臨んだ。優勝候補の藤波勇飛(2年)が減量失敗でいない中、優勝のチャンスが巡ってきた。1回戦は素早い足へのタックルを中心にした攻めで主導権を握り、第2ピリオド10-0のTFで相手を一蹴。幸先の良いスタート。2回戦は6月の明治杯全日本選抜選手権2位の田中幸太郎(阪神酒販)。手強い相手と対戦した。互いにポイントを奪い合い、技とスピードが互いに交錯し合う、拮抗した見ごたえのある好試合を展開。乙黒が最後は死力を尽くし11-6で制し、準決勝に進んだ。準決勝の相手はこの階級で学生二冠の米澤圭(早稲田大)。11月に行われた内閣総理大臣杯全日本大学選手権で敗れている相手。第1ピリオドでは、3点を失ったもののまずまずの展開。第2に入ると、攻勢をかけて相手を追い詰めるも、巧みにかわされ逆にカウンターで点を奪われ、終了間際に点を重ねられ0-10のTFを喫し敗れた。優勝も狙える位置にありながら3位に甘んじ、消化不良の試合運びに悔しさを全身で現した。小幡邦彦コーチは「自分が仕掛けて、処理する前に気を抜いて、逆襲されるような負け方。実際に取られたのは最初の2点だけ。差はないので詰めの甘さが彼の弱点。ちょっともったいない負け方」と説明した。明治杯でも優勝しているOB鴨居正和(自衛隊体育学校)が2連覇した。エントリーしていた藤波勇飛(2年)は計量オーバー、初見智徳主将(4年)は、怪我のために辞退した。
他の階級ではフリースタイル125㎏級の宮内健太(3年 山梨・県立農林高)が1回戦敗退。同じくこの階級でOBの金澤勝利(自衛隊体育学校)が2位と健闘。グレコローマンスタイル98kg級に出場した有薗拓真(ALSOK)と山本雄資(警視庁第六機動隊)はベスト8となった。
3日目最終日は山梨学院勢の出場は、フリースタイル61㎏級に松宮大樹(3年)、同74kg級・木下貴輪(3年)、グレコローマンスタイル59kg級に丸山智也(2年)の3人が出場する。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.12.22
大会2日目| アルバム小栁選手 | アルバム乙黒選手 | アルバム出場選手 |
■大会3日目 12月23日 東京・代々木競技場第2体育館
平成28年度「天皇杯全日本レスリング選手権大会」が12月23日、3日目最終日の試合が東京・代々木競技場第2体育館で行われた。最終日は男女7階級が行われ山梨学院大からは3人が出場した。3日目の開会宣言が告げられた直後の1試合目にグレコローマンスタイル59㎏級に丸山智也(2年 山梨・韮崎工高)が登場。第1ピリオドはリードされたものの第2ピリオド、4点の大技と連続ポイントで逆転、2回戦に進んだが、社会人の実力者、田野倉翔太(クリナップ)に敗れた。フリースタイル61㎏級に出場した松宮大樹(3年 茨城・霞ヶ浦高)は第1ピリオド序盤に大技と連続ポイントで0-6と悪い立ち上がり。しかし徐々にペースを上げ、相手を抱え上げ投げる大技を繰り出し、一時同点に追いつき、その後は点の奪い合いになったものの、最後は10-14で敗退、1回戦で姿を消した。同74kg級の木下貴輪(3年 鹿児島・鹿屋中央高)は今年の国体に優勝している浅井翼(早稲田大3年)と対戦。今までに一度も勝っていない分の悪い取り組み。木下も11月の全日本大学選手権で優勝しているだけに譲れない試合だった。第1ピリオド互いに実績があるだけに慎重になり木下がパッシブ(口頭注意)を2度受け1点を取られ前半を終了。第2ピリオドになり相手が2回パッシブで木下の流れになり逆転したが、残り30秒でバックを取られ2点を失い2-3の僅差で敗れた。木下は期待されていただけに1回戦敗退という残念な結果になった。山梨学院は最終日早い段階で大会を終えた。試合後、「木下は東京ではライバルになる相手だけに惜しかった」と、小幡邦彦コーチ。「勝った選手、負けた選手も必ず良いところも悪いところもあったので、良いところは伸ばしていって、悪いところはしっかり修正して来年に向けて頑張っていきたい」と抱負を語った。
文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.12.23
大会3日目| アルバム出場選手 |